モデル、演奏家として世界を舞台に活躍するCocomiさんがデビューアルバムをリリース。音楽と向き合い、音と一体化した彼女のみずみずしい感性の源とは――。
記憶や経験。さまざまな“愛”を表現したアルバム
彼女が奏でるフルートの音色とともに、ディオールのファッションを纏ってパリの街を歩く姿が世界中を駆け巡ったのは約2年前――それは、Cocomiさんがディオールのアンバサダーとして、彗星のごとくデビューしたときの映像。音と一体化した独自の感性こそ、唯一無二なCocomiさんの魅力。3歳でヴァイオリン、ピアノを習い始め、11歳でフルートの道へ。幼いころから音楽に本気で向き合ってきた彼女が奏でる旋律は、まさに“自分自身”なのである。4月29日にデビューアルバム『de l'amour』をリリースし、演奏家として本格的な活動をスタートさせた。
「お話をいただいたとき、たとえようがないほどうれしくて、現実なのか夢なのかがわからなくなり『本当に!?』という言葉が第一声でした。デビューアルバムのインスピレーションを得た曲は、プーランクの『愛の小径(こみち)』。この歌の詩は、“この小径はあなたと一緒に通った道…”と愛した人との美しき思い出、愛おしい記憶を描いているのですが、今回のアルバムは私にとって、とても大切な思い出、愛おしいほどの素敵な体験をさせていただいたものなので“愛”という言葉を入れたくて『de l'amour(愛の)』というメッセージを込めました」
ヴァイオリニストのレイ・チェン、ギタリストのミロシュ、ピアニストのニュウニュウをはじめ、今作品では世界で活躍するクラシック界の8人のスターたちが参加し、コラボレーションが実現。
「初めての合わせのとき、作品に参加してくださる方が豪華すぎて何を話したらいいのかわからなくなり、突然、口下手になってしまったほど(笑)。皆さんそれぞれ方向性や音楽の感じ方、表現方法が違うので『この方はどうやってくるのかな?』という部分に、毎回ワクワクしました。ピアニストの牛田(智大)さんと金子(三勇士)さんとは一緒にレコーディングをさせていただいたのですが、合わせをしたときのディスカッションを含めて『こう言ったら、どう返ってくるのかな?』という掛け合いみたいなものに、とても興奮しました。出来上がった作品を聴いたときにまず感じたことは、収録した日の自分がそこに映し出されている気がしました。まだ収録して日が浅いのですが、今の私と全然違うなと。今私が演奏するならこうするのに…ってもうすでに反省です。と同時に『次はこうやってみたい』などの気持ちも芽生えて、未来に続く楽しみが増えました」
満足せずに、常にハングリーでいたい
モデルデビューした2年前のインタビューで「私にとって音楽は、何が起こってもずっとやり続けていたい――そう思える唯一のもの」と語ったCocomiさん。
「今でもその気持ちは、まったく変わっていません。演奏家としてデビューさせていただき、自分が奏でていくうえでまだまだ学ばなければならないことがたくさんあると肌で知りました。満足せずに、常にハングリーでいたいなと改めて感じて。この2年間でモデルや声優などたくさんのことをさせていただき、その経験値はデビューしてからいただいたプレゼント。刺激されることがいっぱいあるので、それが何らかの形で自分に結びつき、学びになっているのかなと」
分野や国境を超え、多才なプロフェッショナルたちと仕事をするCocomiさん。次々と訪れる新しい挑戦を目の前に、プレッシャーや不安を感じることなどはあるのだろうか。
「プレッシャーはもちろんあります。家族も含め、私の周りはアーティストとしてそれぞれが活躍している。でもそれはプレッシャーよりも刺激になっているほうが大きい。プレッシャーに負けてしまうぐらいなら、とっくにやめていると思います(笑)。私は常に、自分自身を冷静に俯瞰するようにしているんです。“身を任せる”という言い方は好きではないのですが、今、自分ができる100%を注ぎ込んで、その次に何が待っているかは自分へのサプライズにしたいと思っています」
モデル、音楽家、ひとりの女性として、これからの20代、30代をどう成長していきたいと思っているのだろうか。
「今できるベストを尽くしたいという気持ちは、いつまでも持ち続けたい。また、知識をずっと蓄えていきたいので、学ぶことをやめたくないですね。あと…20代で結婚したい。その夢は、変わらないです!(笑)」
Cocomiの感性をひもとく12の質問
Q. 何をしているときが、至福の時間?
食べているとき(笑)、寝るとき、自分の好きなことをするとき。アニメやゲームだったりの“ご褒美タイム”が至福の時間です。
Q. 日常、どんなことにときめきますか?
小さいことでも、すぐにときめきます。いろんなものにキラキラされやすくて。最近は、育てている多肉植物のお花が咲いたのを見たとき、ときめきました。
Q. 五感――聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚。それぞれの言葉を聞いて、真っ先に思い浮かべるものは?
五感すべてに“心”というベースがあるとして、聴覚は“脳”と“肌”。音を肌で感じるから。触覚はそのままで、“肌の感覚”。視覚は“一目惚れ”、“ときめき”、“心”。嗅覚は記憶が強く結びついていると思うから“記憶”。味覚は…食べたものがすべて自分の将来や健康に影響するので“血”。
Q. 五感を磨くためのルーティンはありますか?
毎朝、妹に「カーテン開けて」って怒られるので(笑)。カーテンを開けたあとに日差しを浴びて瞑想をしています。
Q. 最近、感動して涙したことは?
アニメの「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」をもう一度、見直したとき。毎回、泣きます(笑)。
Q. Cocomiさんの美しい肌と髪。日常で美容に気をつけていることは?
髪は必ず、つげ櫛でとかすようにしています。つげ櫛を使い始めて、髪が変わってきました。また、ちゃんとお水を飲むようになりました(笑)。
Q. Kōki,さんによるトレーニングはまだ続いている?
最近はまったくですね(笑)。妹ちゃんのトレーニング、結構厳しいんですよ(笑)。
Q. 食生活で気をつけていることは?
幼いころから「野菜から先に食べる」と教わってきたので、気をつけています。あとは…お醤油をつける量を、ちょっと減らそうと意識しています(笑)。
Q. Cocomiさんにとって、「美しい人」はどんな人?
まっすぐに自分を持っている人。常に前に進みたいという意欲がある人が美しいと思います。
Q. おしゃれの仕上げに欠かせないものは?
香水。見えない美しさとして、香水までちゃんとつけたいなと思います。最近のお気に入りは「ミス ディオール オードゥ パルファン」。
Q. 座右の銘は?
前進あるのみ。
Q. 自分を褒めてあげるとしたら、どんな部分?
すごく悩んでいたり、めちゃくちゃ追い込まれている状態でも、すぐに寝られるところ(笑)。
Cocomi(ここみ)
2001年5月1日生まれ、東京都出身。フルート奏者、音楽家。3歳からヴァイオリン、11歳でフルートを始める。ヤマノジュニアフルートコンクール優秀賞3回、最優秀賞1回並びに特別賞受賞。ʼ19年には日本奏楽コンクールで最高位を受賞。管楽器部門第1位とともにフランス近代音楽賞を受賞。ʼ20年3月にDiorとアンバサダー契約を発表し、モデルとしてデビュー。ʼ21年には映画『漁港の肉子ちゃん』で声優に初挑戦をするなど、さまざまな分野で表現者として活躍の場を広げる。