「ステージに立ち続けたい」20th Centuryが今、伝えたいこと。全国ツアーをレポート【挨拶全文あり】

坂本昌行さん、長野博さん、井ノ原快彦さんからなる3人組ユニット・20th Century（通称：トニセン）が全国9都市24公演開催の全国ツアー『20th Century Live Tour 2024 ～地球をとびだそう！～』を完走！　歌・ダンス・笑いが詰まったトニセンならではのエンターテインメントショーで、全国のファンを楽しませた。ここでは7月19日の昼に行われた神奈川県民ホール大ホールでのコンサートの模様をレポート。仲睦まじい3人のやり取りや最後の挨拶まで、たっぷりとお届け。

スタイリッシュなセットアップスーツで登場！

6月4日より行ってきた本ツアーの最終日。会場はこの日を心待ちにしていた大勢のファンで埋め尽くされ、開演2分前からは客席一体の拍手が鳴り響いた。

ツアータイトルは『20th Century Live Tour 2024 ～地球をとびだそう！～』。“地球の皆さんに、宇宙から熱い思いを送りたい”というメンバーのメッセージがコンセプトになった。さらに今回のコンサートにはヨーロッパ企画の上田誠さんが脚本で参加。トニセンが宇宙へ飛び立つまでのストーリーを担当し、トニセンは果たして地球をとびだすことができるのか！？という寸劇も盛り込まれた。

そんなストーリー仕立ての公演は、3人の心地よいハーモニーが印象的な「トライアングル」からスタート。ステージを覆う紗幕に映像が投影され、時折メンバーの動きとリンクする楽しい演出を見せた。2曲目からは懐かしのカッコいいナンバーが連発。スタイリッシュなセットアップスーツで3人が踊り出せば、客席からは待ってましたと言わんばかりの歓声が上がった。サングラスをかけ、洒落感たっぷりの装いで披露した「大人Guyz」では、上から大量の札束を降らせるという驚きの演出が。「旅立ちの鐘」歌唱時には3人が歌いながら客席を練り歩き、たくさんのファンサービスに応えた。

ここで挨拶を兼ねた小MCへ。「こんにちは〜！」「元気ですか〜？」「盛り上がってますか〜？」という井ノ原さんの呼びかけに、ファンが歓声で応える。続けて「冒頭から（歌詞で）サヨナラサヨナラ連呼しちゃってすみません。冒頭から札束も降らせちゃってすみません」と笑いを誘いつつ、トニセンとしては昨年に続き2年連続の全国ツアーということで、ファンに改めて感謝の気持ちを伝えた。そして「平日の昼間に集まっていただいてありがとうございます。本当こんなたくさんの方に有給を取らせてしまって…」と井ノ原さん。申し訳なさげになりながらも、「最後まで楽しんでいただければと思います！」と笑顔でコメントした。その後、真剣な顔つきに変わった坂本さんがトニセンのコンサート恒例の“あの話題”を切り出す。

「大事な確認がございまして」と前置きした上で、坂本さんが長野さんへ「今回、飛びますか？」と直球質問。「一応これ説明しておかないとわからない方もいらっしゃると思いますので」と、井ノ原さんが「長野くんコンサートのたびに、これなぜかまだ解明されていないんですけど、毎回飛びたがるっていう癖がありまして…。なんやかんや言って、いろいろな形で毎回飛ぶっていうことになっているんです」と事情を説明。ただ今回の長野さんはいつもとは少し違った野望を持っているそうで、「まあ散々飛んできたんですよ、僕。いろいろな飛び方で。それぞれの空を。ですけどね、もう空って感じじゃないんですよ。空を突き抜けて宇宙に行きたいんですよ！」と、新たな目標を口にし、今回は長野さんが飛ばないコンサートをお届けしようという展開になった。長野さんが空を飛ばないことに客席からは残念がる声が多く集まったが、それを理由に「地上で踊りまくる」宣言をすると、大歓声が聞こえた。

