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2026.02.24

豆まきで運を考える|いつまで自分でせいいっぱい?【佐津川愛美】

自分と向き合ったり向き合えなかったり、ここまで頑張って生きてきた。30歳を過ぎてだいぶ楽にはなったけど、いまだに自分との付き合い方に悩む日もある。なるべく自分に優しくと思い始めた、役者、独身、女、一人が好き、でも人も好きな、俳優 佐津川愛美さんが綴るリアルな日常。【連載「いつまで自分でせいいっぱい?」】

ちゃんと巡ってくるものはある

ナイター撮影の日。18:00現場入り。夜ごはんを買って現場に入ろうとスーパーに寄った。

入り口に入るなり視界に現れた大量の恵方巻きに足が止まる。こんなに?と思ってから、あ、と気づいた。明日は節分らしい。私はこうしていつも、売り場に教えられる。

翌々日、姪っ子めーたんの家の近くで撮影が終わるので遊びに行こうと思っていた。豆まきしよー!と連絡すると、小さい頃保育園に鬼が来て怖かったから、めーたんの家には毎年鬼は来ないらしい。鬼は来ないよ、お菓子まきしよー!と決まった。

 

節分が終わったらもう豆が買えないかと思い、節分当日にスーパーに行き、節分グッズを買い揃えるつもりでいた。けれど、野菜を手に取り、納豆をかごに入れ、必要なものだけを淡々と選んでいるうちに、肝心の豆のことをすっかり忘れてしまった。スーパーを出てから気づく。「あ、やってしまった」。節分に豆がない。少し情けなくて、でもどこか自分らしいとも思った。

その帰り道、近所の神社の前がいつもより賑やかなことに気づいた。階段の上にネットのようなものが張られ、人が集まり、なにかが行われているようだった。帰り道である別の入り口を通ろうとしたその時、「豆まき始まってますよー」と声をかけられた。にこにこしながら手招きしてくれたおばさま。そんなこと、知らなかった。神社の豆まきなんて、参加したことがない。

仕事で、豆をまく側をやらせてもらったことはある。でも、豆をもらう側は初めてだった。なんだか急に、子どもに戻ったような気持ちになる。私は迷うことなく、参加することにした。ここで豆をもらえたら、めーたんにあげられる!スーパーの豆よりきっとご利益あるはずだ!めーたんの為なら取りたい!

始まってみると、すぐに気づいたことがある。ここには二種類の人がいる。

「こっちこっちー!」と大きく手を振り、前に出て、全力でアピールして豆をつかみにいく人。もう一方は、特に声を出さず、静かにその場に立って、流れを待つ人。投げる側も、やっぱり声の大きい方、目立つ方に豆を投げる。人の心理って、こういうところに出る。

私はというと、「こっちこっちー」はどうしてもできなかった。来たらラッキー、来なかったらそれまで、くらいの気持ちで、ただ立っていた。どうやら私は、流れに身を任せるタイプらしい。これって、運との付き合い方と似ているな、と思った。自らつかみにいく人と、待つ人。どちらが正しいわけでもない。ただ、姿勢が違う。

豆まきはとても面白かった。豆の入った袋、お餅、みかん、ポケットティッシュ、おかしなどなど。あちこちに跳ね、笑い声が混じり、明るい雰囲気になっていた。結局、私が手にした豆は、2つ同時に隣の人の元に飛んできて、片方を掴んだことでその人の手にあたり、弾かれた感じで私の手元にぽとりと落ちてきたものだった。自分でつかみにいったわけでも、狙ったわけでもない。偶然、流れてきた、という感じ。

終わると、みんな自然と隅の方に並び始めた。どうやら、子どもにはお菓子、大人には日本酒が配られるらしい。私もちゃっかり列に加わる。立派な箱に入った日本酒を受け取ると、その上に、豆がそっと載せられていた。あ、結局、ここでも豆をもらえるんだ。

そう思ったとき、ふっと力が抜けた。静かに待つのも、悪くない。前に出なくても、声を張らなくても、ちゃんと巡ってくるものはある。運もきっと、そういうものなのかもしれない。誰もが同じ量を手にするわけじゃないけれど、気づけばそれぞれ、ちゃんと豆を持って帰れるのかもしれない。

お菓子も買い忘れた私は、夜中のドン・キホーテ様にお世話になり、お菓子を買い揃えた。

豆まき(メインはお菓子まき)は、めーたんとお隣のお友達と共に開催し、あっという間に終わってしまい、来年は倍のお菓子を買っていこうと思った。

神社でもらった豆は、一粒ずつ投げて、いつの間にか誰が一番遠くまで飛ばせるか大会になった。飽きてきた頃に「おいしい!」と言いながらめーたんとお友達が豆を食べていた。

運って、こうやって分け合うものなのかもしれない。誰かのところに転がった豆が、また別の誰かの手に渡って。掴み取った運でなくとも、めーたんとお友達が楽しんでくれたのなら、ねねはそれだけで大満足だ。

【喜】念願のシール交換も出来て超たのしかった!
ねねハッピー!
この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:いつまで自分でせいいっぱい?
佐津川愛美

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