女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第27回 二択しかない女
すぐに白黒つけたがる女友達(32)がいる。
例えば、せっかく友人が開いてくれた飲み会で出会いがあっても、第一印象でありなしを判断し、それ以上の興味は一切示さない。
30代に入ってからは、その場でその男性陣の誰かと自分が結婚するところまで想像して、「自分はこのレベルの男と妥協して結婚するしかないのだろうか? それなら結婚なんてしなくていい!」
と一人絶望していたりする。
本人は自分を「堅い女」と称しているが、男性陣からしたら意外とこういう女性の方が“チョロい”のかもしれない。
昔、テレビで営業マンが言っていた話で、なるほどと思ったエピソードがある。
「疑り深い人間ほど、物を売りやすい。
そういう人間は、抱いている疑問点をこちらがひとつでも解消すれば一気に心を開き、あとの話はさほど説明しなくてもすべて納得するからだ」
そこに、「期間限定」とか「今だけ」なんていうワードを加えれば、こちらのものらしい。
男性にすぐに不信感を抱くその友人も、少し的の得た褒められ方をするとすぐに心を開くところがある。
最初は、「そんなにいうなら話くらい聞いてあげてもいいけど?」と上から目線だったはずなのに、気付けば彼の連絡を待っている。
その時間が長ければ長いほど、
「もしかしてすごくいい男だったんじゃ!」と逃せない案件になっていくのだ。
「顔も意外と悪くはないかも、ていうか私は好き」
「服も別に、最悪私が選んであげればいいし」
「仕事もいつかちゃんとしてくれたらいいし、私も貯金ないわけじゃないし」
「自分の親にはなんて説明しよう・・・?」
最初に掲げていた理想なんて跡形もなく、間口はガバガバになっていく。
その極端すぎる情緒に相手の男性は何かを察し、勇足で退散。
連絡が完全に途絶えて、強制終了してしまうのだ。
「自分は人よりも賢くて気難しい」と思っている人ほど、気付かないうちに自身を見失う可能性が高い。自分の気持ち優先で、相手の行動がまったく掴めていないのだ。
作ってたはずの鉄壁は、眼中にもなかった雑魚によりあっという間に崩壊される。
白と黒の間に、グレー、さらには白寄りのグレー、黒寄りのグレーを作って、ゆとりを持って判断する必要がある。
最後に、
判断が速すぎる女とかけまして
赤ちゃんと解きます。
その心はどちらも、
目を奪うほど一瞬で寝返るでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。