37歳の俳優・佐津川愛美さんによる連載「いつまで自分でせいいっぱい?」が『今日も、自分を生きる練習』とタイトルを変え、書籍になりました。
佐津川愛美さんインタビュー vol.3

連載回数100回を超えるなかから厳選した文章に加え、連載時には明かされていなかった2年間にわたるホテル暮らしについてなどの書き下ろしも多く収録された『今日も、自分を生きる練習』。
制作作業が終わったばかりの5月24日、しずおか映画祭の直後に静岡市内のカフェで本書籍の担当編集者が佐津川さんにお話を伺いました。3回にわけてお届けします(写真は、『今日も、自分を生きる練習』収録のものを一部転載しています)。
自分に溺れないための工夫

――今回の書き下ろしで衝撃だったのは、実は2年間ホテルで暮らしていた、ということでした。
佐津川 連載では書いてなかったですね。
――今思い返すと、あのころがそうだったのかなと思う原稿がありました。窓から見える景色の描写が、「すごい高いところだな」と思った記憶があります。高層マンションにお住まいなのかなと思ったりしてました。
「ぞうきんがけにはまってる」というのも出てきますが(書籍パート3「生活がしたい」に収録)、これは、長いホテル暮らしがあったからこそ、ぞうきんがけとか、生活のちょっと面倒くさいことが、愛しいものとして湧き上がってきたのかなって今は、思っています。
佐津川 それはあるかもしれません。ホテルにいると掃除は必要ないですし、お風呂も大浴場に行けば何の準備もいりません。でも家だと、お風呂に入るまでにやらなきゃいけないことをあらためて意識したりします。
――佐津川さんは、自分を違う場所に置いて、生活がどういうものかを客観的に見たりしてる感じがします。一人旅もそうですよね。自分に溺れないための工夫をたくさんしてらっしゃると思います。
それは今回の本を読む人にとっても、ヒントになることがたくさんあるんじゃないかと思います。
佐津川 帯の裏に「共感必至」と書いてくださったじゃないですか。共感してもらえるところ、あるのかなって思ってたんですけど。
――すごく共感しますよ。やってみたいと思います。眠れない夜の「ありがとう」とか、私はときどき実践していますし、佐津川さんの一人旅にも背中を押されて、すごく行きたくなりました。
ご自身としては、どんなところを読んでもらいたいですか?
佐津川 日常がつまらないという人に読んでもらえたら、もしかしたらちょっと面白い視点があるかもしれません。でもそれは自分が意識して書いてきたことではないんですけど、言ってもらって思いました。
――佐津川さんは、日常の中に面白さを見出すことがすごく得意な方だと思う。ビジネス街のランチタイムでビジネスパーソンたちの中でごはんを食べることで共に戦っているみたいな気分になるとか。読んでるこちらもワクワクしてきます。そういったところに佐津川さんの文章マジックがちりばめられていると思います。
佐津川 自分では意識していないことなので、そういうふうに解釈してもらえるとうれしいです。
――ずっといい子になりすぎてた部分があるかもしれないっていうところを、日常の刺激でちょっとずつ突き破っていると思います。いろんな風に読んでもらえるといいですよね。今日はありがとうございました。
(了)

映画『蟬しぐれ』でスクリーンデビュー以来、数々の作品で印象的な役を演じてきた佐津川愛美さん。本書は、30代後半を迎えた佐津川さんが、「演じる」ことと「生きる」ことのあいだで揺れながら、自分自身の輪郭を見つめ直した軌跡を綴った一冊です。映画という仕事場、一人旅での出会い、2年間のホテル暮らし、俳優以外への挑戦――。悩み、迷い、揺らぐ気持ちをまっすぐに見つめる誠実な言葉が胸を打つ、共感必至の初エッセイ。
※この記事は幻冬舎plusからの転載です。

