多忙な日常を送るGINGER世代が求めているのは、単なる休息ではなく、感性を刺激して心も豊かになる旅。伝統とモダンが融合する「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」で、大分の豊かな文化に触れ、遊びながら学びも得るリフレッシュ体験はいかが? GINGER取材班がホテルステイの魅力をリポート。
海と山と湯けむりを一望する、高台のエスケープリゾートへ

国東半島と佐賀関半島に挟まれた別府湾に面し、背後には豊後富士と称される由布岳や、鶴見岳などの火山群がそびえ立つ雄大な景観が広がる温泉郷・別府。日本一の湧出量を誇るこの地には個性豊かな8つの温泉地があり、街を歩けば幾つものジモ泉こと共同温泉が点在する、まさに温泉天国。
今回、取材班が訪れたANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパが位置するのは、穏やかな海と四季を彩る表情豊かな山々、そしてあちらこちらから立ち上る湯けむりまでを大パノラマで愉しめる、高台の特等席。別府駅から車に乗り、賑やかな街を通り抜けてからゆるやかな坂道を進んでおよそ20分ほど。途中、硫黄の香りが漂う明礬(みょうばん)温泉を通り過ぎれば、目的地はすぐそこ。

ホテルに一歩足を踏み入れると、そこは美意識に満ちたモダンでラグジュアリーな世界。エントランスロビーの吹き抜けの向こうには空と海と山。いかにも観光地といった派手さではなく、どこか懐かしさを感じるような、心が鎮まる穏やかな景色が目に飛び込んでくる。その景観を引き立てるかのように、ロビーは別府石や竹など自然素材を活かした温かみと、グレーやブラックなど洗練された色調で整えられていて、そこに添えられたゴールド(写真右奥のレセプションカウンター)のエッセンスが秀逸。
大人に似合うリゾートにやって来たという期待感、その第一印象は最後まで裏切られることはなかった。
〈観る愉しみ〉館内を巡り、大分の魅力を識る


ここはホテルだけれど、まるで美術館に滞在しているかのような気分に浸れるほど、施設内にはアートと伝統が織りなす〈美しいもの〉たちがいっぱい。
ロビーのアイコンとなっているのが、大分県在住の竹藝家・中臣一(なかとみはじめ)氏によるアート作品〈Prism Ellipse, 雲上〉。さすがに雲の上ではないけれど、このホテルが霞がかかるくらい高台にあることにちなんで、雲の景色を竹の曲線で表現したという繊細かつダイナミックな作品。ロビーに佇んで、しばし鑑賞。竹がしなやかに曲げられて美しい形を成し、こんなにも柔らかな表現が可能だなんて。真横を通る上階の渡り廊下からは、別アングルで作品をより間近に鑑賞することが叶うので、ぜひ。
そして、ロビー近くの壁面には別府八湯(別府・浜脇・観海寺・堀田・明礬・鉄輪・柴石・亀川)にインスパイアされたという8つのオブジェで表現された、大分在住のアーティスト運天達也(うんてんたつや)氏の作品も。大分県内の間伐材を再利用したというこの作品は、虫食いの跡をそのまま活かしていて自然のありのままの美を伝えてくれる。
滞在の隙間時間に利用したいのが、館内に3ヵ所も設けられているライブラリー。
ライブラリーのディレクションを担当したのは、ブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)氏が率いる選書集団「BACH(バッハ)」。自然、アート、手仕事、音楽など知的好奇心を満たしてくれる書籍や写真集などのラインナップが素晴らしくて、つい時間を忘れる。

本棚にディスプレイされた焼き物もお見逃しなく。飛び鉋(かんな)や刷毛目技法など手作業で生み出される文様が特徴的な小鹿田焼(おんたやき)の蓋付の壺。ひと目でそれとわかる雄弁な模様なのに、色合いがシックなので大人好み。本棚には竹細工なども飾られていて、どこにいてもさり気なく大分のカルチャーを感じさせてくれる。
ゲストルームにおいても、自然素材を活かした美しい建具が見どころ。

