時代の流れを読む、風に乗るとはどんなことなのだろう? その答えを見つけたくて、まるで風のように生きている佐藤健さんに会った。役者として数多くの主演作を持ちながら、次々にやってくるまったく違うジャンルのチャンスも見逃さずにしっかりキャッチし、アクションを続けている人。時代が変わっても環境が変わっても、さらに優雅に、自由に飛び回る佐藤さんの今の気持ち、未来への想いを聞いてみた。
新しいフェーズを迎えた今をどう生きるか
200年続いた“土の時代”が終わり、“風の時代”が始まったといわれる2021年。その貴重な切り替わりに、私たちは生きている。佐藤さんもまた、同じように。
「占いを信じる、信じないはいったん置いておき、新しい(風の)時代に入ったというのには共感できるし、僕のなかには納得感があります。ここ数年は特に、それまでの常識にとらわれずに個々がしたいことをしやすくなってきたと感じていて。例えば今までなら、高校や大学を卒業すると社会人としてどこかの会社に就職をするというフォーマットがあったと思うんですが、今はそうじゃない。どこに就職したいのかではなく、どういう人生を送りたいか、自分はどうやって生きていきたいのかをまず考えて、そして実現する時代なんじゃないかな。つまり、“自由”が選べるようになってきたのかな、とも。僕は昔から、比較的自由にやらせてもらったほうですが、それでもより自由を感じているし、この先はもっと自由に生きていきたいと思っています」
常に客観的な視点を持つように
佐藤さんのここ最近の行動はどれも時流にうまく乗っている。それだけではなく、発信力の高さも伴って、自らも風を起こしているのではないだろうか。
「時代を捉える力は、どんな環境においても大切。僕も、できるだけ読み違えないようにしたいと思っています。今は個人の意見が可視化される時代でもあり、一つの行動がネットを通じて社会や世界に広まりやすくなっている分、個々の見せ方に気をつけることも必要ですよね。だから僕も、ただ感覚で生きている、というわけでもなくて、常に客観的な視点は持つように意識しています」
剣心とともに生きた10年を振り返って
役者として数多くの代表作を残してきた佐藤さんだが、なかでも最も長く演じ続けてきた人物が緋村剣心だ。『るろうに剣心』シリーズの1作目が公開されたのは2012年。以降、’14年には2本連続公開で大きな話題となり、いよいよこの4月から『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が連続公開。7年ぶりとなる待望の新作にして、ついにファイナルを迎える。
「最初は剣心にこうあってほしいという理想があって、そこに自分を近づける努力をしてきましたが、今では久しぶりの現場でも剣心を思い出す作業はしません。剣心ならここでこうして、こんなことを言うだろうというのがすぐわかるから、それを体現していくだけ。そうやって剣心とともに生きてきたことは特に非日常でもなく、僕にとってはいたって自然でした。ただ、いつも現場に入っているときはフラットに過ごしているつもりなんですが、完成作を見たときに、あぁこの時期は役と一体化していたんだなあ、と毎回のように感じていた。そして最終章がやっぱり一番そう思えた。これで完結してしまうと思うと当然寂しさもありますが、それ以上に、最後まで走り抜けることができた達成感、さらには剣心を演じることへの責任からの解放感にあふれています(笑)」
映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』公開へ
「剣心にとって最も大事なエピソード。これをやらずに“るろ剣”は終われない」と制作陣が覚悟を決めた『るろうに剣心』シリーズの最終章。剣心に復讐するために東京を総攻撃する、シリーズ最強の敵・縁が登場する『The Final』では、剣心が斬殺した妻・巴の存在が明らかに・・・。そして幕末の時代へと遡り、剣心の頬に刻まれた十字傷の謎に迫る『The Beginning』。究極のクライマックスが2部作連続公開!
【出演】佐藤健、武井咲、新田真剣佑、青木崇高、蒼井優、伊勢谷友介ほか
【監督】大友啓史
『るろうに剣心 最終章 The Final』4月23日(金)全国ロードショー
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』6月4日(金)全国ロードショー
佐藤健(さとうたける)
1989年3月21日生まれ、埼玉県出身。2007年にドラマ「仮面ライダー電王」で初主演。連続テレビ小説ドラマ「半分、青い。」「恋はつづくよどこまでも」、映画『バクマン。』『何者』など、代表作を多数持つ。主演映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』では日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。主演映画『護られなかった者たちへ』がこの秋公開予定。