芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で世の女たちの生き様を観察します。
第45回 “カルマポーチ”を持つ女、持たない女
賢い女はメイク道具をメッシュポーチに入れている、と思う。
もちろんブランドものはいい、間違いない。
使っているだけで格の違いを感じるし、経済の余裕を一発で知らしめることができる。(そう考えている時点で貧乏臭い私なのだ)
だからこそ一つのシミも許されないのが怖い。少しファンデの滲みがあるだけで貴族のポーチだったはずのそれは「貴族に憧れている」人のポーチになってしまう。
だからと言ってすぐに買いかえることもできず、色・形すべて気に入っているのに「ここのシミ…」というカルマをしばらく背負うことになる。
また皮でできていたりエナメルでできていたり中身が見えないのも、難点である。
使いやすさ、通気性、0点。故に衛生面も0点。0点な故に微弱な生命力、つまりサステナビリティも0点。こんなにも0点ポーチに神経をすり減らして持つこと、他人の赤子の夜泣きに付き合うも同然の如し。
以前めちゃくちゃ可愛い女の子がジップロックに三つくらいに小分けにしてメイク用品を入れていたときはつい見入ってしまった。中身は見えるし、すぐに新しいのに取り替えられるし、気兼ねなく使える、0点なのは保護力だけ。
みんなに見せるようにそれを広げたので「こう見えて私ガサツなんです」感は否めなかったが、どうしたって好感度は上がった。
だけどこういう人が使うから賢明な選択に見えるだけで、本来私とかが使ってたら横から「いらないポーチあげようか?」とか言われちゃうから、だめ。ジップロックは少しマニアックすぎるのだ。
巾着型はカバンの中でものが飛び出したり、あまり量が入らなかったりするし、ナイロンポーチやビニールポーチも軽くてお手軽に見せかけて意外とファンデの汚れが落ちづらくすぐカルマポーチになるし。
そこへきてすべてをクリアしているのがやはりメッシュポーチなのだ。
一度使ってみるとこの快適さったらない。上記の条件は当たり前のようにクリアしているし、ファンデのシミなんて食器用洗剤でトントンしたら一発で吹き飛んでくれる。
私のオススメはジップの部分がアーチでかまぼこのような形をしてマチがあるもの。
下地から入れてもそんなに膨らまず、意外とバッグの中で小さくなってくれてかさばらない。
それでいて黒くて大きかったらもう百均のでいい。セカンドバッグみたいに持ったら深夜の通販番組でアンミカさんがゴリ推ししていたこだわりの一品に見える。
どうでしょう、このポーチへの見解。
試しに電車でメイクをしている女性、見てみてほしい。けっこうな確率でカルマだらけのブランドもののポーチを使っているはずだから。
最後に
電車でメイクする女性とかけまして
レスポンスがない人と解きます
その心はどちらも
そんなに変身(返信)しないでしょう
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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