ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。
今日はボクの話を聞いてください
はじめまして。ボクの名前は、ショーンといいます。パリに住んでいます。8歳です。
この犬は、ナナ。フレンチブルです。僕が生まれる前から、ボクのママとパパが飼っていたので、ナナがうちに来るまでのことは、両親から聞きました。
ナナは今、13歳だから・・・それぐらい前のお話。
ママとパパは、犬を飼いたかったんだけど、ペットショップでは見つけたくなかったので、人づてに探していたそう。
それで、北マレ地区のブルターニュ通りに住んでいた知り合い夫婦が、離婚することになって。子供が3人もいるから、ナナのことを面倒みきれないと困っていたので、引き取ることにしたそう。
受け取りにいったときに、3人の子供たちが泣いてたんだって。その気持ちは、ボクもよくわかるよ。だってもしナナが誰かに連れて行かれちゃったらさ、悲しいから。
その子たちには「いつでも返すからね」と言い残してきたんだって。
ナナはまだ生まれて3ヵ月で、すごーく小さくて可愛かったみたい(ナナはねフランス生まれじゃなくて、ベルギー生まれなんだよ)。レディっていう名前が付けられていたんだけど、ちょっと似合わないので(笑)、セルジュ・ゲンズブールのブルテリアと同じ「ナナ」って名前に変えたんだってさ。セルジュ・ゲンズブールが誰か知ってるかってって? ・・・うふふ、知らないよ~(笑)。
ママに聞いたけど、ナナは人間でいうと、もうおばあちゃんなんだってさ。
だから優しくしてあげてるんだよ、絵本を読んであげたりね。でもさ、ボクのことを子供だと思ってるのか、無視したりするんだよ。体重だって、ボクは33kgもあって、ナナの3倍ぐらいあるのにさ。
ナナの好きなこと?
パテドカンパーニュが大好物だよ。あとね、ジャムも。ずっと前にね、ナナがひとりで留守番していたときに、キッチンでジャムの瓶を床に落として割って、ジャムだけぜんぶ舐めちゃったんだよ。どうやって瓶を落としたんだろう? テーブルに体当たりでもしたのかな(笑)。
あとね。お風呂が大好きで、毎日入れてあげるとすごく喜ぶ。それから、お出掛けが大好き。ヴァカンスも一緒に行くんだよ。でもこの夏は、ヴァカンス中にナナが病気(脳梗塞)になっちゃって、入院しちゃたんだ。それで、今もオシメ姿なんだ。でもほら、見て、サスペンダーでおしゃれにしてるんだよ。
パパが「ナナはちょっと平衡感覚がなくなってる」って言うの。たぶん、目もあんまり見えていないのかも。でも、いつだって、ボクから見える場所にいて、構って欲しそうにしてるんだよ。ほんとは、甘えん坊!
ナナはボクの犬だよ、って言いたいけど、ナナはそう思っていないかもね。ボクの言うことは、全然きかないから。
お互いに、自分のほうがえらいんだぞって、競争しているみたいなときもあるけど・・・。でもね、本当は、それはどうでもよくて。
思ったんだけど、ナナはいつか死んじゃうんでしょう? そんなこと考えたくないし、ずっとみんなで一緒にいたいけど。もう昔みたいに、元気に走り回ったりできないしね。
だからね、もう、言うこと聞いてくれなくてもいいから、ずっといてくれたらいいよって。絵本読んであげてるときも、聞いてなくていいよ、居眠りしてもいいよ。
ママとパパと、ボクと、ナナ。ただずっと、ここにいてくれればいいんだよって。
それはまだ、ナナには言葉では伝えてないけど。うん、今度、絵本を読んでいるふりをして、言ってみようと思ってる。