女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第25回 レースを好む女
最近、電車でこんな女を見た。
総レースのワンピースにハート柄バック。
さらには薄ピンクのレースで出来たマスクを装着している。ラインストーンもほどこされ、見るからに女子力が高く、趣味嗜好が一発で伝わる装い。
「最近はこんなマスクもあるんだな〜」と眺めていると、どこか違和感を覚えてくる。
レースの雰囲気とラインストーンが相まって、だんだんとパンティーを口に当ててるように見えてくるのだ。
わたしの目が腐りすぎているのか、一度パンティーに見えたらもうそれにしかみえなくて、「パンティーを口に当ててこの人恥ずかしくないのだろうか?」と疑問すら湧いてくる。
しかし、観察を続けていると、このマスクを下品なものにしているのは、この女性にも落ち度があることに気付く。
その後の3駅分、延々指で耳をほじり、取れたカスを床に捨てていたのだ。
よく見ると、レースからブラの紐が浮いてみえているし、スカートをはいているのにずっと股を開いたまま座っている。
とてもレースを愛でる心を持った人間の所作ではない。なんだか雑なのだ。
このように可愛らしいワンピースを着ていたり、キャラクターを身にまとう女性ほど、カバンが全開だったり、お手洗いの後、手を洗わないなどガサツなことって結構ある。
それを見るたび、わたしはカラオケやラブホテルの壁紙を思い出してしまう。
豹柄だったり、それこそ雑なレース模様だったり、「パッと見、それっぽかったらいいでしょ」感がひしひしと伝わり、余計安っぽく、いやらしいのだ。
それでいてところどころ剥がれていたりする。それなら最初から潔く無地でいいのだ。
レースというのは下着だけでなく、人間性も透けやすい素材なのかもしれない。
最後に、
レースすぎる女とかけまして
電車の中で耳掃除と解きます。
その心はどちらも、
そこに目にあまる正装(清掃)があるでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。