美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています! 今回は、とに〜さんがアートにハマったきっかけについて。何となくアートに敷居を感じている人、必読です!
こんばんは。アートテラーのとに~です。
2017年末にスタートしたこの連載が、今回でなんとめでたく100回目を迎えることとなりました! 誰も拍手してくれないと思うので、自分で自分に拍手したいと思います。しかし、この連載を100回も続けてこられたのは、ひとえにGINGER読者の皆様と編集部の皆様のおかげです。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。そして、100回続けてもネタが尽きないのは、アートのおかげ。需要がある限りは、おそらく永遠に連載を続けていけることでしょう。
さて、記念すべき100回目は、今さらながら自己紹介を。自分がアートと出逢ったきっかけをお話ししたいと思います。
美術館には行きたくない
正確にはいつなのか覚えてないくらいに美術館デビューは早かったです。2歳か3歳か、物心がついたときには、親に連れられて毎年のように美術館を訪れていました。というのも、本職ではないものの父が日本画を描いており、毎年、東京都美術館でのグループ展に作品を出展していたのです。それを家族で観に行くというのが、年1回の恒例行事でした。
ただ、その日が本当に嫌で嫌でしょうがなく。というのも、父は主に風景画を出展していたのですが、そのグループ展の出展作の中にはヌード画が多く含まれていたのです。そういう絵をマジマジと観てはいけない。子どもながらに本能で感じるものがあったのでしょう。とにかく、展示室内でずっと目を伏せていたのを覚えています。早く美術館を後にして、上野動物園に行きたい! 頭の中はそれでいっぱいでした。
美術館は居心地の悪い場所。そう、子どものころに刷り込まれてしまったがために、小学校の高学年になってからは、一切美術館に足を運ばなくなってしまったのです。
相方に連れられて
それから月日は流れて、僕は大学4年生に。当時は映画が大好きで、週に3、4回は映画館に通っていました。バイト代の大半を映画の鑑賞代に費やしていたほど。そんなある日、中学時代からお笑いコンビを組んでいた相方から、「美術館に行こうよ」というお誘いが。
「えっ、お前、美術館に行くキャラだったっけ?」
聞けば、なんでもイタリア旅行中にウフィツィ美術館でボッティチェリの《春》と《ヴィーナスの誕生》を観て、美術に目覚めたとのこと。そこで今、東京都美術館で開催中の展覧会を観に行きたいのだとか。「えー、やだよ。そのお金で映画1本観れるし」と断ると、実家が金持ちの相方は「美術館代出すし、(千葉から東京までの)交通費も出すし」と一言。「じゃあ、行ってもいいかな」。現金な僕は相方の提案に乗ることにしました。
2人で訪れた展覧会で多く展示されていたのは、17世紀のオランダの風俗画。当時の農民の日常が生き生きと描かれた絵画です。描かれているおじさんやおばさんのセリフを、勝手にアフレコする相方。それが面白くて、負けじとツッコミ芸人として、ツッコミどころを探す僕。実は美術って面白いんじゃん! 目からウロコの体験でした(ちなみに、周りを見渡してみると、笑っているのは僕らだけでした)。
そして、その展覧会の目玉だったのが、フェルメールの《絵画芸術》(画家のアトリエ)。その圧倒的な美しさに、映画を何本観たかというほどの感動を覚えました。美術って面白いだけじゃなく、感動もできるんだ! その日からすっかり美術にハマって今日に至ります。
なお、相方はというと、ウフィツィ美術館で観たほどの感動がなかったので、その日を最後に美術熱が冷めたそうです。
皆さまからの質問大募集!
「デートにピッタリの美術館は?」「カフェがオススメの美術館って?」という具体的な質問から、「現代アートって、何が面白いの?」「何であんなに美術品って高いの?」「ピカソってすごいの?」という誰にも聞けなかった質問まで。
GINGERの問い合わせフォームから何でもお寄せくださいませ。わかりやすく、お答えします。
アートテラー・とに〜の【水曜夜はアートの話を】をもっと読む。