小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.07 恋をしたくなる小説はありますか?
《読者からのリクエスト》
最近ずっと恋愛から遠ざかっているな・・・。夏を目前に、無性に恋がしたくなってきました。でも、だからって、そんなにすぐに好きな人が見つかるわけでもなく・・・。燃えるような(笑)、ひと夏の恋が憧れ。まずは、恋愛小説を読んでウォーミングアップしたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
いろんな恋愛を垣間見ることで、
自分の新たな感情に気がつく
ひと夏の恋かぁ・・・。花火みたいにぱーっと打ち上がって、燃えるような恋のことをいうのかな? 人生一度くらいあってもいいかも! 私も経験あります!って語り始められたらいいけど、残念ながら、ないです。
友達や人生の先輩の恋愛話を聞くと、ほほーっ、世の中にはそんなことがあるのか~と、自分には決して味わえないことをしていたり、まさか!と思うようなことが起きたり、なんて素敵な出会い方をしたんだという経験をしていたり。本当にさまざまで面白いですよね。
そんな恋をするとそういう感情になるんだなぁとか、自分の経験数だけでは分からないことを、聞くことで補う・・・というのかな。補うというより知るきっかけになったりして。理解できることとできないことがあったりしますが、いろんな方の経験談を聞くのは好きです。
だから、今回のこの6人の作家の短編集『恋のかけら』は、いろんな恋愛を垣間見られて、とても好きな作品でした。
なかでも、小手鞠るいさんの「無人島」の世界観が好きで、2人の近いようで遠い距離感とか、言葉のやりとりとか、ふわっとした中にもドキッとする文章が連なっていて、大人な恋愛に、にやりどきりとしてしまいました。
ストーリーも設定も、登場人物の性格も8作品すべて違うのに、どの物語にも私もそういう気持ちになることある!と、ところどころ共感できて、すごく不思議な感覚になりました。
唯川恵さんの「ラテを飲みながら」の引っ込み思案な性格でネガティブで、なかなか恋愛に踏み出せない主人公の心の移り変わりもとても共感できますし、真逆の考え方を持つ友人の言っていることもわかる・・・。
文章に出てくる会話の一言一言に自然とツッコミを入れたり頷いたりしてる自分に気がついて、私にもまだまだいろんな感情が残ってるんだな、と思いました(笑)。
恋っていいですよね~。なんでもない些細なことに対して一喜一憂したりして。友人や家族だけでは巡り合えない、新たな感情に出合えますよね。
でも、今恋をしていない人には、本を読んで、感情移入するのが、一番手っ取り早いかも! 私もそうしようかな。
今回のオススメ本はこちら!