ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。
好かれるためにはテクが必要
皆さん、どんな秋をお過ごしですか?
なんだかやっぱり、食欲ばかりに走りがちなので、ちょっと本でも読まないと・・・と、某有名百貨店内にある本屋さんにやって来ました。本屋さんって、知的な老若男女が本棚の間を行き交い、落ち着いた風情でページをめくっていたりして、この独特の空気感とほどよい静けさがいいんですよね。
おやおや? 今日は、読書家のワンコがご来店かな?
パリの本屋さんは、カフェと同じく、犬連れOKなところも多いのです。というか、OKとは掲げていなくても、暗黙のルールというか。自分の愛犬が、人の迷惑にならないように振る舞えるか否か・・・そのあたりは飼い主のジャッジに任されている感じ。大人。
よく見ると、リードでつながれていないのに、おとなしく飼い主さんの足元で待っている。えらいなぁ。
近づいて行くと、こちらの気配を察したのか、気付かないフリしつつも、チラ見?
—— こんにちは。
......。
聞こえないふり!? 飼い主さんしか眼中になくて、それ以外はシャットアウトなご様子・・・。
他のお客さんの手が撫でようと伸びてきても・・・
......。
—— 無反応すか?
......。
もしかして、耐えてる!? 本屋さんに来るワンコは、シャイなのかな。
ワタシは違うわ。
—— え!
ワタシはぁ、違う。遠慮しないで。
—— あ、ありがとうございます。・・・まんまるですね、お手入れが行き届いていて。フォトジェニックです。
ありがとう。太っているわけじゃないの、こういう毛なのよ。ビション・フリーゼって、知ってる?
—— 初めまして、です。真っ白で、ふわふわの巻き毛ですね! お名前を伺っていいですか?
サラよ。4歳です。私の飼い主が、パリに留学中の友達のところに遊びに来たんだけど、一緒に連れてきてくれたの。
韓国から飛行機に乗ってきたんだけどね、遠かったわ。
—— ほほう、では、しばらくパリに?
すぐには帰らないと思う。ワタシ、もともとフランスの犬なのよ。でもね・・・こっちに着いてからキョロキョロしてるけど、ぜんぜん仲間に会えない。むしろ、身なりを気にしない犬が多くて、がっかりよ。パリっておしゃれな人が集まる街だと思っていたから。
-- リードもおしゃれですね。
気付いてくれた? うちの飼い主がデザインしたのよ。
彼女、デザインしただけでなく、商品化して販売もしてるの。すごいでしょ。
―― 某有名メゾンの商品かと思いましたよ。素敵です!
ねぇ、一つ言っちゃうけど。ワタシ、恋人募集中なのね。
―― それはそれは。おモテになりそうだから、すぐに相手が見つかりそうですね。
ワタシね、自分で言うのもなんだけど、おしゃれだし。愛想もいいし。社交的でしょ。
―― はい、そのように思いました(笑)。
とにかくね、可愛いだけじゃ、モテないのよ。こっちからも近寄っていったり、話しかけたりしないと、なかなか発展しないもん。ツンツンしてる美人は、声かけづらいでしょ? ワタシはぁ、声かけてもらえるように頑張ってるのよね。
―― ありがとうございます。(←なぜか、お礼)
あなた、結婚してるの?
―― は、はい。
え~、あ、そう。じゃ、話はもうおしまい。ワタシ、あんまり時間ないから。
いこ、行こ!
―― あ...(手のひら返し?)。
―― さようなら・・・。
・・・振り返ることもなく、去りゆくキミ。
このあと、生物学のコーナーで本棚から犬図鑑を引っ張り出して"ビション・フリーゼ "について調べてみました。陽気で、人見知りせず、聞き分けがよくて、かつ八方美人の傾向がある——。
まさしく。サラって、そんな女のコだったなぁ。愛されるには、愛想が必要。うちの近所に住んでいる、美人だけどツンツンしてるマドモワゼルに教えてあげてほしいなぁ。
サラ、キミには、すぐに恋人が見つかると思うよ。パリに、キミのお眼鏡に叶う犬がいればいいけど。幸せを祈ってます!