ヒノキを巧みに組んだパーテーションルーバーや寄木細工風のテーブルなど、木の温かみが洒落たアクセントになっている。

ヒノキの格子越しに観る、別府の景色もまた風情あり。国際的なデザインファーム「Aston Design」のデザイナーからの「日本の伝統的な格子を、モダンな曲線で表現する」という無謀とも思える提案に、九州の名工たちが見事に実現し応えたという背景が。日本の木工技術、スゴすぎる——。この美しく並び揃ったヒノキの1本1本にまで作り手の想いが込められ、物語があるのだ。
施設内で出合えるものは、かのごとく語りどころが満載。地域の歴史や職人の手仕事に想いを馳せる時間は、大人の知的好奇心を満たし、新たなインスピレーションを与えてくれるはず。
〈感じる愉しみ〉五感を癒やす、幸せに浸る
別府石の露天風呂から絶景を眺める


ホテルの随所に用いられ、灰色をベースに赤褐色や緑色を帯びた色合いが混在する別府石。鶴見岳などの活火山がかつて(といっても数万年前〜1100年前ごろに)噴火した際に流れ出し、冷えて固まったもの。現在では新しく採掘されることがほとんどなく、希少価値の資材になっているのだそう。
そんな別府石を贅沢に、巧みに、大胆に積み上げて造られた露天風呂は、このホテルを語る際の代名詞。質感豊かな別府石ひとつひとつの個性を計算しながら組み合わせ、高低差を活かして階段式に設計された石風呂が連なる「棚湯」のようになっている。つまり複数のお風呂が段々畑のように並ぶ形なので、他のエリアからの視線が遮られやすく、岩陰に身を置き落ち着いて温泉を堪能できるというわけ。
熟練の石職人たちの見立てと技術があってこそ完成した石風呂は、さながら大自然の一部のよう。棚湯をそろりそろりと移動しながら、岩肌の手触りを愉しみ、温泉の流れを肌で感じることができる。夜の温泉タイムは特に感動的。別府湾や鉄輪の街並みが放つきらきらと控えめな灯りを眺めながら、湧き出る名湯に身を委ねるひととき。深呼吸すると思わず「はぁ~」と声が出る。日々の疲れが芯から解きほぐされていくのを実感する。
タイの名門「HARNN」のスパで、天国ヘトリップ

タイ発プレミアムナチュラルスパブランド「HARNN」がプロデュースするスパで施術を受ける時間は、滞在の目玉にしたい自身へのご褒美。東洋の伝統的な自然療法と、現代の皮膚科学を融合させたトリートメントの素晴らしさは誰もが知るところで、こちらの「ハーン・ヘリテージ・スパ」は世界的なスパアワードで何度も受賞歴を持つ、国内最高峰のラグジュアリースパなのだ。


HARNNを象徴するエッセンシャルオイルの豊かな香りに包まれながら、カウンセリングを受けてメニューを選択。3つのオイルから好みを嗅ぎ分けて選んだものが、トリーメントに使われるのだ。
とにかく体の凝りをどうにかしたいというリクエストに、〈ハーンヘリテージ・マッサージセラピー(ボディ)のディープティシュー・マッサージ〉をおすすめいただく。フットバス&フットスクラブのプレケアのあと、ゆっくりと、そして力強くしっかりとした手技で、筋肉の深層部まで丁寧にほぐしてくれるメニューだ。

セラピストの指や肘が、望んでいる強さで求めている部位を心地よく刺激し、こわばった体をゆるめていく。アロマの香りと"気持ちのいい痛み"に、うつらうつら…。ベッドに寝そべって、天国と現実を行ったり来たり…。この半分だけ覚醒している状態の、なんて気持ちのいいことか!
トリートメントの終了を告げるハンドベルで現実に引き戻され、最後はすっかり眠っていたことに気付いた。

施術が終わり、血流が回復してか体がほかほか。そして体が軽い。体が軽いと気持ちまで上がる。リラクゼーションラウンジでハーブティーをいただきながら、余韻に浸る。次回は、ご当地メニューの〈ひょうたん Dストレス マッサージ〉を試したいと思う(もうすでに、再訪する気満々だ)。
インフィニティプールで風を感じる時間

