昨今のファッション雑誌の撮影は、モデルカットと静物カットそれぞれ別のフォトグラファーが担当することが多くなりました。90年代のころはモデル撮影のあとに静物撮影…とフォトグラファーが一人でどちらも撮影し、独自の世界観を披露してくれていました。雑誌だけでなく広告業界でもトップクラスに君臨されていたフォトグラファー、中川十内氏がこの年末に新たなアートユニット「The Pranks」とコラボした写真展を開催。その一部を紹介します。
繊細なタッチで描かれる作品に誰もが引き込まれる
スケッチするようにシャッターを押すフォトグラファーと、スケッチしないで描くペインター。独特のテクニックを持つ二組が出合い、それぞれの感性で思い描くヴィジュアルで作品を完成させた写真アートは、見る人の目を奪います。テーマは「TOKYOの街で目撃した111の白昼夢」。人々が暮らす都会を中川氏がレンズで無数のスケッチ=シャッターを切ったカットに、アートユニット「The Pranks」がペイント。
中川氏はファッション雑誌で活躍する傍ら、ライフワークとして都会を撮り続け、好奇心のままに生活の一部を写真に収め続けていたそう。2010年にはインドのビハール州で開催された第1回WAFにオフィシャルカメラマンとして参加。壁画作品やアートワークショップを撮影しながら、そこでパワフルに生きる人たち、生活に共感し新境地に。また異分野とのコラボにも積極的で「今までにない」作品も数多く発表し続けています。
一方The Pranks(ザ・プランクス)は絵画を中心にさまざまなコラボを展開するアートユニット。数名で展開されている自由奔放な作風の絵画は「物語」が想像される…と注目を浴びています。ただし彼らのプロフィールの詳細は明らかにされていない…という“今どき”な感じに興味をそそられます。
そんな二組の写真と絵が合体し出来上がった作品は111点。透けるようなタッチで軽やかなシュールレアリズム感が漂い、さらにファンタスティックな気分に浸れます。作品には、作家・マーガレットボーイがキャプションを加えています。制作順に展示された作品を観て、そこからのインスピレーションで浮かび上がった言葉が繋がると…そこにはひとつながりの小説が繰り広げられているのです。
今回はこれらの作品の購入も可能。会場には中川氏も在廊予定。新たなチャレンジの展覧会で運命の一枚を探しつつ、あなたの五感を刺激してみませんか。
『中川十内×The Pranks 写真展 111DAYDREAMS』
会期/2021年12月1日(水)〜26日(日)※月曜、火曜は休館
開場時間/12:00〜18:00
会場/ギャラリー イー・エム 西麻布(東京都港区西麻布4-17-10)
https://www.thepranks.net