SEVENTEENは、新たなワールドツアー「SEVENTEEN WORLD TOUR [NEW_] IN JAPAN」を開催。9月に韓国・仁川公演から幕を開けた本ツアーは、日本では愛知・東京・大阪・福岡の4都市で全10公演が行われ、合計42万人を動員。東京ドーム公演は2日間で約10万人を集め、日本公演は大きな成功を収めた。その2025年12月11日に東京ドームで行われた公演をレポート。
「NEW_」に込められた、挑戦と更新の意思

ツアータイトル「NEW_」は、「新しい」を意味する言葉の後にあえて空白(_)を残すことで、完成形ではなく、これから先も更新され続ける存在であることを示している。常に変化し、進化を続けるという意志そのものが、このタイトルには込められている。
今回のツアーは、SEVENTEENにとって初となる9人体制でのライブとなった。JEONGHAN、HOSHI、WONWOO、WOOZIが兵役期間中という状況のなかで行われた公演である。それでもステージ上では、「不在」を強調することなく、立ち位置に空白を感じさせない配置や、センターを固定しない流動的な構成が取られていた点が印象的。各メンバーが明確な役割を担い、ソロステージを通してそれぞれの強みを最大限に発揮することで、9人という現在の形が確かなものとして成立していた。
同時にこのライブは、「必ず13人で戻ってくる」という前提を大切にしながらも
、「今できることはすべてやる」という姿勢をはっきりと示すステージに。変化の途中にありながら立ち止まることなく前進し続けるその姿こそが、ツアータイトル「NEW_」に込められた意志を体現していた。
約3時間半、感謝とホスピタリティ充満のパフォーマンス

12月11日、夕方の東京ドーム。平日にもかかわらず、スタンド最上段まで埋め尽くされた客席はCARATの熱気に包まれていた。
17時半、ライブが開幕。ドーム両サイドからオープンカーで登場するメンバーや、花道、リフトを使った華やかな演出に、会場からは大きな歓声が上がる。一斉に灯った白いCARAT棒が、幻想的で圧巻の光景に。
序盤には、アルバム『HAPPY BURSTDAY』収録の新曲「HBD」を披露。続く「THUNDER」では、CARATの力強い掛け声がドームいっぱいに響き、新曲ながらもステージと客席が自然と一体になっていく。SEVENTEENとCARATが共に空間を作り上げていく様子が、序盤から強く印象づけられた。
この日の公演は約3時間半。代表曲から思い出深い楽曲、全4回のMCを含む濃密な構成で、体感としてはあっという間の時間だった。
ライブ全体の流れは――
- 新曲「THUNDER」「HBD」を含む序盤の4曲
- ソロステージ前半(3曲)
- 「SOS」「F*ck My Life」を含む中盤の4曲
- ソロステージ後半(6曲)
- 「HOT」「HIGHLIGHT」「Rock with you」を含む後半の5曲
- アンコールでは「ひとりじゃない」「VERY NICE」などを含む、10曲以上を披露
約3時間半にわたるステージを通して、彼らは何度もCARATへの感謝を言葉にし、終演の瞬間まで手を振り続けていた。完成度の高いパフォーマンスと誠実な姿勢が印象に残る、ホスピタリティに満ちた公演にそこにいた誰もが胸が熱くなったはず。
9人それぞれが主役となったソロステージ
今回のライブで特に印象的だったのが、9人それぞれが主役となったソロパフォーマンス。各メンバーの個性や役割がより明確に浮かび上がり、現在のSEVENTEENが持つ表現力の幅をあらためて実感させる構成に。
SEVENTEENは、HIPHOP TEAM・VOCAL TEAM・PERFORMANCE TEAMという3つのチームが、それぞれラップ、歌唱、ダンスを担い、専門性を掛け合わせてステージを作り上げるグループである。
ソロステージでは、そのチームカラーがより鮮明に表れ、PERFORMANCE TEAMは世界観と身体表現で一気に会場を引き込み、VOCAL TEAMは繊細さと力強さを併せ持つ歌声で聴き入らせる時間を生み出す。そしてHIPHOP TEAMでは、エネルギッシュなパフォーマンスによって会場の熱気が最高潮に達し、CARATとの一体感が強く感じられた。 そのソロパフォーマンスを時系列で紹介!

