連載「青木貴子のラグジュアリー案内」。スタイリストの青木貴子さんが、注目の新作を独自の視点で解説します。
ディオールの“サヴォワールフェール”とは？
「レディ ディオール」ウィッカーバッグ ミニ（H17×W15×D7㎝）￥627,000／ディオール（クリスチャン ディオール）
ラグジュアリーブランドについての記事を読んでいると「サヴォワールフェール」（または「サヴォアフェール」）という言葉がたびたび登場します。さてあなたはその意味を知っていますでしょうか？
これはフランス語の「savvier（知識）」と「faire（技術）」という単語から生まれた言葉。日本語に訳すと「熟練された職人によって作り出される、卓越した技」とでも言いましょうか。わかりやすい言葉に当てはめると「匠の技」というのが近いかもしれません。高い技術を持ったアトリエの職人を抱えているメゾンだからこそ作り出せる素晴らしい製品の数々、逆を言えば彼等の技術があるからこそメゾンの価値が高まるとも言えます。ラグジュアリーの源ここにありと言っても過言ではありません。
今回紹介する「レディ ディオール」ウィッカーバッグも、ディオールの卓越したサヴォワールフェールの象徴と言えるアイテムです。天然の籐（ラタン）を伝統的な手作業で編み上げた逸品。ラタンは木材の中でも折れにくく丈夫で曲線加工もしやすい素材。「ウィッカー」は編み方（編み目）の名称です。
このバッグの作り手の、目を見張るほどの匠の技、生産工程をYouTubeで見ることができます。百聞は一見にしかず！ ぜひこの動画を観てみてください。籐を編む様や、取手部分を細かく作り上げていく過程は、本当に驚くほど緻密。「こんな風にひと作業ごとに手をかけて作っているから素晴らしく、価値あるものが出来上がるのね」と誰もが納得してしまうことでしょう。匠の淀みない手捌き、惚れ惚れしてしまいます。
籐のカゴバッグはこれからの季節のマストバイアイテム。コーディネートに加えるだけで、軽やかな抜け感が出せます。「ディオール ブックトート」に着想を得たという“CHRISTIAN DIOR”シグネチャーの刺繍バンドと、チラリと見える「ディオール オブリーク」ジャガードを使用したインナーポーチが上質感をプラス。サマードレスやワンピースなどのエレガントなスタイルにももちろんマッチしますし、幅広のストラップが付いているのでショルダーやクロスボディバッグとして、カジュアルな使い方もできます。さまざまなシーンで使うことができるフレキシブルなバッグは、活躍頻度がぐーんと上がりますよね。
クルーズ 2022 コレクションで発表されたミディアムに続き、2022 春夏 コレクションではミニサイズも登場。自分にちょうど良いサイズを選べます。
ちなみにメゾンのアイコニックな「レディ ディオール」バッグが登場したのは1995年。なんと当初はこの名前はなかったのだそう。当時のフランスのファーストレディが英国のダイアナ皇太子妃にこのバッグを贈り、彼女が愛用したことをきっかけに注目が集まり、人気を博しました。そして彼女が名付け親となり、「レディ ディオール」と呼ばれるようになったのです。
このアイコニックなバッグは、時代に合わせて新しく、そして自由に再解釈されることにより、新たな息吹を受け、エターナルな魅力を放ち続けています。このウィッカーバッグもその表現のひとつ、なのであります。
そんな「レディ ディオール」についてもっと知りたいあなたは、2022年5月1日（日）から22日（日）まで、六本木ヒルズ大屋根プラザで開催予定のポップアップストアへ。メゾンの象徴、そして伝説として、類まれな運命を辿ってきた「レディ ディオール」の歴史や、サヴォワールフェールの秘密を深く知ることができるほか、「レディ ディオール」が芸術作品そして羨望のアイテムとして、世界中のアーティストによって再解釈されてきた軌跡をたどる「ディオール レディ アート」エリアも備えているそう。この機会にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
クリスチャン ディオール
0120-02-1947
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