靴に詳しくなくても、ひと目でわかる特別なオーラ。作り手のこだわりと情熱が形となった一足には、人の心を掴む美しさと品格がある。今シーズン「BALLY(バリー)」から発表された逸品は、そんなパワーを秘めた一足なのだ。【連載「青木貴子のラグジュアリー案内」】
その美しさに敬意を表して。大事に扱い、大切に履く
足元のお洒落、ちゃんと気を配っていますか? 服は完璧に素敵、でも靴は残念!なんてひとを街で結構見かけます。エスカレーターに乗っているときに前方のひとの靴が結構目に入ったりしませんか? ヒールの踵が傷ついてるなんて、いくら綺麗に着飾っていても幻滅しちゃいますよね。また誰かの家にお邪魔するときや靴を脱がなくてはいけないお店に行くときも要注意。しっかりチェックされてしまうのでちゃんとメンテナンスをした靴を履いていきましょう。インソールの汚れや表面の傷、また形が崩れてしまっているくたびれた靴は「普段の生活態度が良くないの?」なんて、あらぬ想像もされてしまいかねません。
靴に気を配らないのは靴に対する愛情や執着がないから、ということも考えられます。メンテナンスをして長く愛したい!という靴に出合えれば、自ずと大切にするようになります。
そこで今回は思わず愛したくなる素敵な靴をご紹介したいと思います。
こちらの靴はスイスのラグジュアリーブランド、バリーの「Scribe Un(スクライブ アン)」。うっとりするほど端正で美しいフォルム、艶のある美しいレザー。誰が見ても「いい靴履いてるね!」という印象を与えられる存在感が魅力です。それもそのはず、こちらの靴は200もの工程を経て作られた逸品。キャップトゥと甲の部分の仕上げ、ステッチは1センチにつききっちり9針! これらはなんと熟練した職人による手作業で作り出されているのです。ひとの手で作られたものって、やっぱり味が出る。醸す雰囲気が全然違います。
バリーの歴史は古く、創業は1851年。長きにわたり高級靴ブランドとしてその名を轟かせ続けてきました(現在は靴のみならずレディ・トゥ・ウェアに至るまでトータルで展開)。1951年に創業者の孫であるマックス・バリーによって創り出されたアイコニックな「Scribe」シリーズを、クリエイティブ・ディレクターのシモーネ・ベロッティが現代的に甦らせた「Scribe Un」。タイムレスでクラシックな魅力に溢れ、ドレスアップスタイルからカジュアルスタイルまでオールマイティにスタイリング出来る究極のベーシックモダン。ハンサムな靴はピカピカに磨いて履くのが粋でカッコいい。男前な靴だからこそ、あえてフェミニンなスカートルックに合わせたりするのも素敵なのではないかと思います。
綺麗に磨かれた靴を履いていると、着こなし全体の印象がグッとアップします。長く大切に履き続けることができる“本物”、愛せる一足を育ててみてはいかがでしょう? 心をこめてメンテナンスをして、大切に扱う。これもお洒落の醍醐味の一つです。
BALLY(バリー)
https://www.bally.jp/