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2019.12.20

イボ、シミ、カサカサ、湿疹は、皮膚老化のサイン。早めの対策が10年後を決める!

女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。

皮膚は全身状態の映し鏡であり、体内を守る大きなバリアでもあります。皮膚老化の症状は顔にも体にもいくつかありますが、放っておくと将来の病気に繋(つな)がるものも。本格的な皮膚老化がやってくる更年期世代に入る前に、今から気をつけるべきケアをお伝えします。

湿疹ができやすいのは、皮脂不足で乾燥している!

かゆみ

(c)Orawan Pattarawimonchai/Shutterstock.com

皮膚の老化はどのように進むか知っていますか?

まず、表皮の角質層のバリア機能が低下し、皮膚が乾燥します。年齢を重ねて新陳代謝が落ちるに従い、ターンオーバーのペースが遅くなります。そのことで、皮膚のバリア成分である細胞間脂質が低下するのです。それと同時に、皮脂腺から出る皮脂量が減少し、角層が硬くなるという状態に陥ります。

皮膚が健康な状態であれば、外的な刺激から肌を守り、皮脂や汗などのバランスを保つことができます。しかし、加齢によって、細胞間脂質や皮脂が不足してしまうと、外的刺激に弱くなります。

このように皮脂が減少すると、肌の乾燥を引き起こすだけでなく、ちょっとした刺激で湿疹までできてしまうのです。

「今まで湿疹はほとんどできなかったのに、最近、湿疹ができやすくなった・・・」と感じたら、皮脂膜が減少している可能性が。皮膚老化の第一歩です。

皮膚老化で、体と顔に起こりやすい病気があります

肌老化

(c)Lucky Business/Shutterstock.com

皮膚が老化すると起こる3大症状は、
1. 乾燥、カサカサ
2. バリア機能の低下
3. ターンオーバーの低下

皮膚老化で、まず起こりやすい症状は、この3つです。しかも、この3つは関連していて、ターンオーバーの低下により、バリア機能の低下と乾燥、カサカサにつながります。

皮膚老化によって、“体”に起こりやすい病気は、“乾皮症”と“皮脂欠乏性湿疹”です。

【乾皮症】
皮脂や汗の分泌が減り皮膚が乾燥。ガサガサして亀裂やひび割れ、かゆみなどの症状も。

【皮脂欠乏性湿疹】
乾皮症になんらかの刺激物の接触で、刺激性接触皮膚炎などが加わり、湿疹を生じた状態。

また、皮膚老化でまず、“顔”に起こりやすいのは、“イボ”と“シミ”です。
皮膚老化によるイボは、脂漏性角化症と日光角化症があります。

【脂漏性角化症】
紫外線や加齢に伴って生じる皮膚の良性腫瘍でいわゆる老化によるイボのひとつ。

【日光角化症】
紫外線を浴び続けたことで発症する、皮膚がんのごく早期の病変。

皮膚老化によるシミには、肝斑と日光性色素斑があります。

【肝斑】
肌との境界があいまいで、頬骨、目尻、口の周辺など広範囲に左右対称に現れるのが特徴。

【日光性(老人性)色素斑】
5~20mmの大きさで円形にできることが多く、境界がはっきりしているのが特徴。

体の肌老化をくい止めるには、こすらない!洗いすぎない!

保湿

(c)Yuriy Maksymiv/Shutterstock.com

体に起こりやすい乾皮症、皮脂欠乏性湿疹は、更年期以降にすねや太もも、腰背部、前腕などによく見られます。だから、今からの予防的対策が大事。

原因としては、おもにアトピーの素因などの先天性のものと皮膚老化です。あとは、過度な空気の乾燥。また、洗浄剤などに含まれる界面活性剤などによって、体のから皮脂が失われてしまうこと。

