毎晩眠りにつく前に、機嫌良く「おやすみなさい」と言いたい。森カンナさんと一緒に自分を“ご機嫌”にする方法を探しましょう。今回は、自分を取り戻す、大切な時間についての考察。【連載「ごきげんなさい」】
Vol.7 取り戻せ、自分
あぁ、この時間だ。この時間が私には必要だ。そう思ったのは東京から京都へ向かう片道約500キロの車の中だった。
というのも、現在、京都にも住まいを設けている。休みのときは東京から離れて、ゆっくりのんびりしたいなぁとずっと思っていたのだが、その夢を1年程前に叶えた。
元々、学生時代京都に住んでいたこともあって大好きな京都一択だった。京都へは車で通っている。最初は新幹線で通っていたのだが、一人で動物達を連れて行くのは結構な重労働で数回で新幹線移動は諦めた。今はもっぱら車だ。大体、早朝に出発して昼過ぎに着く。
その京都への約6時間の車移動が最近、大切な時間になっている。元々、運転は好きなのだが、一人で無心で運転しているといろんな思い出、アイデアなど、箱にしまっていたものがどんどんと出てくる感覚がある。一人にならないと考えられないことや、一人でないと湧いてこない感情がある。
といっても、普段の生活のなかで案外一人でいる時間も多いのだが、車の中というあの狭い空間でのお一人時間(動物達もいるが)で黙々と6時間運転だけをするのが、私の今のリセット時間になっている。
途中、パーキングエリアに寄って犬達とドッグランで遊んだり、ご飯を食べたり、珈琲を飲んだりする時間もまた好きだ。あと欠かせないのは大声でカラオケで歌うこと。最近は滋賀に寄り道するのにもハマっていて、滋賀をうろちょろして大自然に癒されている。
そしてどんどん京都に近づくにつれて、京都でのやることリストを思い浮かべたりと(ほとんど食べ物リストだが)、目の前のゴールにウキウキする。そんな風に向かっているうちに、東京で知らず知らず力んで頑張っていた自分の殻がどんどんと剥がれていって、軽くなっていく感覚がある。
京都に着いたらそれはもう天国で、運転の疲れなど吹き飛び、ご飯、和菓子、器屋さんなどを飛び回っている。やはり「好き」のエネルギーはとても強い。これからも「好き」と一人の時間を大切にしたい。
今月の一枚
ちょうど祇園祭の日であった。千年以上続くこのお祭り。鉾一つ一つにいろんな想いが込められている。やはり日本の祭りは神秘的で好きだ。
森カンナ(もりかんな)
俳優。富山県出身。映画『湯道』、ドラマ「風間公親ー教場0-」(フジテレビ系)、「なれの果ての僕ら」(テレビ東京系)ほか話題の作品に数多く出演。現在放送中の10月期ドラマ「時をかけるな、恋人たち」(カンテレ・フジテレビ系)にもゲスト出演する。