人が集い、長く受け継がれる場を創造したい――。サステナビリティをコンセプトに、建築デザインを手がけるファラ・タライエさんにインタビュー。
建築デザインのチカラで持続可能な未来を築く
建築デザイナーとして、10年ほど前からサステナビリティを主軸に活躍を続けるファラさん。無駄を極力なくし、建築資材やインテリア素材の持続可能なサイクルを叶える仕組みづくりに奮闘する一方、彼女がデザインするものは既成概念にとらわれず、自由で愛にあふれた、アートな空間。
「サステナブルをベースに、偶然が生み出すミラクルを大切にしています。こうでなければ、というマインドセットを変え、Old+Newの新しい化学変化を描くのが楽しいんです」
日本橋エリアにて新たに手がけた、グローバルスタートアップの新拠点となるシェアオフィス・カフェ「xBridge-Global」も、天井や壁をあえてむき出しにするなど既存の建物を活かしたミニマムでアーティスティックな空間が広がる。
「職人さんたちの個性を感じる塗装をあえてそのまま見せています。壁には若手アーティストの絵を飾り、新たな出会いやスタートアップの技術を体験できる場にもしています」
できる限り光と景色を取り込んだ空間には、使用済みペットボトルやカーペット廃材をアップサイクルしたデザイン家具を配し、こだわりを凝縮。特にポリシーとして大事にしているのが、どう使われるか? のソフト面。
「スタートアップの拠点ということもあり“未来を創るコミュニティの場”として、イベントにも使えるよう省スペースになる折り畳み式のデスクの設計やカフェの展示スペース設置など、さまざまな工夫を施しています。ハードとソフトを一緒に考えないと、機能する場所にならないんです」
まったく新しいことにチャレンジしたい
イランのテヘランで生まれ、5歳からイタリア・ローマで自然と親しみ育ったというファラさん。もともと化学や芸術、生物、天文学、心理学、ITなどの幅広い分野に興味を持ち、すべてを活かせる建築という分野を志した多才な彼女は、「誰も見たことのないものを創造できるのが醍醐味」と建築の魅力を表現する。
そのなかでも大切にしてきたサステナビリティ。
「地球環境の資源を4割ほど使う建築分野。デザイナーが担う責任は大きいです」と語り、余剰や廃棄予定の素材を一括で見られるMatinnoアプリの開発も進行中。
さらに、働く人のマインドフルネスや、未来のスマートシティ計画など携わる案件は多岐にわたり、世界の進化に力を注ぐ日々。
「まったく新しいこと、地球規模で面白いことにチャレンジしていきたいです」
FARA TARAIE(ふぁら・たらいえ)
NewNormDesign代表。イランの首都テヘランで生まれ、イランの大学で建築を専攻。のちに、東京大学、東京大学大学院でさらに建築を学ぶ。