コスメやスキンケアのお役立ち情報から自身のライフステージまで、知りたいことをエンタメとして届けてくれる人気ユーチューバー「佐々木あさひ」さんにインタビュー！ 動画のことそしてご自身のことまでたっぷり伺った。
電気屋で働いて技術を習得！？佐々木あさひの意外なキャリア
購入したコスメを紹介、その使用感を伝えるYouTubeチャンネルは、現在数多くあるけれど、日本でのビューティ系ユーチューバーの第一人者と言えば、「佐々木あさひ」さん。まだ日本に美容情報を発信するYouTubeチャンネルなどなかった2008年から、メイクアップ術を披露する動画を配信してきた。
「実は20代前半のころにポールダンスをやっていて、ショーのために派手なメイクをしていたんです。それまでメイクも美容についても人並みにしか知らなくて、どうやったらゴージャスなメイクができるようになるのか、海外のYouTubeを参考に勉強しました。当時、日本にはそのようなチャンネルはなかったので、英語で検索してビューティ系チャンネルを見つけて。やがてそれを自分でもやってみようと思ったのが、YouTubeの世界に入るきっかけでした」
実はあさひさんは、他にも意外なキャリアの持ち主。
「もともと歯科衛生士の学校に通っていたんです。けれど『このままだと私、歯のこと以外何も知らない人間になってしまう！』と焦って、まったく違うことをやってみようと、学校を出てから電気屋さんで働きました。それまでパソコン音痴だったので、電気屋さんで働けば覚えられるだろうと。そこで技術を学び自分でYouTubeチャンネルもつくり、売り場で自分の動画を流しながら『この回線だと、動画もサクサク見られますよ。あ、この動画は私のチャンネルです』って紹介していました（笑）」
30代になって、佐々木あさひに訪れたふたつの変化
仕事から帰って、メイク動画を制作する日々。当時はいっさい喋らずもくもくとメイクをし、ゴージャスに変身していく様子を配信するスタイルだった。海外の視聴者が多く必然的に世界を意識するように。
「もともと海外のチャンネルを見てお手本にしていましたしね。海外のユーチューバーさんとのコラボも増えてきて、だったらちゃんと英語ができるようにならないと、と31歳でアメリカに1年半語学留学に行きました。30過ぎての留学、少し勇気はいりましたが今しかできないと飛び込んで。一方でその1年半で日本のYouTube界もすごく変わりました。いろいろなチャンネルが出てきて、ユーチューバーで食べていける人たちも現れ、取り残されたような感覚になったりもしたんです」
世界を意識しつつ、時代を読むことも大事と、そのころから日本語で話し、メイク術を紹介する現在の動画スタイルも確立していく。そのなかでもうひとつ、あさひさんのなかで変化が。
「それまでは色を扱うのが好きで、顔にお絵描きするように濃いメイクをする動画が多かったのですが、30歳を超え、色ではなく、肌質、スキンケアに興味が出てきた。いわゆる動画映えするのは濃いメイクなんですが、そのときそのときで、自分がしっくりくるものを出していきたいなと。そもそも私がYouTubeをやっているのは、自分の年表を残していきたいから。求められることをするのではなくて、変化していく自分をそのまま映していきたいなと」
そうして、あさひさん自身の興味を映し出すチャンネルへと進化。恋人ができたり、同棲を始めたり、そして結婚よりも前に不妊治療に挑む様子など、ライフステージもありのままに発信。多くの女性たちの支持を集めている。
「どのナプキンがいいのか、なんて動画も昔出したことがあるのですが、不妊治療のことも含めてもっとライトに話せる世の中になればいいと思っているんです。性については隠さないといけないものって私自身も学生時代に思っていて、すごく窮屈に感じていたこともありました。けれどもし私が、不妊治療、妊娠、出産、更年期など自分の人生を通して、ホルモンの影響がどういうものなのか、見せていけたら、皆さんにとっても生きた情報になるんじゃないかと思っているんですよ。私は現在妊娠9ヵ月なのですが、出産の日もカメラを回すつもりでいます！ ボロボロでも、それでいいんだって、当たり前なんだって発信していきたいです」
妊娠9ヵ月のマタニティフォト撮影風景。クールなイメージのあさひさんも新鮮。
佐々木あさひ「ずっと好きでいるために、いい距離感でいたい」
自身を見せていきながら、エンタメとして視聴者に楽しんでもらうため、あさひさんには意識していることがある。
「YouTubeで大切なのは、ありのままであること、そして自分が楽しんでいることだと思うのです。毎日コスメを触って紹介していくと、いつかそれが『仕事』になってしまってコスメのことを嫌いになってしまうかもしれない。再生回数のことだけ考えて、好きでもないコスメを紹介している動画なんて誰も見たくないですよね。それに見ている人は、『あ、この人、楽しんでないな、嘘ついてるな』ってすぐわかってしまうメディアなんです。だから、コスメやスキンケア、そしてYouTubeをずっと好きでいるために、更新頻度も無理のない程度に、まったくメイクしない日もつくる、と心掛けています。人間関係と一緒です。一生付き合うには、いい距離感でいないとね」
佐々木あさひの3つのマイルール
01：自分が楽しむこと
02：再生回数だけを追い求めないこと
03：自分の歴史を刻むこと
佐々木あさひ（ささきあさひ）
1984年8月17日生まれ。2008年よりYouTubeに動画投稿を開始。現在チャンネル登録者数は91万人。数々のビューティ系ユーチューバーがお手本にする存在。YouTube @sasakiasahi
