デビューから今を全力で駆け抜ける俳優・高橋文哉さん。作品を重ねるなかで、見えてきた自分のこと、そして仕事のこと。これから日本のエンタメを背負って立つであろう彼の、今いる場所とは――。前回に引き続き、インタビューの後編をお届け。
大人になるためのアイテムを購入!
高橋文哉さんに責任感が芽生えてきたのには、実はもうひとつ大きな理由がある。それは22歳という年齢だ。
「22歳って、大学に進んだ同い年の友達が社会人1年目になる年なんです。仲間が新しい道に進むなら、僕ももうひとつギアを上げて頑張りたい。それにいつの間にか、年下の方とも共演する機会も増えてきました。事務所でも僕が一番新人だったはずなのに、そうでもなくなりまして(笑)、ちゃんと背中を見せてあげないといけないと、最近はすごく思うんですよね」
その22歳の誕生日、自分への贈り物をしたそう。それが香水と2本のメガネ。
「これまでは自分に2万円以上のモノを買うことはなかったんです。だから以前『GINGER』のインタビューで、これからしたいことを聞かれて、『いいモノが欲しい』と答えましたよね。それを22歳の誕生日に自分で叶えました! 香水は20歳のときに購入していてお気に入りのものをちょうど使い終わったので、20歳のときの思いを引き継ぐかたちで。そしてメガネは、僕のなかで大人の象徴。なんかカッコいいですよね!? 大人になるためのアイテムとして、購入しました」
楽しく仕事をするために自分で考えたい
高校時代は、料理人になることを夢見ていた高橋さん。デビュー当時は、実際に料理の道に進んだ仲間を見てうらやましくなることもあったそう。けれど今は俳優の道以外考えられないほど、仕事に夢中だ。
「最初は、料理の道に行っていたら今ごろこういうことしていたのかな、なんて考えることもありました。俳優の仕事がうまくつかめずソワソワしたり、演じることを楽しめていない日もありましたしね。でも仕事って、楽しいばかりではない、楽しく仕事をするために自分がどうあるべきか、どうするべきかっていうことを咀嚼して、自分で吸収して吐き出すことができるようになったらいい。そんなふうに思います。
それに今は、忙しくしていることで生きているって実感できるんです。基本寝ている以外、仕事スイッチはずっとオン。カメラの前に立つとき、こうして取材でお話しするとき、役の衣装を着ているとき、とかそれぞれにいろんなギアを切り替えて、いろんなモードを楽しんでいるんです」
今、まさにプロのエンタテイナーとして輝きを増している最中。デビューからもうすぐ5年の今、次の5年の目標をたずねると。
「27歳ですね…。そのとき、過去を振り返って、後悔がない状態でいられたらいいな。で、気が付いたら27歳になっていた、それが理想です。デビューしてから今日まで、失敗はいっぱいあるけど、後悔はひとつもないんです。だからそのまま、突っ走れていたらいい。
確かに毎回、クランクインの日は怖いんですよ。だってその役のために、多くの人が時間と手間をかけている。けれどその人たちは、最後にそれを演じる僕に投げるしかない。僕がダメだったら、その人たちの思いを全部ダメにしてしまいますから、プレッシャーです。だから不安要素をひとつずつ減らしていって、その果てに、その人たちの、そして見てくださる人たちの期待を超えたものを作り出せるよう、今は力を尽くしています。そうやって頑張っていく先に、何があるのか、それがとても楽しみです」
映画『交換ウソ日記』
原作/櫻いいよ
監督/竹村謙太郎
出演/高橋文哉、桜田ひより、茅島みずき、曽田陵介、齊藤なぎさ/板垣瑞生 ほか
※7月7日(金)全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/koukan-usonikki/
高橋文哉(たかはしふみや)
2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。’19年「仮面ライダーゼロワン」で主演。以降ドラマ「最愛」「君の花になる」「女神の教室〜リーガル青春白書〜」など話題作に出演。公開中の『ブラッククローバー 魔法帝の剣』では声優を務めた。