ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、名作のヒロインをオマージュしたメイクルックを披露する不定期連載「MAKE YOU HEROINE」。今回のゲストは、モデル・女優の安斉星来さん。
自分らしい心地よさを見つけて、唯一無二の人生を。
21世紀のイギリスを代表するボーカリスト、エイミー・ワインハウス。彼女特有のソウルフルでジャジーな歌声で、デビュー間もなくトップスターへ。また同時に薬物中毒やアルコール依存症など破天荒なプライベートでゴシップ誌を賑わせた。グラミー賞を受賞した「リハブ」は、自身の身を削るように作った楽曲として知られている。
「本当の意味での自分らしさとは――生き方に縛られない自由な人生を謳歌したエイミーは、歌うことで存在意義を見出していた。『歌いたいだけ、歌いたいから歌う』。彼女のこの言葉に、震えるほどの感動があったことを今でも覚えているわ。才能があったから、開花したのだと思いがちだけど、私は決してそうではない気がするの。そういう生き方を自ら選び、本能のままに自分に素直に生きてきた結果、才能が開花されたのだと思う。誰しも才能があり、それに気付き、スタイルを持てば必ず“唯一無二の人生”が待っていると思うわ。そのためには、揺るぎない自分らしい心地よさを見つけることが大切よ。
安斉星来さんの眼差しには、エイミーに宿る魂と似たものを感じたの。『自分が何者であるのか』を知り、表現することに躊躇なく挑むその姿に、本物のエイミーの面影すら感じて鳥肌が立ったわ。年齢なんて関係なく、自分が何者であり、何を幸せの“軸”に置くのか考えてみてほしいの。きっとそれを見つけたときから、あなたは輝くわよ。たとえオーバーなブラックラインであろうと、過剰な盛り髪であろうと、スタイルがあれば、すべてがファビュラスになるの」(小田切さん)
「私が『かっこいいな!』と思う女性は、自分が思い描いていたような女性になれている人。生きていると、周りの影響や価値観に左右されて悪い意味で自分が変わっていってしまう人もいる。だから、私はいつも初心を忘れたくないと思う。エイミー・ワインハウスを初めて知ったとき、歌う姿や彼女の一貫したスタイルを見て、『かっこいい人なんだろうな』とすぐにわかった。たぶん、エイミー自身も初心を忘れないという生き方をしていたはず。
自分の一番の敵は、“自分”なんです。だから、私は自分自身には絶対に負けたくない。『アクション女優になって、海外で活躍する』というデビューから抱き続ける初心は忘れず、これからも自分自身と闘って頑張っていきたいと思っています」(安斉さん)
揺るぎない自分のスタイルがあれば、すべてがファビュラスになる
「強い個性を引き出すときは、できるだけミニマムにしたほうがスタイリッシュに見えるので、今回のメイクポイントは太く存在感のあるブラックのアイラインのみ。完璧ではないという不完全さがロックな部分に繋がるから、アイラインはリキッドライナーで描くパキッとした仕上がりではなく、マットブラックのアイシャドウで描くスモーキーなキャットラインへ。目元はあえてこの太くラフなラインのみで完成させて」(小田切さん)
ポイントはブラック×ピンク。強さのなかに可愛らしさを。
「ファッションアイコンにもなっていた彼女の魅力は、“相反した強さ”を自分のなかにしっかり同居させていたこと。跳ね上げた強いブラックのキャットラインに、とても可愛らしいピンクの頬とリップで血色感を感じさせていたの。黒×フェミニンなピンクの使い方はさすがね。ラフさを出すためにファンデーションはあまり塗らないで」(小田切さん)
使用アイテム
バターのようななめらかさ×抜け感と深みを叶えたナーズのリキッドパウダー処方のアイシャドウ。エイミー特有のスモーキーなキャットラインをマットブラックのアイシャドウで再現。マックのチークは、ゼリーのようなユニークな質感の血色チーク。乾燥しづらく、長時間ツヤ肌を演出可能。エイミーらしい、かわいい血色感をピンクの頬で再現して。セルヴォークのリップスティックは、うるおったみずみずしい唇特有の透け感とツヤ感を叶える。配合オイルが唇の温度で溶け出し、ピタッとフィット。カラーはフェミニンなピンクブラウン。
安斉星来(あんざいせいら)
2004年2月17日生まれ、神奈川県出身。高校3年生の夏、「虹とオオカミには騙されない」(AbemaTV)にて本格的な芸能活動をスタート、同時にモデルとして活動を開始。2022年2月ドラマ「卒業式に、神谷詩子がいない」(NTV系)で女優としてもデビュー。10月公開予定の映画『オカムロさん』に出演。
小田切ヒロ(おだぎりひろ)
圧倒的なセンス、高い技術力、さらに引き込まれる話術で魅了する人気ヘア&メイクアップアーティスト。YouTubeやオンラインサロンでは視聴者やファンに寄り添い、真摯に向き合い悩みを解決。
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