日々、数多くの製品が発売されているビューティ業界。そのなかからアラサー世代に本当に必要な化粧品、そして信頼のおけるブランドを美容ジャーナリスト永富千晴さんが紹介。あなたのキレイをひと押しするメッセージとともにお届けします。
今改めて、ローズ系に注目を
ワインの国では、人生初のワインはできるだけ美味しいものを準備するそうである。私もそうして欲しかった、と思うものはいくつかあり、バラの香りがその一つ。それは芳香剤の印象が強かったり、合成的な香りを嗅いでいたからだ。ローズのことを知りたければ、カトリーヌ・フロ主演の『ローズメイカー 奇跡のバラ』を見てみることをおすすめしたい。倒産寸前のバラ農園を営むバラの育種家が、新種のバラの開発へと情熱を注ぎこみ、人生につまずいた者たちが奇跡の花を咲かせるという物語。ローズの香りに潜む細やかな表現にもハッとさせられる。レモン、皮、バニラ、リンゴ…一輪の花からそんな豊かな香りがするなんて。育種家、ガーデナー、そして調香師との繋がり…すぐにでもバラを飾り、鼻を寄せたくなってしまう、美しい映画だ。そもそも、withコロナになってから、美の本質を見抜く目が養われていることもあり、香りそのものも生産者や素材から離れすぎない香りを求めている。この流れ、英国のライフスタイルブランド「ジョー マローン ロンドン」のためにあるのでは? と思ってしまうほどだ。
「ジョー マローン ロンドン」がローズの花を讃えた、現在限定発売中のコレクションも、目を瞑るとバラ農園やイングリッシュガーデンでのワンシーンが浮かんできそうな、そんな4種の香りが揃っている。例えば〈ローズ & マグノリア〉は、バラの中でも柔らかく甘い香りを放つ八重咲きで知られるローズ・ド・メイを中心に、ダマスクローズやアンバーウッド、パチュリなどで構成。まだ寒い時季でも、ふんわりとした温もりを感じさせてくれることが、珍しい存在と言えるかも。また〈レッド ローズ〉は、調香師が厳選したバラをなんと7種もブレンドしている。何ヘクタールもある農園を走り回ったら、その香りに出合えそうだが、香水だからこそできるファンタジックな1本。「ジョー マローン ロンドン」のフィロソフィである、香りの重ねづけにもこの〈レッド ローズ〉をほんの少し加えると明るい印象にしてくれる。
そして30代になり香水を上手に使いこなしたかったら、まず草花を育ててみるといい。すると香りがもっと身近になり、香水が装飾ではなく愛おしい存在になるはずだから。
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