服は「ぼんやり着てはいけない」――ファッションを味方につける方法を、齋藤薫さんが美容ジャーナリストならではの視点で解説。【連載「齋藤薫の美脳格言」】
目の錯覚を狙っていくべき。ケイトのタイツのように…
私たちはファッションにおいて、目の錯覚で自分を美しく見せるという大切なテクニックを忘れがちだ。
メイクは錯覚の集合であり、アイラインもチークもハイライトも、言ってみればファンデーションだってみんな錯覚。
「そう見えればいい」という発想が美容の原点だからである。でも痩せて見せたい、美しく見せたい、という意味ではファッションも同じ。もっと目の錯覚を利用するべきではないか。
それに気づかせてくれたのが、超人気コスメブランドのKATE(ケイト)だった。どういうこと?と思うのだろうが、明らかに脚が細く見えるタイツを開発したのだ。
KATEが小顔に見えるマスクを作ったのは記憶に新しいけれど、ある意味同じ発想、脚の中央部分がスーッと筋状に明るく薄く見えることで、美しく骨ばった筋のある細い脚であるように錯覚させるというわけ。あったらいいなと皆が思う前に作ってしまうのがKATEなのだ。アイテム問わず。
確かに同じようなストッキングでも脚が細く見えるものと太く見えるものがあるはずで、それはちょっとした織りの違いにより、筋の出方が違うから。だったら脚が最も細く見える筋を最初からフェイクで作っておけばいいじゃない? という発想なのだ。
太いベルトをすればウエストが細く見えたり、カシュクールのデザインが着痩せして見えたり、痩せて見える錯覚は数々あるし、服の着方ひとつ、丈ひとつで体型は劇的に変わって見える。
だから服もぼんやり着てはいけない。どうしたらスッキリ着痩せして見えるか、毎日必ず錯覚をひねりだして欲しい。じゃないともったいない。