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LIVING仕事

2018.03.07

渋谷公園通りの流れを変えた!? 「hotel koe tokyo」が注目される秘密を探る ~連載『プロジェクトS』

商品やサービスを通じてSpark(ときめき&ひらめき)を発信している、働く女性をクローズアップする連載『 プロジェクトS 』。“S”はもちろん“Spark yourself!”の頭文字です。商品制作の舞台裏や仕事に対する想いなどをインタビューしていきます。企画や研究開発に携わる同世代の彼女たちから、仕事を楽しむヒントやコツが得られるはず!

hotel koe tokyo

今回は株式会社ストライプインターナショナルで、ライフスタイルブランド「koe(コエ)」のクリエイティブディレクターを務める篠永奈緒美さんにインタビュー。2月9日に渋谷にオープンした「hotel koe tokyo(ホテル コエ トーキョー)」は、1階がカフェ・レストラン&イベントスペースのフロア、2階がアパレルと雑貨の物販フロア、3階が4タイプ全10室を備えたゲストルームとラウンジのフロアで構成されたホテル併設型グローバル旗艦店。このプロジェクトに携わってきた篠永さんに施設の誕生秘話とともに、初のホテル事業参入にかけた想いを語っていただきました。

ブランドの世界観を体現する店舗へ

hotel koe tokyo

ー現在のお仕事内容を教えてください。

中途採用で入社してから5年、ブランド準備室の段階から「koe」だけを担当してきました。現在はクリエイティブディレクターとして、主に「hotel koe tokyo」のプロジェクトに携わっています。

hotel koe tokyo

ー今回のプロジェクトはいつ頃からスタートしたのでしょうか?

〈篠永〉2年ほど前にコンセプトを決めるところからスタートしました。当時は2年って長いなと感じたのですが、日に日にオープン日が迫ってきて本当にあっという間でしたね。私以外のメンバーも各自のポジションを抱えながら、このプロジェクトを兼任していたのでなかなかハードな毎日でした。

hotel koe tokyo

各部屋に液晶パネルを使用したデジタルアートを設置。(©Kenta Hasegawa)

ー初めてのホテル事業参入の経緯を教えてください。

〈篠永〉アパレルブランドから始まり、よりお客様の生活に寄り添うブランドになりたいという思いから、ライフスタイルブランドへと転向しました。企画当初は全フロア物販だけの店舗を考えていたのですが、例えば“アパレル×カフェ” “アパレル×インテリア”という衣食住の提案する店舗はkoeで始めていましたし、すでにどこもやっていることでした。では他と差をつけるために何が面白いかを考えていたときに、サポーズデザインオフィスの谷尻誠さん(※1)からアイデアをいただき『アパレルショップに泊まり、koeそのものを体験してもらう』という「ホテル in ショップ」のコンセプトにたどり着いたんです。

※1 クリエイティブディレクション・設計・インテリアデザインは国内外で活躍する建築設計事務所、サポーズデザインオフィス(SUPPOSE DESIGN OFFICE Co., Ltd.)の谷尻誠氏と吉田愛氏が担当。

ー戸惑いはなかったのでしょうか?
hotel koe tokyo

〈篠永〉最初はかなり戸惑いましたね。まったく初めての試みですし、ホテルといってもたくさんの種類があるじゃないですか。カプセルホテルはどうかと一回図面を起こして検討もしました。ホテル運営に関する渋谷区の条例や規則も多く、法律と戦いながら、マーケティングの視点で面白いことを実現させていくのが難しかったです。

ーなぜ渋谷を選ばれたのでしょうか?

〈篠永〉ブランド立ち上げ当初から海外に向けて出店したいという思いが強くあり、日本を世界に向けて発信するブランドとして成長させたいと思っています。渋谷は若者が集まり、日本のカルチャーが生まれる場所なので注目していました。

ーホテルの客室は茶室をイメージされたそうですね。

hotel koe tokyo

客室は服のサイズにちなんで、S、M、L、XLを用意。写真はLサイズのお部屋。

〈篠永〉グローバルを意識したのは大きいですね。館全体は「渋谷の街と融合する」ことを目指しています。ガラス張りにして、街からそのままお店に流れていくような融合感や一体感を大事にしたので、客室についても日常とかけ離れたものではなく、馴染みのよさを大切にしています。

hotel koe tokyo

XLサイズのお部屋(©Kenta Hasegawa)

また、1層1層がそんなに広いフロアではありません。その限られた空間で日本らしさと機能性が揃ったものという視点で考えた末、茶室が浮かびました。“THE和室” “THE茶室”となるともっと素敵な空間は日本にいくらでもあります。だから私たちらしく、ライフスタイルの変化に伴った日本人にも外国人にも受け入れやすいデザインを目指しました。

ー一番苦労したことは何ですか?

〈篠永〉コンセプトを編み出すまでの期間が本当に苦しかったですね。このプロジェクトに携わる各方面でご活躍されているクリエイターの方々にもご協力いただいていて、夜な夜な(笑)ミーティングを重ねていました。谷尻さんには初めから加わっていただいていましたし、ホテル事業が決まってからはartless Inc.の川上シュンさん(※2)にすべての会議に参加していただきました。

ミーティングの参加人数が多くなればなるほど、運営していくのは大変なんですよね(笑)。一度にこんなに多くのクリエイターの方々とご一緒する機会がなかったので、場を仕切るのが難しかったです。けれどアパレルだけをやっていた時とは違う意見や視点があるのは面白いです。オープンしてからも音楽関係や建築関係の方などとの繋(つな)がりができますし、広がりができましたね。

※2 ロゴのリニューアルやショッパーの新デザインを含めた新しい「koé」のイメージ作りには、国内外で数々の賞も受賞するartless Inc.の川上シュン氏を起用。

ーホテル独自のサービスはありますか?
hotel koe tokyo

〈篠永〉宿泊者の方だけがご利用いただけるラウンジでは、15時から17時の間にチェックインしていただいたお客様に、ウェルカムドリンクとしてお抹茶を出しています。ラウンジに並んでいるお酒やスナック、また部屋の冷蔵庫にある飲み物は一部を除いて無料で提供しているのも特徴です。21時からのバータイムには「ザ ティー カンパニー(The Tea Company)」とのコラボカクテルやアルコールをお楽しみいただけます (有料)。コラボカクテルはジャスミン茶×ラム酒、ウーロン茶×焼酎、ほうじ茶×焼酎といった組み合わせ。お茶とお酒って意外にも相性がよいので、ぜひ味わっていただきたいですね。

お部屋にはオリジナルのアメニティーを用意しています。シャンプーやリンス、ベッドスロー、パジャマなどアパレルブランドとして培った知見が制作に役立っています。また、お部屋のレンタルやフロア貸しもしています。先日はひと部屋を使ってアパレルブランドの展示会をしましたし、会社のパーティーやイベントでご利用いただくことも可能なので自由度は高いと思います。

世界を見据えて誕生した、体験型店舗「hotel koe tokyo」。「オープン準備で夜遅くまで作業することがあったのですが、美味しいご飯も食べられるし、洋服も買える。そして寝る場所もあるので建物から出なくても不自由なく揃ってしまうんですよね(笑)」と篠永さんが話すように、新しく生まれ変わったkoéが考える生活スタイルそのものを体験できる場所。性別や国籍を問わず、宿泊していない人でも楽しめるコンテンツが揃う、渋谷の新たなランドマークになりそうです。

hotel koe tokyo
http://hotelkoe.com/

PHOTO=岡田亮

TEXT=GINGER編集部

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