スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
スカートの裾、気にしてる?
ここ最近ロングスカートが人気ですが、夏になってさらにはいている人を街で見かけるようになりました。思いのほか涼しいし、見た目もおしゃれというのが人気の要因と思われます。おしゃれなひとが街に増えるのは良いのですが、このロングスカートに関してとっても気になることがあるのです。それは多くのひとが階段を降りるときにスカートを引きずって歩いていること。彼女たちが歩いた後は階段が綺麗になるのでは?というくらいしっかりと、まるで掃除をするかの如く。あれ、気が付いてないんですよね? あそこまで引きずっているの。なかには引きずっていることに気が付いていても、まったく気にしていないひともいそう。みんな引きずってるからいいじゃん、長いんだからしょうがないじゃん、というような。
でもやっぱり衛生的に良くないなぁと思うし、見ていて美しい光景ではありません。綺麗や汚いの意識がないひとなのかな? あのスカート履いたまま家で座っちゃったりするのかな? 他のこともそんな感じなのかな?とか他人から思われてしまう可能性もあります。通りすがりのひとは後々影響はないでしょうが、憧れのひとに見られたり、いろんな知り合いに目撃される可能性はあります。実際その汚れたスカートの裾は階段を歩き終わった後は足に触れるわけですし、汚いっちゃあ汚いです。多くのひとが階段でスカートを引きずっているなか、裾をちょっと持ち上げて歩いているひともいて、こちらは反対にとっても好感が持てます。ああ、ちゃんとしたひとなんだろうなって。
ひとつひとつの行動に自己判断を
この両タイプの差って「予測能力」が「ある」か「ない」かなんだと思います。階段を降りるときはスカートを引きずってしまうという予測が立てられれば、自然裾を持って歩くという行動が取れます。「こうしたらこうなるだろうな」という、予測。それは生きる知恵であり、誰にでも本来は備わっているはずの能力。本能的な例で言えば、予測ができるから体温を調節できたり、怪我をしないように体を使えたり出来るわけなのですが、人間は知的生物なのでもう少し進化した、より良く生活するための予測だったり、誰かに迷惑をかけないための予測もできる存在なはずなんです。「予測」はモラルとかマナーという概念にもつながる大切な基礎能力です。
スカートを引きずっている自覚があるひとは衛生概念が欠落しているか、みんな引きずってるから良いよねという「みんながやってるならなんでもOK」派のひとなのでしょう。でも「みんながやっているけど、衛生的には良くない」ということに変わりはなく、そのことはちゃんと自覚すべき感覚。
スカートの話だけではなく、多くのひとがやっていることが果たして本当に良いことなのか? 正しいのか?といった疑問をちゃんと持つことはとっても大事です。周りに流されず、良いと思う道徳や礼儀なども加味したうえでの自己判断に則って行動するひとが増えるといいなぁと思います。
本来備わっているはずの能力を発揮して!
他にも街で見ていて感じることで例を挙げると、公共施設は「予測能力」をフルに発揮すべき場所。トイレを綺麗に使うとか洗面台に髪の毛が落ちてしまったら掃除するとか。後に使う人の気持ちを予測できたら、綺麗にしようって思いますよね(誰かが汚していった後に使うのって、不快な気分になるでしょ?)。また、リュックは電車の中では後ろの人にぶつけないよう前に持つとか、傘は当たってしまわないよう持つ方向に注意するとか。意外と注意散漫になってしまうことは多いと思うけど、予測していれば防げることはたくさんあります。
そしてその場ですぐに何かが起きるわけではないけれど気をつけたいのが子供の前での行動。子供が待っている信号で信号無視して渡ってしまったり(しないひとは絶対にしないでしょうが)はNG。それを見た子がどんなことを感じてしまうのか「予測」することが大切です。後から続く人の未来に与えてしまう影響を「予測」するのは先人の果たすべき役割。「予測能力」は相手を思いやる優しさとも言えます。
私たちの目は後ろにはついていないけど、後ろの人の目は前についているので、やったことは全て見られています。予測する=どうなるのか?を考えることは、さまざまな感度を高めることにもつながります。感度が上がると美しさはどんどん増していきます。「予測能力」、それは美しく見えるひとが使っている素敵なセンサー。あなたの中にもあるその能力、自覚して磨けばたちまちあなた自身が光り出すこと必至です!
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