何度読み返しても、絶対に夢中になれる本とは?~多部未華子の読書案内

小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。アラサーの“多部ちゃん”が、同世代女子からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本を紹介します。

Q アラサー女子からのリクエスト
「Myブックともいうべき
何度も読み返している
小説はありますか?」

本を読むのは好きなのですが、しばらくすると読んだ本の内容を薄っすらとしか思い出せません。どこかで “読んだ本の9割は忘れてしまうものだ”という文章をみて、ちょと安心したのですが(笑)。だからこそ、忘れられない1割の本を読んで何かを得たいと思いました。ということで、多部さんの“心に残っている本”を知りたいです!

 ↓

何度読み返しても、
夢中になって時間を忘れてしまう。
10年前から好きな2冊

名作と言われすぎて、近年は、身近な人からは薦められていないであろう2冊を紹介します。それは、映画化もドラマ化もされている、東野圭吾さんの『秘密』と『白夜行』です。私が東野圭吾さんの作品を最初に読んだのは高校生の頃、友人から薦められた『秘密』でした。

バス転落事故をきっかけに、娘の体に母の心が宿ってしまうところから始まるこの作品は、夫目線で物語が進んでいきます。

夫として、そして娘を持つ父としての複雑な心境や葛藤が描かれているミステリー小説です。ラスト1行の文章までずーっとドキドキが止まらず、思いがけない展開にハッ‼としたりまったく見えない結末に、とにかく時間さえあれば、ひたすらページをめくっていた記憶があります。

その後は、東野圭吾さんの作品をひとしきり読みまくり、次にどハマりしてしまったのは、『白夜行』。

私のイメージでは、誰もが知ってる『白夜行』。誰もが読んでる『白夜行』。という感じなのですが、いかがでしょうか。

とある殺人事件の被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂の長い歳月にわたる人生を描く悲劇的かつドラマチックな長編小説で、この小説に出会った当時19歳の私は、さまざまな視点から描かれる主人公2人の行動や、事件からの時の流れに終始ハラハラドキドキしてしまい、時には桐原亮司の気持ちになり、時には西本雪穂の気持ちになり、そして時には刑事の笹垣潤三の気持ちになり、頭と心が常に忙しかった記憶があります。

どこへ行くにも『白夜行』を持ち歩き、時間を忘れるほど没頭し、あまりに集中しすぎて気がついたら朝を迎えてしまっていたという経験をした初めての小説でした。

最近、友人が『白夜行』を読んだことがなかったことを知り、絶対に読んでほしい!と、プレゼントをしたくらいです。

この2つの小説は、もうすでに皆さんも思っているでしょうが、私も不朽の名作だと心から思っていて、いくつになっても、何度読み返しても絶対に夢中になる2作です。

まだ知らない方にはぜひぜひ読んでいただきたい小説です。

文/多部未華子

今回のオススメ本はこちら!

『秘密』 東野圭吾 著 ¥730(税別)文春文庫 

死んだはずの妻が、娘の体に宿っていた…。1998年度のベストミステリーとして話題に。

『百夜行』 東野圭吾 著 ¥1,000(税別)集英社文庫

伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。心を失った人間
の悲劇を描く、傑作ミステリー。

多部未華子
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多部未華子
1989年東京都生まれ。女優。2005年に映画『HINOKIO』と『青空のゆくえ』で第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞するなど、10代から存在感のある演技で幅広く活躍。その後、NHK連続テレビ小説「つばさ」主演をはじめ、さまざまな作品に主演。まもなく主演ドラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS)が放送予定。
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