「喫茶二十世紀」再現のセットで特別パフォーマンス

昨年11月1日、東京・原宿に「喫茶二十世紀」という喫茶店をオープンさせたトニセン。そこで今回のコンサートにはその「喫茶二十世紀」を再現したセットが登場。店舗さながらのドア、ヴィンテージ感のあるカウンター、イスを備えたレトロな空間。ウェイター風の衣装に着替えた3人が生バンドとともに、アコースティックライブを行った。

この喫茶ライヴコーナーには、オープン前の「喫茶二十世紀」でMVを撮影したという「回れよ地球」もセトリ入り。その歌唱終わり、3人揃ってルダハートポーズを披露すると、「可愛い！」という声があちこちから飛び交う。しばらくカメラアピールを止めない3人の姿が見られたが、実は本ツアーが始まったころは、すぐにポーズした手を下に下ろしていたそう。「可愛いと言われるのが病みつきになって…」（井ノ原さん）、「ここ長くなってますよね？　2倍くらい？」（長野さん）と、可愛いという声欲しさにアピールタイムが長くなったという、ツアー最終日ならではの裏話を語った。

最新配信シングル「Hurry up ～今すぐに君の手を～」のステージでは、長野さんが毎公演サビパートのダンスを即興で考案。会場全員で踊れる簡単な振り付けをつけてくださるはずが、この日の長野さんは座りながらキレキレのロックダンスを披露。ざわつく客席を前に、「一回やってみよう」と前向きな坂本さん。一度全員で挑戦してみたものの「これは隣の人に当たりそうだね（笑）」と、ロックダンス案は白紙に。その後、音楽に合わせてゆっくり手を上げ、目の前のトニセン3人に小刻みに手を振ったあと、ゆっくり手を下げるという振りに固まり、会場全員が一緒になって手を動かした。

「ある日願いが叶ったんだ」では、歌唱中何かに呼ばれるように長野さんが喫茶店を退出。そこでUFOにさらわれる演出が仕込まれ、それがライヴ終盤への布石となった。UFOから降りてきた長野さんは、どこかご機嫌な様子。横に揺れながらステージに戻り、先ほどできなかったロックダンスを勢いよく披露すると、会場は大盛り上がりとなった。

“ルーツ”をテーマにした、渾身の少年隊メドレー

着席スタイルで楽しんだ喫茶ライヴコーナーを終え、次のコーナーへ。そこで井ノ原さんが客席に向かって「自分たちで言うのもあれなんですけど、この先ちょっと盛り上がっちゃうんで、ゆっくり立っておきましょうか」と一言。全員が立ち上がり、期待が高まるなか「二十世紀の曲を聴いていただきましょう」と、トニセンの“ルーツ”をテーマにした「少年隊メドレーコーナー」が始まった。

かつてトニセンは少年隊のバックダンサーを長く務めていた。それはジュニアを卒業し彼らがデビューしたあともしばらく続いていたそうで、エピソードトークでは少年隊のコンサートの休演日に、自分たちのコンサートをやっていたという話が飛び出した。

パフォーマンスは、坂本さんが東山紀之さんを、長野さんが植草克秀さんを、井ノ原さんが錦織一清さんを担当。それぞれ振り起こしの必要がないくらい、踊りはメンバーの身体に染み込んでいたそうだ。全6曲のパフォーマンスが終わると会場は大きくどよめき、「歌っちゃったな」「踊っちゃったね」「盛り上がっちゃったね！」と、3人が達成感に満ちあふれた表情を見せた。

ここでこのコーナーに関する裏話を。「少年隊メドレーやるんだったら何をやろうかと、僕たちなりに曲を出し合ったんですよ。それがちょっと多くなりすぎちゃって、1時間超えちゃったんですよ（笑）」と井ノ原さん。それは「あれ？　トニセンのコンサート作ろうとしてたよね？　少年隊のコンサート？」と全員が錯覚するほどだったと言い、「泣く泣く減らしましたよね」と話す井ノ原さんに、「相当減らしましたよね」と長野さんが続いた。

