気を付けていても紫外線の攻撃を受けてしまう季節。日焼け止めやアフタースキンケアも大切だけど、より万全を期すには体の内側からのUVケアも忘れずに。では、具体的に何をすればいい? 知っておくべきポイントをレポートします。
紫外線対策3つの基本、重要なのは…
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シミの原因となる紫外線。なんと日本の紫外線量は、過去30年を比較すると右肩上がりに増えている※1のだとか。一年中気を付けるべき存在だということは周知の事実ですが、より紫外線量が増える真夏に向けて、今一度対策を見直したほうがよさそう。
※1「つくばの紅斑紫外線量年積算値の平年変化」より
皮膚科専門医・医学博士 小林智子先生のお話によると「長期的な紫外線ダメージによって、30代ごろからシミが顕在化。一見シミがなくても“隠れジミ”として存在しています」とのこと。外出時は日焼け止めを塗っているし、今はまだシミがないから大丈夫…という感覚でいると、キケンかも。紫外線が及ぼす影響は、そんなに甘くないようです。
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紫外線対策の基本が「日焼け止めを塗る」「物理的な遮光(日傘や帽子、UVケア素材の服などで紫外線が肌に当たらないようにする)」ということは、皆さんもご存じのとおり。でもさらにもうひとつの対策、「抗酸化ケア」を意識できている人は少ないのでは?
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紫外線を浴びると肌の中に活性酸素が発生→活性酸素の刺激を受けた、肌の奥にある細胞メラノサイトがメラニン(シミの原因)を生成→メラニンは肌の奥に潜む“隠れジミ”となり、時を経て肌表面にシミとして現れる可能性が!
たとえ今は肌にシミがなくても、“隠れジミ”は存在しているかも!? 紫外線によって変性した細胞内には活性酸素(ROS)が大幅に増加して、細胞ダメージ、炎症性サイトカイン産生、コラーゲン分解、糖化ストレス促進…と悪さを働きます。小林先生から語られた活性酸素の悪行を知れば知るほど、今すぐ抗酸化ケアをしなければ、という焦りさえ感じてしまいます。
抗酸化ケアするということは、抗酸化成分を積極的に摂ること。では、細胞ダメージを予防し、キレイをサポートする抗酸化成分は、何をどのように摂ればいいのでしょう?
抗酸化ケアについて知っておきたいこと
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抗酸化ケアとして、即実行できること。——それは抗酸化力のある食べ物を積極的に取り入れて、体の内側から酸化を予防すること。それは“内側からのUVケア”にも繋がるわけです。
抗酸化成分にはいろいろな種類(代表的なものは下記)があって、特徴もさまざま。
- ビタミンエース…β-カロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンE
- ポリフェノール(カテキン、フェルラ酸、アントシアニンなど)
- アスタキサンチン
- ビサボール
半減期の長短、加熱に弱い・強い、水溶性か脂溶性なのか…など、その特徴によって摂取の仕方にも注意点があり、工夫が必要なのだそう。
…うーむ、面倒なことは省いて、手軽に簡単に取り入れたい…と考えるズボラさんはどうしたらいいのかしら?ーーと考えていたところで、小林先生から「β-カロテン」というワードが出てきました。
食べるUV対策が叶う身近な食材は…?
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スーパーマーケットに行けば即入手できる食材として名前が挙がったのは、ほうれんそう、にんじん、トマト、かぼちゃなどの緑黄色野菜。
緑黄色野菜に多く含まれている野菜の色の成分=カロテノイドは、紫外線によって生まれる活性酸素を消去する働きを持っているのだそう!
カロテノイドの特徴 (KAGOMEあざやか生活研究所の資料より)
●カロテノイドは、目に見える肌の外側から内側の皮下組織にまで、肌のさまざまな箇所に蓄積されます。
●なかでもカロテノイドのひとつであるβ-カロテンは、肌に蓄積されやすく、常に肌に蓄えてくことで“隠れジミ”の予防機能が期待できます。
●しかし、β-カロテンは体内でつくりだすことができません。日々の生活のなかで減ってしまうため、継続して補給することが重要です。
注目すべきβ-カロテンは、小林先生曰く「紫外線ダメージでつくられる“一重項酸素”に効果的にアプローチする」のだとか。数値的にもβ-カロテンの継続的な摂取が隠れジミの予防などに効果アリという結果が出ているので、“食べるUVケア”をする際には緑黄色野菜をターゲットにすれば良さそう!
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n=28-29 ※3名の離脱者を除く試験完了者57名の結果、平均値±標準偏差、*ρ<0.05vs水摂取群、Welch's t-test田中ら,応用薬理,90,13-24(2016)
上のグラフは、にんじんを主とした野菜・果実ミックスジュースを毎日200ml、8週間飲み続けたグループと、同量の水を飲み続けたグループの“隠れジミスコア”を比較したもの。
野菜・果実ミックスジュースを飲み続けたグループは、水を飲み続けたグループに比べると、1ヵ月で “隠れジミスコア”が改善、しかも血中のβ-カロテン濃度が高い人ほど“隠れジミスコア”が改善する傾向もみられたという結果に。
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ちなみに、トマトに多く含まれる「リコピン」も、β-カロテンと同じく野菜に含まれるカロテノイドの一種。リコピンも活性酸素を消去する力を持っていて、紫外線による肌の赤み、色素沈着などの皮膚ダメージを予防することがわかっているそう。
これからは毎日、緑黄色野菜をしっかり食べる生活へと意識的にシフトしましょう。
生よりも野菜ジュースにしたほうがいい!?
トマトやニンジン、生のまま食べるのもいいけれど、実は野菜ジュースなどに加工した方がβ-カロテンとリコピンの吸収率が高いということも知っておきましょう。
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※ジュースにすることで吸収率が上がる栄養素にはリコピン、β-カロテン等があります。 ※野菜は加工によって失われる成分もあります。 ※リコピンとβ-カロテンで評価方法は異なります。
野菜ジュースなどに加工する過程で減少してしまう成分がある一方で、そのまま無くならない成分もあれば、逆に吸収率が高まる栄養素があるのだそう。リコピンは生のままよりも、野菜ジュースなどに加工した方が約3.8倍、同じくβ-カロテンは約1.5倍にも!!
野菜の植物細胞には強固な細胞壁があり、ミキサーにかけるなどで破砕したり加熱したりして細胞壁を壊すことが重要なのだそう。生野菜だと一度に食べられる量も限られてくるので、ジュースなどに加工することで量的にも多く摂取できそうです。
抗酸化ケアの効果を高める3つのポイント
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シミのない美肌を目指して、抗酸化ケアをしっかりやっていくべきことが理解できました。小林先生から教えていただいた、抗酸化ケアの効果を高めるポイントは3つ。
1. 毎日継続的に摂る
2. 朝に摂る
3. スキンケアとインナーケアともに行う
β-カロテンは肌に蓄積されやすく、常に肌に蓄えておくことで隠れジミの改善が期待できるので、せっせと毎日継続して、朝に摂ることを忘れずに。スキンケアだけでなく、インナーケアとして食べるUV対策の両方を行うことで、美しい肌を保つことができそうです。
取材協力/KAGOMEあざやか生活研究所
https://www.kagome.co.jp/company/nutrition-health/azayakaseikatsu/
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小林智子(こばやしともこ)
皮膚科専門医・医学博士。2010年日本医科大学医学部卒業後、名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。YouTube「こばとも先生のスキンアカデミー」などSNSにてスキンケアや皮膚疾患について発信中。著書は『すっぴん肌が好きになる肌トラブル大全』(WAVE出版)など。