大人気シリーズのゾンビサバイバルドラマ「君と世界が終わる日に」。ファイナルプロジェクトとなるSeason5で主演を務めたのは、GINGER読者と同世代で、モデルのみならず、俳優として演技の幅を広げ続けている玉城ティナさん。インタビュー中の自然体で微笑む美しい表情とは逆に、彼女の瞳の奥には“演じること”への情熱があふれていた。
ファイナルシーズンの主人公は誇り高き2人の女性
ゴーレムと呼ばれるゾンビが蔓延る“終末世界”を舞台に、生き残りを懸けた闘いが繰り広げられる極限のサバイバルドラマ「君と世界が終わる日に」。テレビドラマ放送後にHuluでシリーズ化し、ついに最終章となるSeason5が2月9日（金）より独占配信される。
本作で主演を務めるのは、玉城ティナさんと飯豊まりえさん。実はこのSeason5、現在公開中の映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』と同じ時間軸で、“ユートピア”を舞台にもうひとつの道として描かれる。
新山明日葉（玉城ティナ）と柊佳奈恵（飯豊まりえ）は、人間の価値によってタワーとアンダーの上下に分断される超高層タワーで「ひとりでも多くの人を守りたい」と奮闘するが、文明崩壊の危機がやってきて…。絶対的なリーダーであり、精神的支柱だった間宮響（竹内涼真）が離脱した後、自分たちの手で未来を切り拓いていかねばならない生存者たちは、どんな未来に向かって進んでいくのか――。
正義とは何か？極限状態で導き出す答え
Season4からこの「きみセカ」に参加した玉城さん。演じるのは、新山財団会長の娘で、刑務所の跡地を拠点に生活するコミュニティのリーダー・明日葉。「汝の隣人（となりびと）を愛せよ」という言葉を大切にしており、常に他人を信じて行動している明日葉は、多くの仲間を率いる中心人物。数々の仲間の死を経て、人類最後の希望の都市「ユートピア」に入るところから物語はスタートする。玉城さんは明日葉役を引き受けたときのことをこう振り返る。
「明日葉は今まで私が演じたことない役です。正義感が強くて優しさがあって。これを演じきったら、きっと俳優人生の自信に繋がるはずと思い挑戦を決めました。ただ、キャストもスタッフもこの作品に長く携わってきた方々ばかりだったので、Season4からの途中参加はある意味プレッシャーでもあったんです。でも、いざ入ってみると皆さんがあたたかく受け入れてくださって、撮影前日までの不安な気持ちは一瞬でなくなりました。そこからSeason5までは、本当にあっという間でしたね」
Season1から始まり、4年間も続いてきた超大作。日本ではあまり類をみない本格サバイバルゾンビドラマに出演する立場として、「ホラーっぽいのは苦手かも」という人にも少しだけ勇気を出して観てほしいと話す。
「まず、作品が続くってこと自体が、今の時代すごく希望があることですよね。ゾンビものっていうあまり日本ではメジャーではないジャンルの作品に完結まで携われたことも、とてもありがたいことだなと。ゾンビサバイバルではあるのですが、演じている私たちはゾンビものだ！と思って演っているわけではなくて…。というのも、物語が進んでいくなかで、人物が変わらなければいけなかった深い事情だったり、複雑に絡み合っていく人間模様だったり。現代を生きる私たちにも通じるような“悩み”が散りばめられているので、そこに注目してみてください。終末世界という特殊な舞台だからより際立ってはいますが、人間の醜さや恋愛模様のいざこざ――実際に身近にある問題と近い内容を扱っていることが、この作品が人を惹きつける魅力なんじゃないかなと思っています」
作品に最も近い場所で携わりながらも、冷静に正確に、俯瞰で全体を捉えている玉城さん。役に対して真摯に向き合ってきたことが、言葉の端々から伝わってくる。そんななかで嬉しかったこととして「まりえとW主演できたのは頼もしく、心強いこと」と柔らかく微笑んで答えてくれたが、竹内涼真さんから渡されたバトンの重さに、計り知れない責任感とプレッシャーを感じたであろうと想像してしまう。より人間同士の対決が鮮明になった本作を玉城さんはどう解釈していたのか、そこには演技に対する深い情熱の火が灯っていた。
