ドラマ「中学聖日記」で衝撃的なデビューを飾ったさん。俳優経験ゼロで、主演の相手役という、まさにビッグチャンスを掴みました。そんな握力の強い岡田さんの、今までとこれからをインタビューしました!
18歳のとき、新しい自分と出会う
昨年末の「中学聖日記」の大ブレイクを思うと嘘のようだが、岡田さんが東京に上京したのは、昨年の春。まだ1年しか経っていないのだ。
地区大会準々決勝敗退で終わった甲子園の夢。野球の特待生で高校に入ったのに恩を返せなかったという思いが、岡田さんの心にずっと残っていた。ところが地区大会終了後すぐに、校長先生の推薦もあって、演劇部の顧問から「演劇部に入らないか」と声をかけられた。これが、岡田さんの運命を大きく変えていくことになる。
「野球部から演劇部なんて、どうして?ってよく聞かれます。当時は『これで野球で返せなかった恩が返せるかも』という思いがきっかけでした。通っていた高校は、野球だけでなく演劇部も盛んだったんです。自分と違う人間を演じるということが、やっていくうちにどんどん楽しくなるんですね。もちろん、舞台に上がる前は緊張するんです。でも、言葉ではうまく表現できないんですが、“あ、これだ!”と思える瞬間が何度もあって、ものすごく気持ち良かった(笑)。最後は自分自身でも驚くほど、楽しかったことを覚えています」
真摯に向き合う姿が、人を動かす
人生のタイミングが18歳で一気に押し寄せた岡田さん。大きな決断をしながらも、ひとつずつしっかり考え自分で選ぶというプロセスを積んできた。だからこそ、大きな迷いや戸惑いもなかったという。
「両親の教えもあると思います。きちんと考えること、いい加減に生きてはいけないこと、感謝して生きることを常に教えてくれる両親だったので、そのことは根っこにあるのかもしれませんね。あとは、周囲の人の影響も強かったです。野球部の顧問の先生も、野球部の部員も演劇部の部員も、みんな本当にいい人ばかりで学ぶことが多かった。今俳優をやっているのもそういったさまざまな人たちの支えがあるから、チャンスや思い切るタイミングを見極めることができたのだと思いますね」
その後、「中学聖日記」で大ブレイクし、2019年もっとも注目すべき俳優ランキングでも1、2を争う岡田さん。強い決意を持って始めた俳優という世界は、今彼にどんなふうに映っているのだろうか?
「本当に楽しいです! いろんなものを吸収して、自分の表現ができるようになりたいですね。『いろんな現場でいろんな人と出会う仕事は疲れませんか?』とよく質問されますが、逆にたくさんの人と出会うと刺激というか勉強になるな、って思うことばかりです。例えば今日のインタビューだって、新しい出会いですよね。今回のライターの伊藤さんは僕のこの部分を質問されるんだ、こんなふうに作品を観てくれているんだ、って同じテーマでも人それぞれ、少しずつ見ているところ、感じるところは違うんですよね。そういったことがわかることも僕にとっては勉強になるんです」
そう、デビュー以来、インタビュアーたちを虜にしてしまうのが、岡田さんのこんな姿勢だ。どんな取材でもスタッフの名前を全員把握し、その人の名前を口にしながら話をしてくれる。小さな仕事であってもスタンスを変えずに真摯
に向き合うのだ。
19歳にして、いや年齢なんて関係ない。彼はすでに人の心を掴む力を持っている。岡田さんを見ていると、チャンスを活かすのは、運命ではなく、その人の生きざまなんだと思わずにいられない。
岡田健史(おかだけんし)
1999年5月12日生まれ、福岡県出身。中1から5年かけてのスカウトを受け、2018年春に上京。同年10月から放送の「中学聖日記」(TBS 系)でデビュー。まっすぐな瞳の中学生から22歳までの黒岩晶を演じ、終了後には晶ロスが続出した。6月12日に、初の写真集『鼓動』(講談社)が発売予定。