平手友梨奈さんの語る言葉には、ひとつも嘘がない。真っ直ぐに生きる彼女の“私らしさ”を紐解いてみた。
平手友梨奈「シンプルな自分でいたいから“絶対に必要なもの”はつくらない」
「例えば、これがないと安心できないとか、この時間は絶対に必要とか――私のなかに“これがなくちゃダメ”というものは特に存在しないんです。日々、向き合っている“表現すること”だって、生きていくうえで絶対に必要かと聞かれたら…。私は“必要ではない”と答えるかもしれない」
カメラの前に、ステージの上に、彼女が立つだけで惹きつけられ目が離せなくなる。圧倒的な存在感を放つ20歳の表現者、平手友梨奈は何でつくられているのだろうか。その答えを知りたくて「生きていくうえで絶対に“必要”と感じているものは何ですか?」とたずねてみると、返ってきたのが冒頭の言葉だった。
「絶対に必要なものをつくらない理由は…自分はできるだけシンプルでいたいのかもしれません。“必要なもの”が増えると、荷物はどんどん重くなるし、それが手元にないときの不安感や失くす怖さもついてくると思うので」
普段から、やるべきことや考えることをたくさん抱えているからこそ、「荷物はできるだけ少ないほうがいい」と彼女は語る。
「ただ、私にとって“絶対に必要なもの”と“大切なもの”はまた別の存在で。大切にしているもの、大切にしたいものはあります。それは、信頼している人や心許せる人。私は自分自身のことがまだよくわからないし、足りないところもたくさんある。仕事も、人生も、周りの人たちに支えられていると感じるからこそ、とても大切に思っています。そして、心許せる人たちと一緒に過ごす時間はやっぱり、今私の一番大切な時間なんです」
平手友梨奈「20歳の大きな変化と言えば“大切な人”が増えたこと」
最近、そんな“大切な人”が増えた。それは音楽活動をするとき、その世界観を共につくり上げ表現する、ダンサーチームのメンバー。
「もともと、私が心許せる人は数える程度しかいなかったので。正直、自分でも驚いているんですけど。一緒にいる時間が積み重なるにつれ、どんどん距離が縮まって、チームの皆さんの前では“ありのまま”の自分でいられるように。ちょっと期間が空いても、会えば『おかえり』とあたたかく迎え入れてくれる。それが今の私にとって、救いであり、とてもうれしいことでもあって。皆さんの存在も、皆さんと過ごす時間も、今の私にとってはすごく大切なものなんです」
うれしそうに、そして、少し照れくさそうに。ダンサーチームとのやりとりや現場の雰囲気について語ってくれた平手さん。
「やっぱり、一緒にパフォーマンスをする仲間なので。お互いに同じ方向を向いて進んでいく、それが大きいのかなって思うのですが。皆さんと過ごす時間は心地よくて。チームでありクルーでもあり、ファミリーでもある。本当にそんな感じなんです。ただ、心を開ける人や大切な人が増えていくのはうれしいことではありますが、それは同時に、怖いことでもあると感じています。出会いがあれば、別れもいずれ必ずやってくる。大切な人がいなくなってしまう怖さや寂しさは私も知っているので…」
平手友梨奈「誰かや何かに影響されることを恐れずにいたいなって思う」
そう語り「でも、今はいつか出会う寂しさよりも目の前の皆さんのあたたかさを感じていたいというか。怖さや寂しさもひっくるめて、“好きでいること”は悪いことではないのかなって思う自分もいるんです」と言葉を続けた。平手友梨奈は今、自分の中で何かが少しずつ変わり始めているのを感じているのかもしれない。
「6月25日の誕生日に21歳になるので。周りから『20歳はどんな一年だったか?』と聞かれたりすることもあるのですが、その答えは…18歳も、19歳も、20歳もずっと同じ。この世界に入ったときからずっと言い続けている気がするのですが、去年も今年もやっぱり“いろいろなことがあった一年”なんです。『変わったか?』と聞かれたら、今も昔も“基本的な部分は変わらない”、それが私の正直な感想で。今日もインタビュアーさんの質問に対して何度か同じような答えを返してしまって。“まるでコピーみたいだね”って一緒に笑ってしまったんですけど(笑)。それくらい、自分の芯は変わらないし、変わってはいけないような気がしています。ただ、その芯を肉付けする部分はもっと柔らかくてもいいのかなって思う自分も。相変わらず嘘がつけないし、決して器用ではないし、私は私の歩き方しかできないんですけど…。誰かや何かから学んだり、影響を受けたり、それは恐れないでいたいなって。うん、それはこれからの自分の課題でもあるのかなって」
変わらない自分だけでなく、変わりゆく自分も少しずつ楽しみ始めている。それが20歳の平手友梨奈の現在地。
「21歳はどんな一年になりそうか? 未来のことはわからないけれど…。何か良いことがあったらいいなって思っています(笑)」
平手友梨奈(ひらてゆりな)
2001年6月25日生まれ、愛知県出身。2015年8月、欅坂46の一期生オーディションに合格。CDデビュー以降、センターポジションを務め、2020年1月まで欅坂46の中心メンバーとして活動。2018年、映画『響 -HIBIKI-』にて映画初出演にして初主演を果たし、「第42回日本アカデミー賞」新人賞をはじめ、数々の賞を受賞。2020年12月に1stデジタルシングル「ダンスの理由」をリリース。ソロアーティスト、女優としてその表現力に注目を集める。2022年7月からスタートするテレビ朝日系 木曜ドラマ(21:00~) 「六本木クラス」にて麻宮葵役で出演。
平手友梨奈オフィシャルサイト
https://hirateyurina.jp/s/hy/
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