家の中に入り込む紫外線=イエナカ紫外線(UVA)は、肌の老化やしみの原因ともいわれています。しみケア(※1)の総合ブランドであるトランシーノの開発に携わる土岐珠未さんに、しみ予防のために気をつけたいことや、製品開発について話を伺いました。
しみを防ぐ有効な手段とは?
ロキソニンSやマキロンなどの医薬品を開発する一方、スキンケア製品の開発にも力を入れている第一三共ヘルスケア。しみケア研究のパイオニアとしての顔も持っていることをご存知でしょうか?
メラニン生成を抑え、しみやそばかすを防ぐ有効な成分として、現在では広く認知されているトラネキサム酸。実は、この成分を世界で初めて開発したのが第一三共なのです。第一三共ヘルスケアは、長年トラネキサム酸を使用した医薬品の開発に取り組んでおり、今ではスキンケア製品でも広く使用しています。
できることなら、しみはできる前に予防したいもの。その方法を聞いてみると「しみの主な要因の一つは紫外線。紫外線対策は、しみを防ぐ有効な手段です」と土岐さん。外出時だけでなく、イエナカ紫外線のケアも重要だといいます。
春からの紫外線対策がしみ予防につながる!
東海大学工学部光・画像工学科准教授の竹下秀先生によると、紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があり、そのうちシワやたるみ、しみの原因となるのはUVAだそう。一方のUVBは、皮膚の炎症を引き起こし、日焼けの原因となる紫外線。ガラスによりUVBは遮断されるのですが、UVAの一部は遮断されず室内に侵入するため、窓を閉めた状態でもイエナカ紫外線対策が大切なのだとか。
さらに注意したいのは、UVAのピークは5月(気象庁および東海大学の測定データより)ということ。薄く白いレースのカーテンがカットしてくれる紫外線は最大50%で、カーテンの種類によっては70%以上UVAを通してしまうそう。皮膚を赤く炎症させるUVBは窓ガラスでカットされるため、イエナカ紫外線(UVA)には気づきにくさもあるようです。特に日当たりのよい部屋で過ごすときは、夏を待たずに紫外線対策の意識を高めたいところ。
「自宅にいるときもケアを心がけることで、しみ予防につながります。ピーク時はもちろん、紫外線はいつでも降り注いでいるので、年間を通して対策しておくと安心ですね」(土岐さん)
トータルケアでしみ悩みを解消したい
UVAによるダメージを皮膚に蓄積させないためにも、積極的に使用したいしみケアアイテム。トランシーノには、内服薬からクレンジングや美容液などの薬用化粧品まで、体の内外からしみケアをサポートするアイテムがそろっています。
「トランシーノは、2007年にしみケアに革新をもたらした肝斑改善薬『トランシーノ』(現『トランシーノ Ⅱ』・第1類医薬品)が起点です。トラネキサム酸の開発メーカーの知見や蓄積されたデータをもとにして生まれました。
私たちが大切にしているのは、エビデンスにもとづく研究開発。トランシーノがしみケア総合ブランドとして成長するなかにおいても、“データを重視する姿勢”は変えることなく開発に取り組んできました」
2020年のスキンケアシリーズリニューアルでは、曖昧な表現である透明感について評価方法を確立したそう。
「リニューアルでは、肌の印象を左右する要素の一つである透明感に着目しました。ただ、透明感は人の感覚によって判断が異なるため、数値化が難しい部分。どのようにしたらその概念を数字で示すことができるのか検討から始めて、効果を科学的に検証していきました」
トランシーノ薬用UVパウダーnの開発においては、前例がないチャレンジだったそう。
「これまでメイク品のように持ち歩くものを開発することがなかったので、中身はもちろん、お使いになる方が、使用中や持ち運びの際、落として容器が壊れるのではという外側のリスク抽出も大変だった記憶があります。パウダーそのものについては、SPF、PAともに最高値で汗による化粧崩れがしにくいウォータープルーフという部分を妥協せずつくりました。肌荒れ防止成分(グリチルレチン酸ステアリル)などを配合し、UVケアしながらスキンケアもできるアイテムです」
日焼け止めの効果を保つためには、こまめな塗り直しが必要なのはよく知られていること。
「メイク後に日焼け止めを塗り直すのは大変ですよね。そんなときはこのパウダーを使ってUVケアを。ナチュラルな仕上がりで使い勝手が良いので、メイク直しなどのタイミングで手軽に、でもしっかりとしみ対策をしていただけます」
「UVプロテクターは、ノンケミカルにこだわり、紫外線吸収剤フリーに。そのうえでこちらもSPF、PAともに最高値という機能面、また使い心地も諦めたくなかったので、処方を組んで試して…を何度も繰り返して完成させました。白浮きすることなく、スッと肌になじむ優しいテクスチャーに仕上がったと思います」
高い技術によって開発されたUVプロテクターは、日焼け止めだけでなく、乳液、そして化粧下地としての役割も。さらにトラネキサム酸がメラニン生成の根源にアプローチ。塗るだけでしみケアまでできる優れものです。
「しみって、できるまではなかなかケアしようとは思えないもの。でも、年齢を重ねたときにケアしていて良かったと感じていただけると思うので、悩みのある人はもちろん、まだ悩む前の人にもメイクの延長で楽しみながらケアしてほしいと思っています」
内側から、しみへのアプローチ
しみケアの意識が高まるなか、注目されているのが体の内側から効いてしみ、そばかすを薄くするホワイトCクリア。しみのもととなるメラニンの過剰な生成を抑え、できてしまった黒色メラニンを無色化。さらに、ターンオーバーを整えてメラニン排出を促進するはたらきが。1回2錠(※2)、1日2回(朝・夕)服用タイプなので、日中飲み忘れの心配もありません。
今後も科学的な視点を大事にしながら、信頼して選んでもらえる製品開発をしていきたいという土岐さん。
「トランシーノはさまざまなアイテムを通して徐々にご注目いただいていますが、これから先、より多くの方に手に取っていただけるよう、より身近なブランドに成長させていきたいですね。ご紹介した製品のほかにも、CCクリームやコンシーラなどがそろっているので、まずは1つ、好きなアイテムから試していただけたらうれしいです」
これからも、しみの悩みに寄り添った誠実な取り組みが続きます。
土岐珠未(ときたまみ)
第一三共ヘルスケア株式会社 研究開発部トランシーノ開発担当。大学院卒業後、2016年入社。製剤研究グループに配属後、2019年10月より現職。
トランシーノ
http://www.transino.jp/
※1 トランシーノ薬用クレンジングn、トランシーノ薬用クリアウォッシュ、トランシーノ薬用UVパウダーnを除く。
※2 成人(15歳以上)。