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TRENDLIFESTYLE

2020.09.22

学生時代に憧れた「おしゃP」たちの今。プロデューサーの仕事っていったい?

ティーンのときから雑誌に出て読者モデルとして活躍し、現在も各業界で輝き続ける彼女たちをフィーチャー。当時の経験を糧にしながら、今も夢に向かって突き進むパワーの秘密を探りました。

「おしゃP」たちの今

三人三様の今

人気ショップ店員や有名読モが、そのセンスを活かしてファッションブランドをプロデュースすることが多かった2000年代。おしゃれプロデューサーの略“おしゃP”ブームをけん引した荻原桃子さん、渡辺由香さん、中場直さん。当時のことから、トレンドを発信し続ける現在の仕事について、3人に話を伺った。

「おしゃP」たちの今

〈左から〉中場直さん、渡辺由香さん、荻原桃子さん

全力を注ぎこんだブランドプロデューサーという仕事

中場直さん(以下、中場)ちょうど私たちがマークスタイラーに入社した時期に、人気のショップ店員や読者モデルの子たちがブランドを立ち上げる時代で、“おしゃP”ブームになったんだよね。私たちが入ったマークスタイラーは、最初に(渡辺)由香ちゃんのマーキュリーデュオが2003年に立ち上がって。それからムルーア、ラグナムーンが続いて、その後も続々とブランドが増えていったよね。

荻原桃子さん(以下、荻原)そう。ちょうど私も高校生時代から読モをやっていて、カリスマショップ店員ブーム真っ只中でなんとなくそういうことに憧れてた。ショップ店員やバイヤーの経験を積んで、ムルーアのディレクターになりました。

渡辺由香さん(以下、渡辺)私も大学時代は就職活動する気がまるでない学生で。そのときに自分が興味あるものを片っ端からやってみようと思って、スタイリストのアシスタントをしてみたり、美容室の受付のバイトをしてみたり・・・いろんなことをしたけど、一番長く続いたのが、アパレルのショップ店員のバイトだった(笑)。それから、人が作る服よりも自分が作る服を見てみたいと思ったのがきっかけかな。

中場 私は、もともとマルキュー(渋谷109)の人気ショップで販売員をしていて、よく雑誌の撮影に呼んでもらっていたこともあって。それがきっかけでデザイナーを経験して、ブランドを立ち上げることになったんだ。

渡辺 当時、ブランド合同でやるパーティーが多くて、そのときに3人仲よくなりましたね!

中場 ブランドプロデューサーなんてもちろん初めてだし、右も左もわからないから朝から晩まで誰かと一緒に過ごしてた。

荻原 土日なんて当たり前に休みじゃなかったし、ほぼ毎日朝から晩まで働いていた。深夜2時から会議があったりして(笑)。

渡辺 今の時代じゃ問題になっちゃうね(笑)。若いからこそできたし、それくらいみんな自分のブランドにすべてを注いでいたね。

「おしゃP」たちの今

「桃ちゃんが妊娠中で産休に入る直前。今ではみんないいお母さんになって、家庭と仕事の両立に奮闘中!」(渡辺さん)

渡辺由香「一緒に苦楽をともにした戦友のような関係」

中場 その当時はみんな若かったし、ブランド全員がワンチームになって、どうすればもっと良くなるか、どうすればもっと世界観が伝わるか、みたいな試行錯誤をずっとしていて。今思えば会社がすごく厳しかったからこそ、現場の団結力は深まったと思う。

渡辺 この3人はブランドの世界観もそれぞれ違うテイストだったから、ライバルになることはなかったし、同じような立場で悩んだり頑張ったりしていたから、どちらかというとともに戦った「戦友」みたいな感じ。

荻原 忙しくてプライベートの時間がなくて・・・っていうのはあったけど、青春してた!

渡辺 当時は仕事している感覚はあまりなくて、仕事とプライベートがごっちゃになっている感じ。仕事がうまくいっているのが一番だから、すべてをそれに費やしていた。本当に全力投球できたって思ってる。

荻原 そう。みんな本気でやるあまり、ぶつかることも多かったけど(笑)。人生勉強は相当させてもらった。今となってはどこでも働けるだろうなって思うくらいの気合論はそのとき学びました。

中場 何かあったらみんなに相談したり、励まし合ったりして。やっぱり自分のブランドを抱えるっていろんなプレッシャーがあったし、ずっと責任を背負っている意識が強かった。

荻原 おしゃPってちょっと変わった仕事だったりもするから、そういう共通の悩みを打ち明けられるのは同じ立場の人でしたね。

「おしゃP」たちの今

「アンスリードのオープン時に、お祝いに駆けつけました! 仲間が活躍しているのを見るとうれしい」(中場さん)

家庭を持ってからプライベートの価値観が変わった

中場 当時はがむしゃらにとにかく働いていたんだけど、この3人は結婚、出産っていう転機は大きかったかも。

渡辺 今まではオンとオフの境目がなかったけど、“プライベート”という意識感覚が変わったというか。

荻原 仕事だけじゃなく、家庭も大事にしたいっていう気持ちに完全にシフトした。

中場 昔は会うと話の9割、いや10割は仕事についてだったけど、今は旦那トークと子供トークが主だよね(笑)。

荻原 ファッション業界のキャリアも長くなって、ある程度ブランドに関するノウハウはわかってきて。それに家族がいるから、自分の幸せは仕事だけじゃないと思うようになった。両方手に入れながら、自分の幸せは何なんだろうって追求していることが多いかも。

中場 みんなそれぞれの道を歩みながらもディレクター業は続けていて、やっぱりお互いに影響を受けることはあると思う。

渡辺 スタッフに対しての接し方だったり、プレスとの関係性だったり。ブランドがうまくいくために、「あ、こういうことしてるんだ」って気付くことも多いかな。

荻原 いい刺激をお互いに受けたり与えたりしながら、これからも「良き戦友」として支え合っていきたいです。

荻原桃子さん●36歳。アパレル業界で販売員や企画、バイヤーを経験し、ブランド「MURUA(ムルーア)」のクリエイティブディレクターを約9年間務める。現在は「UN3D.(アンスリード)」をスタートし、デザイナーとして活動。Instagram @momokoogihara

渡辺由香さん●43歳。26歳のときに「MERCURYDUO(マーキュリーデュオ)」を立ち上げ、ブランド全体の統括を行う。現在は「ELENDEEK(エレンディーク)」のディレクター。プライベートでは、2012年に結婚。現在は一児の母として仕事と育児を両立。Instagramでは、コーディネートなど、自身のスタイルを発信。Instagram @yukawatanabe_hanabo
ELENDEEK facebook @ELENDEEK.official
ELENDEEK Twitter @ELENDEEK_TW

中場直さん●42歳。販売員の経験を経て、「LAGUNAMOON(ラグナムーン)」を立ち上げ、クリエイティブディレクターを務める。現在はレディース・キッズブランド「Mediam(ミディアム)」を展開。Instagram @nao_nakaba

PHOTO=オノデラカズオ

TEXT=GINGER編集部

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