ひとり旅は自分をリセットさせてくれるかけがえのない時間。これまでの旅の経験から、考えたことや感じたこと、学んできたことを綴る連載『ひとり旅×松本まりか=THINK CLEARLY』。
少し長いお休みをいただいて、3年ぶりに海外に行ってきました。行き先はスリランカです。
休みになったその日の朝に日本を発ちました。今すぐここから抜け出したい気持ちで。少し大袈裟かもしれませんが(笑)。でも、今までに体験したことのない地に、一刻も早く行きたかったのです。
まず訪れたのはシギリヤという街。コロンボの空港から北東に車で4時間半走った所にある世界遺産の「シギリアロック」を見てきました。
突然現れる、高さ約200メートルの巨大な岩、その上に5世紀後半に築かれた王宮跡があります。
壮大な風景、歴史の詰まった素晴らしい場所。今しかないと、観光をフルに堪能するスケジュールにしてしまいました。まだ自分自身、インプットする余白もないのに、(余白を作る前に)予定を詰め込みすぎたのは、ちょっと失敗だったかもとあとで反省しました(笑)
まずは自分をリセットしようと思った。
お休みがとれることになったとき、私は自分が何をしたいのかわかりませんでした。
前からインドにもう一度行きたいと話していましたし、これだけ日程があればパリやニューヨークにも行けるかも?と一瞬考えました。演技の勉強もしたいし、お芝居を観るなどインプットもしたい、友達にも会いたい。でも、何かをインプットする前に、まずは自分の状態をリセットしたい。今まで刺激的な毎日のなかにいたからこそ、一度心を整えたい。インプットするのはそのあとなんじゃないかなと思いました。
今回のスリランカの旅の一番の目的は、アーユルヴェーダの専用施設でリトリートすることでした。
4年前の『ホリディラブ』に出演する前に、いろいろ調べて、たまたま見つけたのがスリランカのアーユルヴェーダでした。長期で滞在しなければならず、当時の私は来ることはできなかったけれど、「いつか行ってみたい場所」として、ずっと憧れていました。
その施設に行く前の最初の1週間をシギリア観光に当てました。これまでのご褒美に1日3食のスリランカ料理のビュッフェを思う存分食べた結果、3キロ太ってしまったことは、ここだけの秘密です(笑)。その後、コロンボ近郊の街に移動し、アーユルヴェーダのトリートメントを受けたのですが、そこでの食生活はシギリヤとは真逆、「たったこれだけ!?」と驚く量です。
アーユルヴェーダでは、胃腸を休ませるために、消化のいい野菜や果物をメインに食事は少量に抑えます。私のトリートメントは、デトックスメニューだったので、本当に体が必要とする分だけ。それが、日本で一般に成人女性が食べる食事の4分の1くらいかな? 肉は使わず、油は最低限。スープやサラダといった消化のいい少しの食事をたっぷり2時間かけて食べます。
普段、日本でこれだけの量の食事に2時間もかけることはほとんどありません。でも、一口一口を五感を使って、味や舌触り、匂いや噛みごたえまで、しっかり味わいます。そうすると、五感が研ぎ澄まされて、少量でもお腹いっぱいになるんです。これには自分でも驚きました。
中庭で、鳥のさえずりを聴きながら食べる食事はそれだけで贅沢。心が休まります。食べるということへの意識が全面的に変わったアーユルヴェーダ体験、私はその魅力にすっかり引き込まれてしまいました。
Marika’s Memories/足るを知る、を知る
松本まりか
女優。ドラマ『ホリデイラブ』の井筒里奈役で一躍注目を集める。Amazon Primeにて配信中の『雨に叫べば』にて主演を務める。映画『極主夫道ザ・シネマ』、映画『妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪』がともに公開中。
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