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TRENDLIFESTYLE

2019.07.28

“買わない”女子の時代 by ジョバンナ洋子

真夏の開放感のなか、日常で起こるさまざまな事件を笑いとともに解決するコラム「ま、一杯飲んでベッラ ヴィータよ」。舞台は南麻布の架空のバー「Bar D’Amore(バール ディアモーレ)」。暑かろうが寒かろうが一定のテンションを保ち、冷静な視点で切り込むジョバンナ洋子ママは、こんな時代だからこそ頼りになる存在。第16夜は“買わない”アラサー女子がご来店。さて、今宵はどんな辛口トークが繰り広げられることやら。

ジョバンナ洋子

【第十六夜】買い物に興味がある?ない?

ボナセ〜ラ。まずは恒例のお天気トークよ。しかし今年の梅雨は長かったわね。しかも湿度がヘビーでいつもは不死身な私さえ、微妙な体調。ヨーロッパじゃ40度越えとかって話だけど、どうかしらね、今年の日本の夏は。

ジョバンナ洋子

(c)Anatoliy Karlyuk/Shutterstock.com

気候もだけど、新しい時代を迎えるってこういうことなのかしら・・・・・・。巷では連日某お笑い帝国の騒動、政治のポピュリズム問題で賑わっているけれど、日本人は特に真面目だし、右習えだから、新しい価値観が浸透するスピードもこれまた急速。これまでどちらかといえば白黒をはっきりさせない民族だと思っていたんだけど、「これからはホワイトでなければ!」となった途端、もう漂白したくらいの真っ白にしないと気が済まないって感じ。もう少し物事の本質をじっくり見るべきよね・・・・・・。

「ママが独り言をつぶやいている間に、勝手にお邪魔してます」

昭和ど真ん中世代、危うし!

あら、ごめんなさい、気がつかなくて。アナタたち世代は最近の世の中の動向は、どう思うの?

「ああいうナニワの社長さんみたいな方、いるな、ウチの会社にも。聞けば今春に昇格されたばかりだったらしいから、ちょっと舞い上がってたんですかね。社長にまでなる人なんだから、それまで何十年もそれなりに苦労も我慢もして得た役職なのに」

そう、私の同級生にもいそう(笑)。今は物質的でなく精神的な価値観=思想の時代よね。いい思いをしてきて、少し天狗になっちゃって、そういうトレンドを勉強してなかったんでしょうね。よく考えれば、エンタメ仕事なら大衆がどういうことに笑えるのか、他人の頭のなかに興味を持つことは最重要項目。そういう意味でもかなり残念ね。

「確かに私の周りも、ついてこれない大人に対しては冷ややかな感じですね。価値観に開きがありますから」

“ま、どうにかなる”って、ちょっと脳天気な思考の人も多いのは確かね。

ジョバンナ洋子

(c)Sergey Furtaev/Shutterstock.com

「私たち、やっぱり現実的な世代なんで。ここ最近楽しみ方、お金の使い方も、すごく変わりました。みんなモノよりコトですね。旅や習い事にお金使ってます」

そうらしいわね。私も確かに旅や食事の比重が増えてるし。休みの日にショッピングのために人混みに出かけたりはしなくなったわ。

服の買い方も様変わり

ジョバンナ洋子

「正直服はあんまり買わないです。それこそトレンドもあってないようなものだし、去年のものでも似合えばいいかな〜なんて」

私はこのところはもっぱら海外通販よ。なんたって足で探すよりアイテム、色柄も豊富なのよ。海外ブランドも日本に入荷しているものは無難なものが多くて。

「そうなんですね。おすすめのECサイトはありますか?」

私はファーフェッチをよく使ってるわ。ECのなかでは高級ブランドの旬なものを扱ってるから。

「聞いたことあります。高そうです、海外なんて送料も・・・・・・」

まあ、確かにお得感、レア感はあるけど、安いかって言われると・・・・・・。でも日本で同じものを店で買ったらもっともっと高いから。セールや特典も結構あるの。送料だって、イタリアからだと¥1,500。

