自分らしいスタイルを見つけ、充実したライフスタイルを目指すGINGER世代。日々を生きやすくする、楽しくするチップスをライフスタイルマーケターの丸野ひかるさんがお届け!
冬の香り

長い、長い夏の後、秋が足早に通り過ぎ、気がつけば今年も年末を迎えようとしています。今年の流行語に「二季」がノミネートされるほど、日本の四季が曖昧になっている近年ですが、空の高さや日差し、雲の形、街路の木々の色づきや、マーケットに並ぶ旬の食材で季節を感じるのはうれしいこと。
香りフェチなわたしは、沈丁花や水仙の瑞々しい香りで春の訪れを。夏には木生い茂る木々や強い陽光を浴びた麦わらの香り。秋には金木犀の優しい香り…と春夏秋冬を香りで感じるのですが、一番幸せな気持ちになるのは冬の香り。深い森の中にいるような、清々しさと甘いバルサムが織りなすモミの木の香りです。
アメリカに住んでいた頃、クリスマスはモミの木の香りで始まりました。感謝祭が終わり、街道沿いに特設のツリーマーケットができると、モミの木を調達するツリーハンティングに出かけます。大小、たくさんの木々の中から枝ぶりの良い、好みのツリーを選ぶのは、酉の市で熊手を選ぶことや、お正月飾りを調達することと少し似ています。リビングにツリーをセットし、家中がモミの木の香りに包まれるとクリスマスの準備がスタート。ツリーをオーナメントで飾り、ライトアップ。 シナモンロールやジンジャークッキーなど冬定番のスイーツを焼いて友人を招いたり、ツリーの下にギフトを置いたりなどなど。スイーツやスパイスの甘い香りとモミの木の香りは、毎朝アドベントカレンダーを開きながら、クリスマスを心待ちにした幸せな記憶を思い出させてくれます。
一瞬で幸せな気持ちを呼び覚ましてくれる冬の香り。日本のリビングには大きなツリーを飾ることはできませんが、毎年、生のモミの木でクリスマスリースやスワッグを作って玄関とリビングに飾っています。11月の終わりから飾っても、香りも形も年末まで楽しめるのでおすすめです。また、冬にはモミの木の香りやジンジャー、シナモンなど温かいスパイスの香りのキャンドルも店頭に並びます。それらを選ぶのも楽しい季節です。
わたしは今年、お気に入りのフレグランスブランドで、幸せな香りを見つけました。‟ギモーヴ ドゥ ノエル(クリスマスのマシュマロ)”という可愛らしい名前のフレグランス。オレンジの花の香りに、キャラメル、リコリスのマシュマロのような甘い香りです。春〜夏、湿度の高い日本では香りは重く沈むので、甘い香りは好まれません。でも、空気が乾いてキリッと風が冷たい冬には、たっぷりと甘い香りも軽やかに香ります。甘党の方は、この季節限定で甘い香りを身につけるのも幸福感をアップしてくれるように思います。
「香りは記憶と結びつきます」
これは、私が香水のPRをしていた頃、何度も口にしたフレーズです。香りと記憶の効果を利用して、‟幸せな記憶”を思い起こす香りを見つけてみてはいかがでしょう? 寒い季節、‟甘やかしてくれる香り”に出会えますように…。
丸野ひかる(まるのひかる)
米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。

