暮らしを豊かにする情報には常にアンテナを張っておきたいもの。フリーライターの和多亜希さんが、取材から得た今知っておきたい情報をご紹介。
クリスマスシーズン到来! 街はイルミネーションで華やぎ、心浮き立つ季節です。おうちでもこの時季ならではのお愉しみが欲しいところ・・・。
ヨーロッパではこの時季、古くから伝統菓子を食べる習慣があります。国によってそのお菓子の種類はさまざま。最近は、日本でもそんな伝統菓子の一つ「シュトーレン」を発売するお店も増え、人気が高まってきました。
長きにわたって本格的な西洋の伝統菓子を作り続け、ヨーロッパ伝統菓子を取り揃えたフェアを実施している「ドンク」に、欧州の伝統菓子について伺いました。
クリスマスケーキとは違うの?
日本ではクリスマスにはクリスマスケーキをいただくのが一般的。定番のショートケーキやチョコレートケーキ、ブッシュドノエル、モンブラン、今年はピスタチオテイストも人気のようです。お一人様用にプチサイズケーキも増えてきました。
欧州に目を向けると、日持ちする伝統菓子を食べるのが恒例です。アドベント期間(イエス・キリストの降誕を待ち望む期間)に少しずつスライスして、味わいながら楽しむのが習慣となっている様子。
「生のケーキと違って、日常の合間にそのままカットして食べられるという手軽さも魅力です」と語るのは、ドンクの広報担当の杉森理香子さん。ドンクでは創業以来から続く日本の食生活を豊かにしたいという想いと共に、欧州の文化や食体験も楽しんでほしいと、現地の味を再現して提供しています。
X’masシーズンはドイツとイタリアのお菓子に注目
人気の「シュトーレン」は、ドイツの伝統クリスマス菓子。日本では最近は味のバリエーションも増え、ひとつのお店で2~3種類販売しているところもあるようです。和テイストやチョコレート生地のもの、全粒粉100%のものなどさまざま。
本場のお菓子を再現するドンクでは、ラム酒とブランデーにドライフルーツをじっくりと漬け込み、クルミやアーモンドなどのナッツ類をはじめ、マジパンなども加えて焼き上げています。シナモンやバニラなどのスパイスの香り、バターのコクなど、日が経つほどに馴染み、深い味わいとなるそう。また、数年前から数量限定で「栗のシュトーレン」も販売しています。
天使や星、ツリーを模った「レープクーヘン」という焼き菓子も、ドイツのスタンダードなクリスマス菓子。ドンクのレープクーヘンは、クローブやシナモンなどのスパイスがほのかに効いた大人テイスト。日持ちがするので、ヒモを通してクリスマスツリーに飾ったりできるようです。
イタリアでクリスマスに欠かせないのは「パネトーネ」。レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツが入った、ドーム状のソフトな伝統発酵菓子です。生地の中にチョコレートや普段使わないフルーツなどが入っていたり、表面をデコレーションしたりなど個性的なものも増えているとか。イタリアではクリスマスシーズンになると、親しい人や家族とお気に入りのパネトーネを贈り合うという習慣があるようです。
本場の味にこだわるドンクでは、30年以上前からイタリアの菓子店「サンレモ」と提携し、イタリアで直接指導を受けた伝統的な製法を守り続けています。生地に卵黄とバターを使い、リエヴィト・マードレと呼ばれる特別な酵母を使ってじっくりと発酵させたソフトな生地に、厳選されたサルタナレーズン、オレンジピール、シトロンピールなどのドライフルーツを混ぜて焼き上げた本格的な味わいが魅力です。
パネトーネと形が似ている「パンドーロ」も、イタリアでは定番のクリスマス菓子。黄金色をして溶けるように柔らかいのが特徴的。水を加えず、卵黄とバターを使ってふっくらと焼き上げています。
クリスマスを待ちながらいただく愉しみ方
シュトーレンは焼き上げてからも熟成が進むため、日が経つほどに味が馴染んで、深い味わいになるとか。ドイツではアドベントの期間中に毎日少しずつ食べる習慣があり、1㎝くらいずつスライスして、食後のスイーツやおやつとしていただくのですが、コーヒーや紅茶ばかりでなく、オレンジやシナモンスティックなどを入れて煮込んだグリューワイン(ホットワイン)と一緒にいただくとより本場の雰囲気が高まるかもしれません!
パネトーネは大きめにカットして、コーヒーやスプマンテ(スパークリングワイン)と一緒にいただくのがスタンダードな食べ方。でも軽くトーストしてから、バニラアイスを添えて食べるのも、食後のデザートやティータイムにぴったりなんだそう。外はサクッと中はふんわりした食感で、ドライフルーツの風味も際立つのだとか。
*シュトーレンもパネットーネも本来ボリューミーなお菓子ですが、ドンクではお試しサイズも販売しているので、両方購入して食べ比べてみてもよさそうです。
新年はフランスの伝統菓子で乾杯
フランスで新年をお祝いするのに欠かせないのが「ガレット・デ・ロワ」(王様のお菓子という意)。パイ生地の中にアーモンドクリームを入れ、フェーブという陶器の人形をしのばせた焼き菓子です。切り分けたときにフェーブが当たった人は1年間幸運が訪れると言われ、その日は王冠をかぶり、王様(女王様)になれるというのがフランスの楽しみ方なのだそう。
1月6日の公現祭(キリストの生誕を知った3人の賢者が東方から祝いに駆け付けたという日)にフランス全土で食べられるお祝いの伝統菓子で、フランスでは公現祭前後が最も活気があるようですが、年明けから1月末まで販売しているお店が多く、シードルと合わせて食べるのが主流のようです。
ドンクの「ガレット・デ・ロワ」は、しっとりした食感×口どけのよいパイ生地に、アーモンドクリームが入り、パイとアーモンドクリームのバランスが絶妙です。フェーブは、ドンクのフランスパンを入れる袋をデザインしたフランス人デザイナーのクロード・ヴァレンヌ氏の作品から毎年チョイス。コレクションしている人もいるのだとか。
「クリスマスを待ちわびて少しずつ食べたり、新年を祝ってみんなで切り分けて食べたりというお菓子は、日本にはない文化。伝統菓子にはそれぞれの由来やお菓子が生まれたストーリーがあり、長きにわたって変わらず作り続けられてきているところに、美味しさも詰まっていると思います」とドンクの杉森さん。ヨーロッパの素敵な冬のホリデーシーズンの過ごし方を取り入れてみてはいかがですか?
ドンク
販売店舗:ドンク全店舗
*ガデット・デ・ロワはドンクエディテ各店でも販売
店頭販売期間:シュトーレン、クリスマスパネトーネ、レープクーヘン~12月25日、ガレット・デ・ロワ12/27日~1月15日、パネトーネ、パンドーロ通年販売
https://www.donq.co.jp
Instagram @donq_depuis1905
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