2022年5月27日公開の映画『20歳のソウル』は、20歳という若さで人生の幕を閉じた青年の生き様を描くノンフィクション小説の映画化。主演を務める神尾楓珠さんが作品から感じたこととは。
“演じる”とは、一人の人生を生きること
音楽と仲間を愛した青年の人生を描いた『20歳のソウル』。神尾さんは、病と闘いながら前向きに生きた青年・浅野大義役を熱演する。初めてのノンフィクション作品ということもあり、役作りのために関係者に話を聞いたそう。
「撮影前に、大義くんのお母様や、所属していた吹奏楽部顧問の高橋先生のお話を伺いにいきました。大義くんは、とにかくまっすぐで友達思い。だから、そこだけはブラさずに演じました」
実在する人を演じたことで得たものも大きかった。
「役との向き合い方が変わりました。大義くんを演じたことで、一人の人生を生きるのはどれだけ大変なことか気づかされました。この作品以降は、たとえフィクションでも“一人の人生を生きている”という意識を持つようになりました」
あの頃のキラキラした時間を思い出す
10代の輝きと青春を感じるシーンが満載の今作。神尾さん自身も、懐かしさを感じたのだとか。
「シーンそれぞれで、誰もが思い起こす部分があると思います。僕は、先生や女子に怒られるシーンを懐かしく感じました。僕自身、文化祭の準備をしていないとか、合唱コンクールの時に声を出していなくて怒られた経験があるので(笑)」
描写のリアルさも、“懐かしさ”を感じさせる要因。舞台となる千葉県船橋市立船橋高校は浅野さん在籍時を再現。さらに同級生を演じる前田航基さん、若林時英さんをはじめとする共演者たちとの息もぴったりだった。
「高校時代の撮影はめちゃくちゃ楽しかったです。航基は1回共演していて、時英も3回目でもともと仲が良かったので、すぐに空気がつくれました。2人はアドリブで言葉をうめたりするのですが、1回僕のセリフを取られてしまったことがあって。“言うなよ”みたいなやりとりもあって笑顔あふれる現場でした」
そんな神尾さん、自身の高校生時代はどんなタイプだったかというと…。
「常に真ん中にいる大義くんとは違い、真ん中に誰か立たせておいて、裏で目立とうとしているタイプでしたね。あいつだけ一歩引いていて逆に気になるな、という立ち位置を目指していました(笑)」
全力で生きるために
作中、随所で響く“今を生きる”というメッセージは、神尾さん自身も噛み締めている。
「明日が来ることが当たり前ではない。1日1日を全力で生きないといけない、と改めて思いました。
懸命に生きた大義くんは、周りの人に愛されて、みんながついていくような人柄。それは大義くん自身が周りをよく見て、嘘がない生き方をしたからだと思います。悲しいシーンもありますが、見終わったあと清々しい気持ちになるほど、後味のいい作品です。完成版を観て、僕自身背中を押してもらいました」
実は神尾さん、この仕事をするまではすぐ殻にこもってしまうタイプだったそう。
「人見知りで、兄の後ろに隠れているようなタイプでした。この仕事を始めてから、交友関係が広がりましたね。社交性という面では、相当成長したと思います。以前は人と比べてしまうことも多かったけれど、今は比べなくなりましたし。これからも自分のペースで進んでいきたいと思っています」
公開中!『20歳のソウル』
千葉県船橋市立船橋高校に通う浅野大義(神尾楓珠)は、トロンボーンを担当する吹奏楽部員。甲子園出場を目指す野球部のために作曲した「市船soul」は、試合で演奏されると得点を呼ぶ“神応援曲”として代々受け継がれている。音楽と仲間を愛し、将来は「母校の吹奏楽部顧問になる」という夢を持った青年の身体は、がんに侵されていた――。
監督/秋山純
脚本/中井由梨子
出演/神尾楓珠、尾野真千子、福本莉子、佐野晶哉(「Aぇ!group」/関西ジャニーズJr.)、平泉成、高橋克典、佐藤浩市 ほか
原作/「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」(小学館刊)/「20歳のソウル」(幻冬舎文庫) 中井由梨子 著
https://20soul-movie.jp/
神尾楓珠(かみおふうじゅ)
1999年1月21日生まれ、東京都出身。2015年、24時間テレビドラマスペシャル「母さん、僕は大丈夫」(NTV)で俳優デビュー。2019年にドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です」(NTV)や映画『うちの執事が言うことには』など話題作に出演。『恋は光』(6月17日公開予定)、『HiGH&LOW THE WORST 続編』(2022年秋公開予定)が待機中。