DINO[ディノ](PERFORMANCE TEAM所属、1999年生まれ・韓国国籍の最年少メンバー)
ソロの一番手として、銃をモチーフにした「Trigger(曲名)」の強烈なコンセプトを体現し、ステージの流れを一気に引き込む役割を見事に果たす。

JUN[ジュン](PERFORMANCE TEAM所属、1996年生まれ・中国国籍のパフォーマー)
幻想的で切なさを帯びた世界観のなか、繊細なしなやかさと余韻の残る歌声を印象づけた。

VERNON[ヴァーノン](HIPHOP TEAM所属、1998年生まれ・韓国/アメリカ二重国籍のラッパー)
ギターを手にしながらの登場で会場をロックな空気に一気に染め上げ、東京公演に合わせて歌詞を「TOKIO」と変えるファン想いな演出も印象的。

JOSHUA[ジョシュア](VOCAL TEAM所属、1995年生まれ・アメリカ国籍[韓国系]のボーカル)
柔らかく優しい世界観と澄んだ高音ボイスで、会場を包み込むような一体感を生み出した。

DK[ド ギョム](VOCAL TEAM所属、1997年生まれ・韓国国籍のメインボーカル)
爽やかな世界観を思わせる演出のなか、ドーム全体に響き渡る力強く澄んだ歌声を届け、CARATと一緒に歌い上げる場面も。

SEUNGKWAN[スングァン](VOCAL TEAM所属、1998年生まれ・韓国国籍のメインボーカル)
ピアノを弾きながら冬の切ない世界観へと誘い、サビでは圧巻の声量と歌唱力で会場を拍手の渦に。

THE 8[ディ エイト](PERFORMANCE TEAM所属、1997年生まれ・中国国籍のダンサー)
幻想的な導入から一転、エレクトロで高揚感のあるサビと掛け声で会場を引き込み、圧巻のカリスマ性を披露。

MINGYU[ミンギュ](HIPHOP TEAM所属、1997年生まれ・韓国国籍のラッパー)
メタリックな衣裳にファッションショーを思わせる演出とクラブミュージック調のサウンドで会場の熱気を最高潮へ。

S.COUPS[エス クプス](HIPHOP TEAM所属、1995年生まれ・韓国国籍のSEVENTEEN総括リーダー)
圧倒的な声量と力強いラップ、キレのあるダンスに炎の演出が重なり、会場のボルテージを最高潮へ導くソロの締めにふさわしいパフォーマンス。
もちろん、和やかなMCの時間も

圧巻のパフォーマンスから一転、MCでは笑いにあふれた親しみやすい空気に。DKを中心に、MINGYU、SEUNGKWAN、S.COUPSが軽快な掛け合いを展開し、VERNONはいじられ役として会場を和ませる。途中にはセットリストにない楽曲を歌い出す場面もあり、その自由度の高いやり取りに歓声が上がる。メンバー同士が抱き合い「サランヘ」と声をそろえる姿や、DINOがJOSHUAを抱き上げる一幕も見られ、ステージ上の関係性そのものが強く印象に残るMCタイムとなった。
アンコールで語られた、感謝と次への約束
アンコールの最後には、メンバーの一人ひとりがCARATへの想いを言葉にした。
SEUNGKWANは涙を浮かべながら、「皆さんのおかげで幸せだった」「必ずメンバー全員でまた戻ってくる」と語り、何度も感謝と愛情を伝える。
JUNは、平日にもかかわらず会場を埋め尽くしたCARATに感謝を述べ、「皆さんを見たくて、つい目が離せなくなる」と笑顔で振り返った。DINOは、「待っていてくれた分、このステージを見せたかった」と語り、観客から力をもらった公演だったと素直な気持ちを明かす。S.COUPSは、東京ドームへの特別な想いを口にし、「必ずSEVENTEENのエスクプスとして、またここに立ちたい」と強い決意を語り、不在のメンバーへもこのエネルギーを届けたいと話した。JOSHUAは、会場を回りながら受け取った一人ひとりの愛情への感謝を述べ、THE 8は、「不在があっても、空白を埋めてくれたのは皆さん」と語り、これからも残ったメンバーで最善を尽くすと約束する。VERNONは、日本で活動を続けられる喜びと、これから見せたい未来への期待を静かに伝えた。DKは、終始明るく会場を和ませながらも、「皆さんのおかげで幸せだった」と何度も感謝を繰り返し、MINGYUは、東京で過ごした時間の思い出とともに、「それでも一番楽しいのは、皆さんと一緒にライブをする瞬間」と語り、年末まで一緒に頑張ろうと呼びかけた。
口々に語られたのは、感謝、愛情、そして未来への約束。アンコールの最後まで伝え続けられたその言葉の一つひとつが、この公演がどれほど誠実な想いで作られていたのかを、何より雄弁に物語っていた。
更新され続けるSEVENTEENの「今」

9人体制という状況のなかでも、彼らは妥協することなく、今できるすべてをステージに注いでいた。演出やパフォーマンス、そして想いのこもった言葉の数々から伝わってきたのは、CARATへの感謝と、進み続けるという強い意志。
「NEW_」というツアータイトルの通り、SEVENTEENは立ち止まることなく、今この瞬間の姿を更新し続けている。そして同時に、この公演は「必ず13人でまた戻ってくる」という約束を、確かな実感として残していった。
再び13人が揃うその日を信じて、進化を続ける彼らの未来を、心から待ち望みたい。

