世界のトレンドをリードしてきたラグジュアリーブランドは日々進化しています。変わらず素敵なブランドの、変化する舞台裏を取材。今回は、アイコンアイテムを再生素材にフルチェンジすると発表したプラダにフィーチャー。
「無限リサイクル」がスゴい
プラダと言えば真っ先に思い出されるのがミニマル&クールなナイロン製のアイテムたち。プラダは、ブランドのアイコンとも言えるそれらの素材を今年中にすべて再生ナイロン繊維エコニール®︎に転換することを発表。PRADA Re-Nylon(プラダ・リ・ナイロン)プロジェクトだ。
この繊維は海から集められたプラスティック廃棄物、漁網などを洗浄し再利用するもので、質を落とさず無限にリサイクルされる。生産量1万トンあたりの再生ナイロンにより、石油は7万バレル、二酸化炭素は6万5100トン、地球温暖化への影響は90%削減されると見込まれているのだという。
教育プログラムでサステナビリティを推進
プラダ・グループはユネスコと連携し、サステナビリティと海洋保護に対する意識向上を目的とした教育プログラムSEA BEYONDを推進している。これは海洋汚染の問題のほか、それについての問題解決など、海洋リテラシー全般について学ぶものだ。
このプログラムは2019年に発足し、PRADA Re-Nylonの売り上げの一部で支援されている。これまでに約300人の世界各地の中高生に向け実施してきたが、今年からは学生だけでなく、世界中の地域コミュニティやプラダ・グループの従業員も対象となった。
また、来年にはヴェネツィアにラグーン幼稚園も開園予定。教育の面からもさらにサステナビリティを後押しする。
動物愛護の精神も
サステナビリティに熱心なブランドの証と言っても過言ではない毛皮の使用廃止は、プラダも例外ではない。事実、2020年春夏コレクションからすべてのコレクションにおいてのファーフリーを実現しているのだ。
「エシカルな製品の需要に応えつつ革新的な素材に焦点を当てることで、私たちは新たにクリエイティブなデザインの追求が可能となるでしょう」と述べたのはデザイナーのミウッチャ・プラダ氏。また、ファーフリーの方針はブランドとして「イノベーションと社会責任の努めを果たす義務」とも語った。
自然との共存を目指して
2022年春夏メンズコレクションの撮影が行われたのはイタリアのサルディーニャ島。プラダ財団の建造物Despositoを使用し、自然と人工物とが融合する会場で行われた。
プラダ財団は以前から海洋生態系を回復させるためにMEDSEA財団を支援しており、カルボナーラ岬の海洋保護地区にあるポシドニア・オセアニカ牧草地の森林再生はプロジェクトのひとつだ。
このようにプラダは常に自然との共存を目指しており、長きにわたり支援を続けてきた。サステナブルという言葉が広がるずっと以前から、その精神と活動は受け継がれている。