「正直、Season1から観続けてくださってる方がSeason5のラストをどんな風に感じるのかっていうのは、バトンを渡された身としてはすごく気になります。これまで響が皆さんを惹きつけてきた魅力とはまた違う魅力を見せなければと思っていたので。明日葉の言っていることが正しいみたいな、頭でっかちのように見えてもよくないですし、みんなが彼女についていきたくなるようなキャラクターにしなきゃいけないっていうのはすごく大事にしていましたし、特に難しい部分でした。
だから、今作では前作に比べて自分自身で考える時間が欲しかったんです。明日葉はどうしてこの選択をしたんだろうって、自分のなかで折り合いをつけることに時間をかけました。明日葉のことを知りたくて、ずっと台本を読んでましたね」
「だからって、寂しかったってわけではないんですよ」と笑う玉城さんは、Season5における美々しい座長であり、誇り高き戦士である。今作は、明日葉の幼馴染で元婚約者でもある漆原冬馬役の柿澤勇人さんもSeason4の最終話から加わり、さらにキャスト陣もパワーアップ。また、明日葉と溝端淳平さん演じる加州宗一とのじれったくもキュンとする恋の行方にも注目している人も多いのではないだろうか。
「これから！ってときに、まさか加州と離れ離れにされるとは思ってもいませんでした（笑）。タワーとアンダー、早々に引き裂かれてしまったので会えない時間は心のなかで想い続けていましたね。現場はスムーズに進んで、すごくいい雰囲気でしたよ。Season4終了後、この撮影に入るまで少し期間は空いたものの、やっぱり前作で積み上げてきたものが大きかったのかな。柿澤さんと溝端さんは元々お友達だったようですぐ現場に溶け込んでいましたよ。まりえや溝端さんと『みんなで頑張ろうね！』って励ましあっていました」
物語が進むにつれ、人類の理想郷であるはずのユートピアは、身分や能力の高い人間のみが住むタワー側と掃き溜めのような劣悪な環境のアンダー側で対立することになる。そんなとき突如、アンダーの反乱軍「レジスタンス」が暴動を起こし――。これまでの対ゾンビから、対人間の闘争へとシフトした、シリーズ最大の人類総力戦が注目ポイントでもある今作。
「今シーズンの命題でもある『正義とは』。これは俳優陣も演じながら迷いが生じていました。そんな経験って今までなかったんですよね。何が正しいのか、これは最後までずっと考えていたことのひとつでもあります。それでも決してブレないのは、それぞれのキャラクターの“信念”です。明日葉でいうと、いくら仲間に裏切られても彼女の持つ優しさや強さは揺るぎないものであったり。前作から通して『ひとりでも多くの人に助かってほしい』と思っている部分は変わらず、より成長した姿を見せられるんじゃないかな。20代30代っていろいろな選択をして、自分の人生を自分で切り拓いていかないといけない世代じゃないですか。今作では彼女が彼女の手で未来を切り拓いていくシーンが見どころかなと思うので、“投影”というとちょっと大袈裟かもしれないのですが、観る人の背中を押すきっかけになれば嬉しいな」
最後に玉城さんに今作にキャッチコピーをつけるなら？と聞くと「ゾンビだけでは終わらない。愛か、正義か」との答えが。必死に闘い生き抜く者、あえなく犠牲になってしまう者――。ドラマのなかの話だけじゃない、混沌とする現代にも通ずるテーマを提示され、考えざるを得ないはず。きっと心揺さぶられる、壮絶なラストを見守って。
Huluオリジナル「君と世界が終わる日に」Season5
出演／玉城ティナ 飯豊まりえ
前田公輝 柿澤勇人 溝端淳平
※2月9日（金）よりHuluにて独占配信スタート
毎週1話更新、全5話
ntv.co.jp/kimiseka/
玉城ティナ（たましろてぃな）
1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。2012年、講談社主催オーディションで初代グランプリに輝き、活動をスタート。主な出演作に『Diner ダイナー』、『ホリック xxxHOLiC』、『窓辺にて』『恋のいばら』、『#ミトヤマネ』などがある。
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