ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。今回はパリからちょっと離れて、とある静かな村からお届け!
ステイホームが基本だけど、お散歩は大事よね
てくてくてくてく。ワタシ、歩くの大好き。
読者の皆さんは、おうちの近所ばかり散歩していて、ちょっと飽きてきたころでしょう?
今日は、ワタシがお散歩にご案内しますよ。
あっと、まずはご挨拶しないとね。
マダム ジョゼット、ワタシを抱っこして!
飼い主さん あ、はいはい。(よいっしょ)
ワタシ、プラリーヌです。
1歳半のキャバリア・キングチャールズ・スパニエルよ(舌をかまないでね)。
私の飼い主、マダム ジョゼットは、ちゃんと毎日、お散歩に付き合ってくれるの。
見てください、この景色。癒やされるでしょ?
空気もキレイで、人も少なくて、本当に最高のお散歩コース。
この村の名前は、ヴィリエ・ル・バークル 。パリから、そうね、車で一時間ぐらい?
レオナール・フジタ(藤田嗣治)が最後に暮らした場所として、知る人ぞ知る観光地なのよ、ね? マダム。
飼い主さん そうよ。自慢になってしまうけど、私が生まれた家は、フジタのアトリエ兼住居(Maison-atelier Foujita)のお隣だったの。フジタがこの村で暮らし始めたのは、1961年と聞いているわ。子供のころ、彼に会ったこともあるんだから。
へぇ~。マダム、それは大いに自慢していいお話ね。
飼い主さん 亡くなった私の父は、フジタに庭を売ったこともあるらしいわ。
マダム、あれ見せてあげちゃって。
飼い主さん これはフジタからいただいたリトグラフよ。今も大切に飾っているの。
ふふ、可愛い。
ちょっとワタシに似てる~?
じゃあそろそろ、歩みを進めましょ。
この村には、フジタのアトリエだけでなく、彼のお墓もあるのよね。あまり知られていないけど。
こっちこっち。
ここよ。
でも実はね・・・
彼はここに埋葬はされていないの。今は、ふたりともランスにあるフジタ礼拝堂 (Chapelle Foujita)に眠っているけどね。
フジタが亡くなったあとも、奥さんは20年以上この村に住んでたのよ。
飼い主さん 日本からも観光客が訪れるけど、アトリエだけ見てすぐ帰っちゃうから残念だわ。この村はお城もあるし、のどかな田舎の風景が広がっていて、季節ごとの自然の美しさを感じられるところだから、もっとゆっくりしていって欲しいのに。
お城の一角には、有名な俳優が住んでいるのよ(小声)。大型犬を飼っていて、いつも遠吠えしているの。ほうら! 聞こえてきた!
マダムはね、以前はパリの近くでカフェを経営していたんだけど、今は生まれ故郷のこの村に戻って暮らしているの。
旦那さんがおうちで療養中だから、看病もしているのよ。
ワタシとの散歩が、息抜きになってるんだって。
飼い主さん ほんと、このコとの散歩は気分転換になるわ。ずっと家の中にこもっていると、病気じゃなくても病気になっちゃうわよ。外に出て日差しを浴びたり、気持ちのいい空気を吸わないとね。
うんうん、ワタシも外が好き。
飼い主さん 今日は週末だから閉まっているけど、美味しいパン屋さんもあるのよ。次に遊びに来たときに、紹介したいわ。
今日は教会のあたりで、ちょっと遠くに人が1人だけいたけど、ほとんど誰にも会わなかったな。
もともと人口がそんなに多くない村だからさ、いつも静かだけど、ステイホームでますます静まり返っているわ。お散歩中によく会った友達にも会えてないし、マダムと休憩するカフェも閉まっているし。
はやくコロナってヤツがいなくなればいいのに。コロナなんて大嫌い。
皆さんも、また自由に旅ができるようになったら、ここヴィリエ・ル・バークルに遊びに来て。ワタシとマダムを見かけたら、ぜひ声をかけて欲しいわ。
一緒にお散歩しましょう! 待ってます。