まさにGINGER世代ど真ん中を生きる、田中みな実さん。場を仕切り、盛り上げ、ボケもツッコミもこなす知的な仕事人として、コスメ愛を探究する美容賢者として、チョコレートをこよなく愛する乙女として、その人気と注目度はますます上昇中。 そんな彼女が本音で綴る連載コラム「田中みな実 ここだけ話」。今回は、結婚式にまつわるあれこれ。(編集部)
今回のテーマ:逃避
幼少期から可愛がっている従弟の結婚式に参列した。幸せいっぱいの、それはそれはとても良いお式だった。にもかかわらず私は、披露宴が終わると逃げるように会場をあとにしていた。たっぷりの愛で充たされた空間から一刻でも早く“ワタシがいるべき世界”に戻りたくなったのだと思う。
同世代の結婚式ラッシュはピークを過ぎ、30代も半ばに差し掛かると、報告だけだったり、ごく少数で海外やガーデンパーティーで済ませるなど、ライトな形式をとる場合が多く、所謂ちゃんとした披露宴会場でのお式は久しぶり。新郎新婦は高校の同級生で共に26歳。ゲストも当然その世代で、集合写真のポーズが人差し指と親指をクロスさせて作るタイプの最新のハートマークポーズだったりして。入場曲は西野カナ、プロフィールの“ハマっているもの”の欄には【タピオカ♡】、お色直しのドレスはディズニーのプリンセスさながらのチュールがふんだんにあしらわれたカラードレス。
20代半ばに夢みた理想。初々しくてさ、可愛くってさ、私は一生経験できない若人の結婚式。「羨ましい」「次は私よ!」とか、そんな気概はなくて、どこまでもピュアなふたりの姿が眩しくて目を細めていた。隣には3歳になった姉の子供がおめかしをして座っている。私だけが取り残されているようだった。
帰宅して早々、余所行きのワンピースを脱ぎ捨ててキャミソール1枚になったら洗面台の掃除に取り掛かる。ずっと後回しになっていたのよね。ここがきれいになれば自分のことをほんの少し認めてあげられる気がした。