ファッションエディター&ライターの江口暁子さんの連載。日々のセレブウォッチから読み解かれたトレンドをご紹介。
猟犬(ハウンド)の牙(トゥース)のように見えることから、欧米ではハウンドトゥースと呼ばれる千鳥格子柄。スコットランドにルーツを持ち、英国紳士の間で人気に火がついたといわれる伝統柄は、クラシカルで上品なだけでなく、マニッシュな雰囲気が漂うのが魅力です。そんな千鳥格子柄を女性のファッションに取り入れた第一人者として知られるのは、あのクリスチャン・ディオール氏。この秋冬もディオールをはじめ、さまざまなブランドから千鳥格子柄のアイテムが登場し、モードシーンを賑わせています。
カリン・タイグル
ディオールの千鳥格子柄ダウンを冬コーデの主役にしたのは、オンラインマガジン「CONSTANTLY K」を手掛けるカリン。ボリュームのあるショートダウンがベルギーブランド、エディテッドのホワイトワンピに映えて、存在感を発揮。千鳥格子柄の上品な魅力で、ワンランク上のカジュアルに仕上げています。足元は大ヒット中のプラダの厚底ブーツで、旬を意識。キュートなポンポン付きニット帽とも相性抜群ですね。「レディ・ディオール」バッグを差し色にして、さりげなくフェミニンさをプラス。
クセニア・アドンツ
ファッションブランド「アタイア」を手掛ける、ドイツの人気インフルエンサー、クセニア。昨年秋に行われたパリ・ファッションウィークでは、ステラ・マッカートニーのフルルックで2021春夏のショーに出席。モノトーンでまとめたショーパンコーデに、細かな千鳥格子柄がシックなロングコートを羽織って、大人っぽさをアピールしています。サステナブルな素材で作られた、ユニークなフォルムの「ドクターバッグ」とギザギザソールのチェルシーブーツ「エミリー」が、トレンド感たっぷりですね。
ソニア・ライソン
ドイツ・ベルリンのファッションブロガー、ソニアはNYヤンキースのキャップをかぶったアスレジャー度高めなスタイルに、クラシカルなロングコートを採用。スニーカーまで白で揃えたスポーティな着こなしで、マニッシュな千鳥格子柄を引き立てています。温かなウール素材と優しげなライトグレーでモノトーンより和らいで見える1着は、ロンドン発ドゥシーのもの。バッグはヘビロテしている、プラダのナイロンバッグ「リエディション」をチョイス。爽やかな水色のポップさが効いていますね。
リサ・オルソンズ
ストックホルムでジュエリーブランドを手掛けるリサが選んだのは、千鳥格子柄のジャケット。オーバーサイズがハンサムな印象をアップするこちらは、日本でも超おなじみユニクロのもの。ノルウェー発エンベロープ1976の“小公子”気分なハーフパンツと旬なロングブーツの組み合わせが、乗馬テイストを思わせますね。つや感で女らしさを添える1足は、ミニマルなデザインを得意とするスウェーデンの新ブランド、アニー・ノード。ロエベのスカーフをアクセントにして、クラシックモノトーン完成。
ジェシー・チェーンズ
スペイン・マラガを拠点とするライフスタイルブロガー、ジェシー。千鳥格子柄のジャケット&ミニスカートのセットアップはH&Mのもの。インナーはシンプルな黒トップスにして柄を際立てながら、バルセロナ発アリアンヌのゴールドネックレスで華やかさを加えています。80年代のワーキングガール風コーデのハズシにしたのは、スペインブランドMAS34のカウボーイブーツ。ほどよくカジュアルなウエスタン風味が新鮮ですね。ショルダーバッグはあえてクラッチ持ちに、サングラスで辛口に仕上げ。
エリザベス女王やキャサリン妃などのロイヤルファミリーに好まれる一方で、ぶっとびファッションで知られるレディー・ガガやカーディ.Bなど、ディーバたちもこぞって取り入れている千鳥格子柄。男女問わず、テイストを選ばず、時代を超えて愛される永遠のスタンダード柄に、改めて注目してみてはいかがですか?