万博が行われている大阪で、日本人アーティストの草間彌生の展覧会が開催中。1960年代初頭のNY時代から現代までの絵画やインスタレーションに加え、店舗では巨大な南瓜の作品も公開。強烈なインパクトを放つ彼女の作品は必見だ。(ライター/和多亜希)

何度行っても楽しい!草間彌生展が無料公開
「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」の5階にある「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」は、パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンの「HORS-LES-MURS(壁を越えて)」プログラムの一環として実施されるプロジェクト。国外5都市にて所蔵コレクション展が開催され、現在大阪では草間彌生の展覧会「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」を開催中だ。

Variable dimensions Louis Vuitton Collection Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
川久保玲や村上隆、NIGOⓇなど、次々と日本人アーティストとコラボレーションを実現しているルイ・ヴィトン。草間彌生とは2012年に初コラボレーションし、2023年には第2段を発表。今回の展覧会では2023年のコラボと同じ時期に制作された絵画作品を5作品展示している。絵画と文章表現が融合した作品は、彼女の代表的なモチーフである水玉や網目模様も描かれ、熱いメッセージも添えられている。
彼女の主要モチーフである水玉模様で没入体験

1965年に発表し、今なお続く長期シリーズ「無限の鏡の間」は、空間全体を作品として体験できるインスタレーション。四方を鏡で張り巡らされた空間には、水玉模様の男性器をモチーフにしたソフトスカルプチュアが無限に存在。作品の中へ入れば、無限の情景のなかで自他との境目がなくなり「自己消滅」を体感できるという。草間彌生が幼少期から悩まされてきた幻覚を類似体験できるのかも? 撮影もOKなので、作品の中の自分を写真に収めたい。
強烈なインパクト!網目、水玉の2大モチーフ

無題(足) / UNTITLED(FEET) 1964年 紙にインク、グラファイト / Ink and graphite on paper 55.8×71.1cm Louis Vuitton Collection
ドッツ / DOTS 1990年 キャンバスにアクリル / Acrylic on canvas 52.7× 45.7cm
無限の網(DHPP) / INFINITY NETS, DHPP 2010年 キャンバスにアクリル / Acrylic on canvas 194×194cm
Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
草間彌生の作品の代名詞といえる網目模様と水玉模様は、彼女の幻覚体験を直接反映し、心の内面を表現したもの。数十年にわたって繰り返しキャンバス一面に描かれる代表的なモチーフは、近くで見るほどダイナミックな質感を感じられる。手や足という身体をモチーフにした作品もあり、「無題(足)」は人の足跡が画面の枠を超えていくユニークな作品。今とは違った控えめな色使いが返って新鮮!
実物はやっぱりスゴイぞ!巨大な南瓜

草間彌生により2023年に制作された、鮮烈なイエローに黒い水玉を配した巨大な南瓜が1階店舗でも鑑賞できる。今もなお、形や大きさ、素材を絶えず更新しながら、カボチャを精力的に作り続けているというから驚きだ。
会場内では2015年に撮影した草間彌生のインタビュー映像が流れ、自由に閲覧できるフォンダシオン ルイ・ヴィトンや草間彌生の関連書籍もある。