平凡な日常で起こるさまざまな事件を笑いとともに解決するコラム「ま、一杯飲んでベッラ ヴィータよ」。舞台は東京・港区は南麻布の架空のバー「Bar D’Amore(バール ディアモーレ)」。令和の時代が訪れようと、看板娘?!のジョバンナ洋子ママは、あくまでマイペース。第17夜は同窓会というイベントに出かけたばかりの子羊が参戦。さて、今宵はどんな面白トークが繰り広げられるのか、乞うご期待!
【第十七夜】 同窓会に出てみたら……
それにしても夏の逃げ足が速いわ〜。暑いんだけどちょっと切ない、夏の終わりが大好物なのに、いきなりの秋モードで6時半には暗くなっちゃって、夏の余韻が楽しめないじゃない! 毎年言ってるような気もするけど、年々加速気味だわ〜。
「こんばんは〜。また雨が降ってきましたよ」
あら、ホント安定しないお天気ね。大切にしている高級な靴を履いて出かけられないのよね。こうも急な雨が多いと。さて、飲み物は何がいいかしら?
「どうしようかな。このところ集まりが多かったせいか、夏の疲れなのか、胃腸がどうも……」
そうよね、わかるわ〜。私もね、この夏は調子に乗って結構やらかしたのよ。
あ、イタリアの薬草酒、アルケルメスのソーダ割りなんてどうかしら? クセはあるけど。
「いいですね。クセあり、好きです」
あっさりと終わった夏について
あなた、この夏はどう過ごしたの?
「夏らしいことなんかまったくできなくって。先週慌てて、ホテルのプールで半日過ごしましたよ」
あら、いいじゃない。私は結局水着を着ないまま終わったわ。
「まあ、お盆は帰省して、高校の同窓会にも行ってきました。アラサーなんで、まだ結婚していない人もいるし、懐かしいというか、わりと目がギラギラしている人もいましたけどね」
実は私も行ってきたのよ、同窓会。ほら、アンチエイジングで売ってるセサミンのちょっとクサめのCMがあるじゃない。
「アレですね。
高校の同級生にあった。伊藤さん? 50代なんて信じられないくらい若々しかった。上川くん? 35年ぶり?
っていう……(笑)」
そうそう。まあ、そんな感じ。中学の同窓会だったから、え〜っと、下手したら、それこそCMさながらにウン数十年ぶりなんて人もいるじゃない。こういう年齢になると、懐かしいも何も、初めまして〜くらい記憶がない人もいて、失礼な女だったと思うわ。
10年に一度の立ち位置確認作業
「同じ年って言っても、生活環境によって見た目年齢は違うってことを思い知らされました」
そうなのよ、まず同窓会に参加する時点で、見た目はもちろん、生活充実度もある程度キープしている人だと思うの。そのなかでも千差万別、十人十色。早くもお孫さんがいるじいじ、ばあばもいたし。
「え〜、早くないですか?!」
そうかしら、地方だからちらほら、いるわよ。でも昔のおばあちゃん像じゃないわね。まあ、見渡すとやっぱり好きなことを仕事にしてる人は、現実感が薄くて夢を食べてるからかしらね、多少は若く見えるような気はしたけど。
「年齢不詳ですもんね、ママ」
同窓会って、旧交を深めるっていう意味が強い気がしてたけど、今回は違う参加意義を見出したわ。
「え? それは、どういう・・・・・・」
普段はいろんな年齢の人たちと過ごしているじゃない。だから実感が薄いけど、同じ年齢の人だけが何十人も集まると、現時点の自分の位置がクリアに見えるのよね。いろんな意味で、私は超異端だってことだけは明らかになったわ。
「なるほど! 次回はそういう視点も持ってみます。ところで、なんかウフフなことはなかったんですか〜〜?」
まあ、ちょっと甘酸っぱくはあったわね〜(笑)。でも当時の彼が優しい性格のまま大人になってたことが、なんだか嬉しかったわ。ウフフ・・・・・・♥
「ノスタルジーで素敵な夏でしたね。じゃ、私、そろそろ帰ります」
あら、そう。夏並みの逃げ足の速さね。もう少しシミジミ話をしたかったのに。気をつけて帰るのよ!
自分らしく生きる代償
今晩の子羊は、アラサーらしいあっさりしたタイプだったわね。あの子たちの世代だと、同窓会もまた違った雰囲気なのかしらね。巷じゃあるがままの私で、とか、アイデンティティーを尊重しようっていう風潮だけど、そこを解放しちゃうとね、どうかしらね、後戻りはできないの。開くか閉じるか、2つに1つ。開けちゃったら、自由と引き換えにリスクも受け止めなきゃならない。今さらながら、そんなことを考えさせられた同窓会だったわ。あの同級生たちと過ごしていたティーンエージャーの頃には、想像もつかない未来よ。わからないものね。つくづく人生ってワインみたいに複雑。ま、だからおもしろいんだけど。
【今宵の一杯】
テッレ・ネーレ エトナ・ロッソ
今回の一本はシチリアの赤ワイン「エトナ・ロッソ」です。創始者のグラツィア兄弟がイタリアのなかの最高の土地を求め、辿り着いたのがシチリアのエトナ火山の北側斜面に位置する畑。
社名のテッレ・ネーレの意味である“黒い土壌”のとおり、エトナ周辺は黒い火山灰土壌。ワインづくりに2000年以上の歴史をもつこの土地で生み出される、しっかりと力強く調和のとれた味わいです。ルビーレッド色でほんのりと松脂のようなバルサムの香りも。白身、赤身、野菜などいろいろな料理に合わせやすい赤ワインです。
Terre Nere Etna Rosso DOC
シチリア州
ネレッロ マスカレーゼ95% ネレッロ・カップッチョ5%
750ml ¥3,300(参考小売価格)*数量限定
フードライナー
078-858-2043