アーティストそして俳優として、活躍のフィールドを広げ続けている川島如恵留（Travis Japan）の連載『のえるの心にルビをふる』。11月22日に30歳を迎えた彼が、今だからわかったこと、気付いたこと、そして様々な出来事についての自らの考察をつづります。【vol.6≪カッコいい30歳≫】
カッコいい30歳
11月22日が誕生日の私。
念願の30歳になった私。
おめでとうと言って貰いたい私。
そんな私が今日も顔をのぞかせています。
毎月22日の定期連載として5月22日から始まったこの「のえルビ」ももう7回目。1回目の更新は【30歳の選択】と題し、カッコいい30歳になりたいという気持ちと、そうなる為にはどうすべきかを書いた記憶があります。半年前の自分から見て、今の自分はカッコいい30歳になれているのでしょうか？
聞いてみましょう。半年前ののえるさーーーん？
「はいはーい、半年前ののえる（を演じてる今ののえる）ですー！ そうっすね！ 大分カッコいいと思いますよ！ ほら！本を出すっていう夢もちゃんと叶えてるし！」
うわっ！
本当だ！
確かに！
すごいぞー！
カッコいいぞー！！
という感じでやっていますけれども、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
実際にカッコいい30歳になれているかどうかは置いておきまして、個人的には夢を叶えた自分をカッコいいと言ってあげたいと思っています。褒められて伸びるタイプですからね。
デビュー作となるエッセイ本、#アイドルのフィルターを、30歳の誕生日に合わせて発売する為に奮闘したこの1年弱を経て、かなり成長したと自分で思えるくらいには変化したと思います。
全編書き下ろしのエッセイに加えて、アメリカ留学時代を今の視点で振り返る初出し情報の書き下ろしコラムなど、この期間に一体何万字書いたんだ！と自分でも笑ってしまうくらい、脳内にある構想をアウトプットする作業を何度も何度も繰り返してきました。
漠然とした構想のままでは、未来がボヤッとしてしまい不安になってしまう私は、書き出して形にすることで何が足りなくて何をすべきかを分かろうとする癖があります。
ただ漠然と「本を書きたい」と思っていただけの去年の私が、本を出すまでのロードマップを書き出した事でこうして今年、その思いが現実になったのです。とっても嬉しい事ですし、きっとこれは成長なんですね。偉いぞ、自分。カッコいいぞ、自分。(2回目)
1月1日から日記をつけ続ける事、本を書く事、資格試験を受ける事、やりたかった事もやると決めた事も、今年はちゃんと出来た気がします。本当に稀な事です。運が良かった。
途中で投げ出したり、諦めたり、毎年何かしらはそんな事があったのに、今年はたまたま上手くいきました。
インプットも比較的多い年でしたが、アウトプットの量が自分史上圧倒的に最大で膨大だった1年でした。29歳バンザイ。
もし良かったらデビュー作をお迎えしてあげてください。なんていう宣伝も挟みまして。
人生の節目とは一体なんでしょうか。
キリの良い年齢なのか、想像の範疇を越える出来事なのか、はたまた大きな決断なのか。
またはその全てなのか。
全部が節目なのであれば、人生節目だらけでかなりカクカクなものになっている事でしょう。
それもまた面白いと思います。
タケノコが成長して竹になるように、太い節目をいくつも持ち立派にそびえ立つ姿はとても凛々しくてカッコいいものではないでしょうか。
私の人生にとって今日、2024年の11月22日は、とても大きな節目になる事でしょう。ここまで誠心誠意取り組んできた事が一段落する日なのですから。
では貴方にとっての節目はなんでしょうか。
私には「30歳の誕生日」がたまたま節目になるというだけで、万人にとって「30歳の誕生日が節目」かどうかは分かりません。
たとえその日に特に大きなイベントがなかったとしても、何かを意識し始めるきっかけになっていれば立派な節目を作れるチャンスになっているのだと思います。
30歳を既に迎えている方も、これから迎えようとしている方も、そんな皆様にとって「30歳って悪くないな」と思えるようなひとつのサンプルに私がなれていたら、人前に立たせていただくアイドルとしてとても嬉しいです。
この恵まれた環境だからこそ出来ている事、叶えられている事が沢山あるという事は重々承知しています。自分の置かれた環境を最大限活用することがどれだけ難しい事かも理解しているつもりです。
それでも、この世の中が捨てたものじゃないと思いたいから、周りの人にもそう思ってもらいたいから、いろんなことに挑戦してみたかったんです。
ひとりでも多くの方が、あの日が人生の節目になったと思えるような経験をするきっかけのひとつに自分がなれていたら、それは表に立たせていただく人間のひとりとしてとても嬉しい事ですから。
30歳になったからカッコいい訳ではない。30歳だからといってカッコよくいなければならない訳ではない。何よりも大切なのは、自分らしく存在する事。
走り続けている人はカッコいいけど、ちゃんとバランス良く生きている人もカッコいい。
丁寧な暮らしを出来る人もカッコいいし、生活に手が回らないくらい忙しくしている人もカッコいい。
全部ひとりで出来る人もカッコいいし、頼るべきタイミングをしっかり捉えて頼れる人もカッコいい。
色んなカッコよさがあると思うんです。
大人になればなるほど、責任が重くなったり、仕事に追われたり、昔に想像していた未来像とのズレに自分がマッチしなくなる事が増えてくるかと思います。
その中で、自分の大切にしていた物を見失ったり、手放さざるを得なかったりする事がきっとある。
私はそれが寂しくて仕方ありません。
綺麗事かもしれませんが、私は私自身にも、他の人にも、そうならずに「自分らしく」生きて欲しいと思ってしまうのです。
何かひとつでいいから、人生の軸を持っていて欲しい。この軸だけはぶらす事なく生きるんだ、という大黒柱があれば、と願うのです。
私にとっては、それが「カッコいい」大人になるという事です。
たとえ誰にもそう言われなくたって、思われなくたって、昔の自分が今の自分を見た時に「カッコいいじゃん」って言ってくれるように生きていきたいのです。
人生は自分の手で選ぶ。変えられる。
生きていく中でどのみち何かを選び取っていくのなら、自分の軸に従って優先順位を決めるべきだと思います。
きっと生きるってきっとそういう事だから。
それだけ自由なはずだから。
なんて大見栄きってしまいましたが、誕生日なので許してやってください。ちょっと浮かれてるのかもな。
誰かにとってはなんでもない日も、自分にとっては節目や記念日に出来るかもしれない。
どうせなら、今日に名前をつけてあげられるような生き方をしてみるのもいいのかもしれませんね。
【今月のTouch the Heartstrings】
折角の機会と思い、誕生日当日の写真を載せる事にしました。30歳です。どうでしょうか。カッコいい30歳になれておりますでしょうか。え？ まだ25歳くらいに見える？ またまた。そんなに褒めても何も出ませんよ。本は出ましたけど。
川島如恵留（かわしま・のえる）
1994年11月22日東京都出身。小学生1年からジャズダンスを始めた後、芸能活動をスタートし子役としても舞台にも出演。その後、2007年10月よりアイドル活動を開始。2012年7月にTravis Japanの結成メンバーに。2022年10月に全世界メジャーデビュー。2024年11月22日に初の著書となる「アイドルのフィルター」を出版。2017年青山学院大学卒業。2019年に宅地建物取引士、2023年には国内旅行業務取扱管理者の資格を取得。2024年4月から個人のYouTubeチャンネル「のえるの隙間時間」、同名のXも開設。
YouTube @noelnosukimajikan