なかでも、原因として特に多いのが、洗いすぎによる強い刺激です。1日2回以上お風呂やシャワーを浴びる、洗浄力の強い石鹸の使用もよくありません。

皮脂膜は、強くこすり過ぎることや過剰に洗うことで剥がれてしまいます。天然保湿因子(NMF)やセラミドまで洗い流してしまうことさえあるのです。

対策としては、とにかく保湿。洗いすぎない、こすらない。熱いお湯で長風呂をしない、ミルク系の入浴剤を使う、入浴後はすぐにボディクリームを塗ることも大事。朝晩2回塗ると、保湿効果が上がります。

顔の肌老化で注意すべきは、イボが混ざったシミ

肌トラブル

(c)takayuki/Shutterstock.com

顔に起こる注意すべき肌老化は、シミがあります。紫外線や老化に伴って生じるシミで、特に気をつけたいのは“脂漏性角化症”と呼ばれるイボが混ざっているシミです。

これ自体は良性ですが、茶、黒色で表面がガサガサして隆起しているため目立ちます。急に、数が増えてかゆみがある場合は、レーザートレラー症候群といい、内臓のがんと関連した症状のことがあります。

通常は、経験のある医師の診察で見極めができます。

脂漏性角化症に似ているものとして、日光角化症(有棘細胞がん)やメラノーマなどの皮膚がんの初期病変があり、見た目では区別がつきにくいことがありますので、皮膚科を受診しましょう。イボは自己判断は禁物です。

イボは、がんとの見極めが大事!予防には日焼け止め

日焼け止め

(c)Artem Shevchenko/Shutterstock.com

顔にできるイボ、日光角化症(前がん病変)は、急に大きくなる、左右非対称、いびつな形、色ムラがある、イボ周囲に炎症があるなどの特徴があります。

特に、黒くて7ミリ以上のイボなら、悪性黒色腫や基底細胞上皮種の可能性があるのですぐ受診してください。皮膚科では、より正確な診断にはダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を使います。皮膚の性状を観察するだけなので、痛みはともないません。皮膚科専門のクリニックで検査が可能です。

脂漏性角化症も、日光角化症も、治療は炭酸ガスレーザーで削り取れば、きれいになります。液体窒素で焼くのは、黒ずみが残りやすいと言われています。更年期以降にどちらのイボも起こりやすいので、将来、気をつけましょう。

そうならないための予防には、とにかく日焼け対策が重要です。日焼け止めは、飲むのも、塗るのも効果があります。

シミがイボのようになることも。早めのケアが大事

レーザー治療

(c)Nikodash/Shutterstock.com

シミは、がんなどの大きな病気に繋がることはないですが、顔は毎日、目にする部位なので、肌老化を自覚しやすいところですね。

顔のメンテナンスは、精神面を支える意味で決して軽視できないところだと思います。

シミが隆起して、イボのようになっていく場合もあります。

更年期以降目立ってくる人も多いので、早いうちに治療やケアをしておくほうが治療も簡単に済むことが多いといわれています。皮膚科での治療は、それぞれのシミに合わせたレーザーなどの光照射が行われています。

食事やサプリメントで内からのアプローチも有効

食材

(c)Natalia Lisovskaya/Shutterstock.com

体も顔も皮膚を元気に保つには、食事も大切です。
偏らずバランスよく、たんぱく質と良質の脂質が重要です。皮膚のためにも、油抜きは厳禁です。

皮膚老化の大きな原因となる乾燥対策には、外側からだけでなく内側からのアプローチも有効という研究結果が複数出てきています。
なかでもセラミドを摂ることで、皮膚のセラミドだけでなく、皮膚のコラーゲンも活性化させるということがわかってきました。
こんにゃく由来のセラミドのサプリメントも販売されていますので、上手にとり入れてもよいと思います。

皮膚は、自分で毎日目にするところです。不調を発見しやすく、日々の自信にも大きくかかわります。皮膚老化が始まる前から正しくケアしておけば、将来の皮膚老化に備えた予防的土台にもなります。

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TEXT=増田美加(女性医療ジャーナリスト)

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