「これからもアイドル」メンバー3人からのメッセージ

コンサート終盤を迎え、トニセン3人が地球をとびだし、宇宙へと飛び立つ物語もクライマックスに。宇宙へと到着した3人は、宇宙最大のフェス「ギャラクシーソニック」略して「ギャラソニ」に出演。宇宙服をモチーフにした衣装で「MUSIC FOR THE PEOPLE」「Believe Your Smile」といったV6のヒット曲やComing Century（通称：カミセン）の「夏のかけら」「Theme of Coming Century」など、往年の楽曲をパフォーマンスした。長年親しんできた曲ともあって、ファンのコールや煽りの息はぴったり。コンサート最大の盛り上がりを見せた。

本編終了後には、メンバーの一人ひとりが思いを伝えた。

長野博さん「今日は皆さんお疲れ様でした。ありがとうございました。そして宇宙にも付き合ってくれてありがとうございました！　皆さん噛み砕くのが早い（笑）！　助かります本当に。ライヴってやっぱりいいですね。平日の昼間にこんな集まっていただいて、ほとんどの方が有給取ってくださったんだと思います。何年かライヴができない日々が続いたり、ライヴをやっても声は出しちゃダメですよなんてこともありましたけども、やっぱりこうやって皆さんと会って、声を出して、発散して、いろんなキャッチボールができて、お互いの笑顔を見ることができて。やっぱり本当にライヴって僕たちにとって、皆さんにとってもそうだと嬉しいんですけども、すごく大切な場所だなということを改めて感じております。ライヴという場をこれからも大切に、できる限りステージに立ち続けていきたいなと思っておりますので、これからも応援よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました」

井ノ原快彦さん「本日はどうもありがとうございました。重ね重ね言いますけども、平日の昼間にお集まりいただいて、皆さんもそうですし、今日たくさん取材陣の方が来てくださって、忙しいところありがとうございます。僕らトニセンに興味を持っていただいて嬉しいです。ありがとうございます。どうですか？　このファンの盛り上がり。僕も大概いろいろ見てきていますけども、こんな盛り上がるライヴはなかなかないです。すごいエネルギッシュ！　客席を降りたりとかして、皆さんひとりひとりの顔、後ろの方までしっかり見えてます。2,400人くらい入るんでしたっけ、この会場ね。2,400人の人生があるんだなと思って。今日来るのに大変な思いをして来てくれた人もいるだろうし、遠くから来てくれた人もいるだろうし、なんとか休みを交代してもらって来てくれた人もいるだろうし。本当にいろいろな思いでここに集まってくれて、奇跡を感じましたね。そこでみんなでエネルギーの交換ができること、このままずっと、また次はいつになるかわかりませんけど、できる限り僕らも簡単なステップでよければいくらでもできるので、ずっとアイドルとしてやっていきたいなと思っています。気づけば歌って踊るアイドルとしては最年長になってしまいました。後輩たちがすごい頑張ってくれているので、僕らもみんなとのんびりライヴできたらなと思っています。これからもよろしくお願いします」

坂本昌行さん「皆さん今日は本当にどうもお世話になりました、ありがとうございました。トニセンとしてライヴをやらせてもらっていますけど、もう30年近く皆さんとともに時間を共有しているはずが、どんどんどんどん客席の声が若々しく聞こえて、それってすごいなと思いました。パワーの交換をしあうことでお互い持ちつ持たれつ、元気よくいきたいと思いますし。昨今は新しいもの、新しいものを求めて、何か大事なことを失っているような心のなかで止めるものがなくなっているような気がしていて。今回のステージをやらせてもらうときに偉大な先輩、そして素晴らしい楽曲たちがいるからこそ、こうやってステージに立たせてもらっているんだなというのをすごく感じました。新しい楽曲はもちろんのこと、素晴らしい楽曲を皆さんにずっとずっと届けていけるように頑張ってまいりますので、これからも応援よろしくお願いいたします。また会いましょう！」

そして「みなさんを思って歌いたいと思います」と、歌詞にファンへの思いを込めた「あなたと」を歌唱。約2時間のステージは終始温かい空気に包まれ、これからの楽しい未来も予感させる、素敵な時間となっていた。

＜セットリスト＞

01. トライアングル

02. X,T,C, beat

03. Over Drive

04. 大人Guyz

05. Air

06. 夏のメモリー

07. 旅立ちの鐘

08. 回れよ地球

09. 不惑

10. Hurry up ～今すぐに君の手を～