私たちがファッションに目覚めた10代のころ、ファッション誌の表紙を華々しく飾っていたカバーウーマンたち。年齢を重ねてもなお、美しく輝き続けている彼女たちは、どんな道を選び、そして歩んできたのか。その姿から、自分らしく生きるヒントを学びたい!
モデルと女優の仕事を両立させ、ポジティブなオーラで人を魅了する女性、山田優。彼女の"今まで"と"今"をフィーチャーします。
自分発信の欲求が少しずつ溜まり、いきなり髪をショートに
自分の意見を伝える。意識が変化
もっとも大きなターニングポイントは、同世代の女性たちのアイコンとして一時代を築いた『CanCam』モデルを卒業した24歳のころ。この時期から一表現者として、仕事への意識が大きく変化していく。
「『CanCam』のときは与えてもらった仕事を精一杯やるというスタンスだったけど、GINGERに来たぐらいからかな、自分の見せ方を発信していくようになりました。それまでも伝えたい欲求はあったけど、若いころから大人のなかで仕事をしていたから、自分で自分を勝手に押さえつけているところがあったと思います。いきなり髪をショートにしたりとか、やりたかったことを自由にやってみたり。でも、そうなったきっかけは旦那との出会いも大きかったです。現場で自分の意見をはっきり伝える姿を見て、自分もちゃんと言わないといけないなって意識が変わっていきました」
年齢を重ねるにつれて、仕事の意識も変化していったという優。さらに、新たな挑戦だったのは女優としての仕事。現在では、映画やドラマ、舞台など幅広いフィールドで活躍。両輪があって初めてバランスが取れるというモデル、女優それぞれの魅力を聞いてみました。
「写真1枚」で表現するそのエネルギーが好き
「私自身、モデルがメインという意識はなくて。自分のなかではモデルも女優もどっちもメインの感覚。ただモデルに関しては『この服はこう着こなせるはず』とか『このポーズがこの服には絶対合う』とか、どこかしらに自信はあるかもしれない。そこは一瞬一瞬を切り取っていく雑誌=写真ならではの面白さでもあって、一枚一枚に自分のエネルギーを懸ける一点集中の緊張感がすごく好き。あとやっぱりファッションが大好きだから、最新の服を着てプロの人たちにキレイに作ってもらえる現場は楽しいです」
「モデルは自分ではなく服を美しく見せるのがお仕事。TGCのようにモデルを立ててくれる場では自分自身を出すけれど、雑誌の場合、あくまで主役は洋服。いかに服がキレイに映え、見た人が買いたいと思ってくれるか。その意識は昔も今も変わらないです。そのうえで『優ちゃんが着ているといいよね』って、ちょこっと思ってもらえたらうれしいかな(笑)」
いつやっても満足しない。だから女優は面白くて楽しい
「お芝居はいつやっても満足できないお仕事。同じ役でも演じる人によってアプローチが変わるから、選択肢はいっぱいあるけど正解はない。『これは当たりだろうか?』って悩みながらやって、結局、満足できないからまたやりたくなる。その繰り返しです」
「でも、緊張のなかになんとも言えない気持ち良さがあって、特に舞台のお仕事はとっても楽しい。映像には映像の良さがあるけど、やっぱり私はお客さんの熱気をダイレクトに感じるナマが好きなんですよね。だからモデルの仕事もファッションショーが好きなんだけど、舞台の場合は同じ作品でも演者さんそれぞれのコンディションによって毎回変わるから、そこに合わせて自分はどう変化していこうか、その日その日に違う学びがあり、予測できないナマ感にドキドキワクワクしちゃう。で、さらに終わったあとの達成感がまたたまらない。あの、ふわっとした高揚感は舞台やステージでしか得られないもの。何度味わっても快感なんです」
自分らしい仕事の選び方、進め方を見付け、楽しんでいる彼女。仕事とプライベートのバランスを上手に取りながら、山田優にしかできないことを表現していく——。そんな"これから"の彼女にも注目です。
山田優(やまだゆう)
1984年7月5日生まれ、沖縄県出身。モデル業と並行して数多くのドラマや映画のほか、ミュージカル『シティ・オブ・エンジェルズ』などに出演。女優としても幅広く活動を続ける。