灼熱のエンターテイナー。噂の熱波師にインタビュー！【ととのう！サウナの基本】

サウナブームが継続中の今、サウナ内で発生させた蒸気をタオルであおいで熱気を送るアウフギーサー（熱波師）に注目が。そんな業界で大人気の五塔熱子さんにインタビューを敢行！

日本にアウフグースの文化が根付く日を夢見て…

アウフギーサー（熱波師）として活動する鳥取県琴浦町の地域おこし協力隊員の五塔熱子さん。「アウフグース　チャンピオンシップ　ジャパン」（日本予選大会）で個人優勝、団体で3位入賞を果たし、世界大会出場の切符を手にした。日本を含むアジアからの出場は初めてという快挙！

そもそも、神奈川県川崎市出身の五塔さんが熱波師という仕事に出会ったのはもう10年以上も前。当時、温浴施設のリラクセーション店舗で働いていたが、温浴施設サイドからサウナで風を送る熱波師のお手伝いをお願いされたのだとか。

「元々私は温浴施設が好きで、母と一緒に行ったときに熱波を体験したことがありました。だから、自分がやる側になることに躊躇はなく、また好奇心が旺盛な性格なので、二つ返事で『やります！』と。それで、素人ながらも楽しく取り組んでいたのですが、どうやったら上手くなるのかはわからず…。そんなとき、上司が熱波甲子園という大会があるから、一緒に出てみようよ！と。体育会系の私は大会という響きに盛り上がり、このときも『ぜひ、参加したいです！』って（笑）。

実際参加したことで、ほかの参加者の技術を見て学べたり、人脈ができました。そして、私自身も毎年参加し続け、4年後には大会で優勝するまでに」

アウフグースに使用するお気に入りのタオルはチームメイトのブランドのもの。海外のサウナメーカーのタオルには、漢字で自分の名前の刺繍を入れて。

とはいえ、当時は熱波師という仕事は普及しておらず、「邪魔だから退いてくれよ、テレビの相撲が観られねーじゃないか！」と男性のお客様に叱られたことも。その後、５年ほど経験を積んだころ、出会ったのが今のスタイルを作り出すきっかけとなった「アウフグース」だったそう。

「熱波は文字のごとく、熱くて強い風ですが、アウフグースは心地よいいろいろな風が吹いてくるという感じ。当時、まだ日本ではメジャーではなかったのですが、山梨県の秋山温泉に修業しに行きました。さらにアウフグースという言葉の発祥の地であるドイツのバート・ホンブルクの『タウナステルメ』という施設にも行き、自ら体験もしましたね。まるで森のなかで自然の風を感じているかのようで、最高に気持ち良かったんです！」

このときの感動と衝撃を基に、自ら研究を続け、今のスタイルを確立。

「私はサウナ室の対流を徹底的に研究しています。こうあおいだら風がこう返ってくるのか、どうしたら風が走るのか、風をどう動かすのか…。お客様が自分を解放していかにリラックスできるか、そのお手伝いをしたいので、選曲にもこだわって。以前なら、タオルを回すと『そんな余計なことはしなくていいから、熱くて強い風を送ってくれよ』とお客様に言われることもあったけれど、今はアウフグースを楽しみに体験してくださるお客様が増えてきて、うれしい限りです。

ちなみに仕事でこれだけサウナに行っている私ですが、プライベートでもサウナ大好き。引っ越し先を選ぶ際は近所にサウナがあるかどうかを第一条件にしているし、夫ともサウナを通じて出会い、結婚前はサウナデートしかしたことがなかったほど（笑）。大人になると、日々落ち込むことや悲しいことなどいろいろあるけれど、サウナに行って温かい空間に入ると、なんとも言えない安心感に包まれる。サウナ後は心身共にスッキリ軽くなり、リセットできている感じがします。まだ行ったことがない人はぜひ、体験してみてほしいです」

五塔熱子