このシチュエーションを目にしたら水着に着替えずにはいられないはず——。ここのプールは、時間ごとに異なる景色を愉しめる絶景インフィニティプール。昼間の爽快感あふれる雰囲気、沈みゆく太陽が空を鮮やかなグラデーションに染める夕暮れ時、夜景が輝き始める時間帯と、それぞれの美しさは圧巻。

プールサイドにあるザ・バー「AQUA」でドリンクを受け取り、夜風にあたりながらの夜景観賞もロマンティック。プールの隣りにあるプライベートカバナを貸し切って、モエ・エ・シャンドンあるいはドンペリニヨンと特製フードメニューを愉しめる「プライベートカバナ2026」なる今夏の特別プランもあるのでチェックして。
とにかく、滞在中にホテルのどこで何を愉しむか。魅力的な選択肢を前に迷うのも贅沢で、心躍る時間が続く。
〈食す愉しみ〉地産の食材を最高の状態でいただく
「豊後前 霧翠」で感動の美食体験

大分の古称である“豊後”。江戸前に対して"豊後前"を冠した「豊後前 霧翠(むすい)」は、変化に富んだ海岸線を持つ大分県ならではの四季折々の新鮮なネタを中心に、同じく地産の山や川の幸も取り込んだ鮨会席を堪能できるダイニング。

洗練された店内は、料理長の華麗なる手仕事を目の前で愉しめるカウンター8席という贅沢な造り。包丁さばき、盛り付け、握り…丁寧かつ的確に仕立てられていく様に目を奪われてしまう。そして、サッと目の前に供される一貫一貫が、美しすぎる!


この日は〈城下鰈(しろしたかれい)〉〈雉羽太(きじはた)〉〈真名鰹〉〈関伊佐木〉〈関鯵〉ほか、大分地産のネタが次々と披露され、口に入れるたびに「美味しい」が更新されていく。

どこで獲れた、どんな由来をもつ食材なのか―—料理長の話を聴きながらいただく会席は、大分の魅力をより深く識れる贅沢な時間に。
特別な夜はシグネチャーレストラン「ATELIER」へ

メインレストラン「Elements(エレメンツ)」のビュッフェエリアを抜けてさらに奥へ進むと、そこに現れるのはオープンキッチンをぐるりと囲んだ21席限定のカウンター席。ここはディナータイムのみ営業されるシグネチャーレストラン「ATELIER(アトリエ)」。ヘッドシェフである安部大輔氏のもと、旬の恵みを巧みに盛り込んだフレンチスタイルの料理が振る舞われる。


大分の食材を90%以上使用し、素材のポテンシャルを最大限に活かしたアートのように美しい料理が披露されるフルコース〈Season of Oita ~おおいたの四季・海と大地~〉をいただく。
シャンパンの栓が抜かれる音、最高品質のおおいた和牛が大分の竹炭を使ってジューシーに焼き上げられる様子、立ち上る香りを愉しみ、シェフたちが無駄のない動きで優雅に調理する様を眺めながら、料理を待つ時間も幸せ。


いざ目の前に料理がサーブされると、その美しさに思わず魅入ってしまう。ゆっくりと口に運び、ゆっくりと集中して味わう。素材を意識しながら、舌の上でじっくりと「美味しい」を感じたい。まさしく大分の海と大地から届いた恵みを、最高の形で愉しめるディナーなのだ。
ソムリエが厳選するワインペアリングもおすすめ。ワインだけでなく地産の日本酒も用意されていて、日田市の井上酒造とコラボレーションしたというオリジナルの日本酒も。ホテルスタッフが米作りから参加したという、想いがたっぷり詰まった純米吟醸はぜひお試しを。

観て、感じて、食して、大分の新たな魅力を存分に愉しむホテルステイ。今年後半の旅のハイライトに、ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパで過ごす濃密な時間を。「楽しかった」だけでは終わらない、心が豊かになる旅の体験は、きっと忘れられない記憶になる。