「そうなんですね。一度試してみようかな」

楽しいのよ。この間もジルサンダーのワンピースがセールになってたから、ポチッとしたんだけど、ちょうどサマードレスだけさらに20%オフだったわ。故郷のイタリアはシチリア島のセレクトショップのもので、DHLが運んでくるんだけど、その輸送履歴を追うワクワク感がいいの。北イタリアのベルガモでトランジットして、ドイツのライプチヒからの成田。日本にいながらにしてちょっとした妄想旅気分ね。

「なるほど〜。確かにそのブランドは最近また人気みたいですね。アプリでのぞいてみま〜す」

私たち世代はまだ消費、モノを手にすることが喜びなのよ。もう体に染み込んでるから、そう簡単には抜けないわね。

“物欲”が死語になる日

ジョバンナ洋子

(c)VGstockstudio/Shutterstock.com

「20代前半と50代以上はまだモノを買ってるらしいですね」

買い物は遊びなの! 一人でも楽しめるし、高いものじゃなくても小さな喜びがあるのよ。

「それはそれでいいじゃないですか。でも私たちは堅実なんで、消費はやっぱり喜びより不安が大きいです。老後2000万必要らしいから貯金もしないと」

随分冷めたテンションねッ。やれやれ、今日はなんだか大人世代を代表して、私がお叱り受けてる気分。夏だし、まあ、一瞬いろいろ忘れて泡でぱ〜っといきましょ。

境界線はアラサー!? 令話の仁義なき価値観争い

ジョバンナ洋子

(c)Africa Studio/Shutterstock.com

ふぅ〜。それにしても、今日の子羊は辛口だったわ。お酒の力を借りたりして、ぱ〜っと一瞬いろいろ忘れたりはしないのかしらね、アラサー世代は。楽しいのに。それにしても価値観の変化を如実に感じるこの頃よ。こうも極端に変わってくると、前世代は肩身が狭いったらありゃしない。私たちもそれなり積み重ねてきたのよ。ある意味、全然おいしいことはない世代ね。代わりに自由だけど。こういう価値観って考え方だから、割り切れるものじゃないし正解はないと思うの。ただ感覚を研ぎ澄ませておかないと、陸の孤島みたいな存在になっちゃうから気をつけないと。

さ、ちょうど8月から阪急メンズ東京3階に、イタリアのスパークリングワイン、フランチャコルタのバーができたらしいから、例のジルサンダーのワンピースでも着て、アペリティーボにでも出かけるとするかしら。

【今宵の一杯】
カ・デル・ボスコ フランチャコルタ キュヴェ・アンナマリア・クレメンティ

ジョバンナ洋子

今回ご紹介するのは、ここ数年で知名度がぐっとアップしたフランチャコルタの代表的な銘柄です。フランチャコルタとは北イタリア、ロンバルディア州フランチャコルタ地方の発泡ワインで、決められた地域でつくられたワインだけが名乗れる呼称。フランスのシャンパーニュ、スペインのカバと同じく瓶内二次発酵製法でつくられています。

ジョバンナ洋子

そのなかで1、2を争う人気の銘柄がカ・デル・ボスコ。緑に囲まれたワイナリーの各所にアーティストによる印象的な作品が融合し、モダンな佇まいを感じさせます。長年の経験から生み出された醸造法を行う最新設備を備えたワイナリーでつくられるワインは、上質できめ細かい泡が特徴。

ジョバンナ洋子

こちらの「カ・デル・ボスコ キュヴェ・アンナマリア・クレメンティ」は、特別なものを意味するキュヴェが冠されているように、創業者のマウリツィオ・ザネッラが最愛の母に捧げた思い入れのある一本。瓶内熟成はなんと9年! それでいてフレッシュで桃や洋梨が香り、柑橘系、バニライーストへと変化する余韻も楽しめます。

Ca’del Bosco – Franciacorta Riserva DOCG Cuvee Annamaria Clementi
ロンバルディア州
シャルドネ55% ピノビアンコ25% ピノネロ20%
750ml ¥16,000(参考小売価格)

フードライナー
078-858-2043

TEXT=ジョバンナ洋子

ILLUSTRATION=ユリコフ・カワヒロ

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