世の中に、これだけ多くの服や靴があふれているなかで、何を選んでどう着るか。それは、自身を表現する手段であると同時に、心の浮き沈みを司る一生の命題。寝ても覚めてもファッションを愛するL'AUBE BLANC（ローブ ブラン）のディレクター楫真梨子さんが本音で語る、服との向き合い方とは？
絶大な信頼を寄せる黒の魅力
気付けば毎日黒を着ていて、クローゼットも7割以上の服が黒。最近まで、特に好きだという自覚もなく当たり前のように着続けていたという楫さんに、黒の魅力を改めて伺った。
「女性らしい服が好きなんですが、特に個性的な形が大好きで。例えば袖がビッグボリュームだったり、裾がペプラムになっていたり、ワンピースの背中が大胆に開いていたり…そういう挑戦的なフォルムも、黒なら突飛な感じに見えないというか、トライしやすいんですよね」
自身が手がけるブランド「ローブ ブラン」は“曲線美”がテーマ。シンプルな黒だと、波打つフォルムが映え、美しさが強調されることも大きな理由のひとつだと言う。
これだけ絶大な信頼を置く色とあって、人生の晴れ舞台である結婚披露宴でも、お色直しに選んだドレスは黒だった。
「胸元が深く開いている斬新なデザインだったんですけど、安心感のある黒だからこそ挑戦できたんだと思います。自分の肌色とのコントラストも好きなんです」
黒以外にも、赤いニットやブルーのワンピースなど、明るいカラーアイテムを着ることはあるものの、合わせるアイテムは必ずブラック。
「例えば淡いブルーとか白のパンツをはくときも、大丈夫かな、私…ってすぐ思っちゃう。甘く見えてないかなって。コンサバ顔なので、シャープな黒を合わせていないとすぐ不安になっちゃうんですよね（笑）」
色で大きな冒険はせずとも、最近はレイヤードを楽しむようになったり、メイクやジュエリーで気分の変化を楽しんでいる。
「全身ブラックでも、素材の違うジレやベストを重ねたり、ジュエリーも最近はゴツめのものに惹かれていて。以前は圧倒的にゴールド派だったのが、このごろはシルバーが中心で、メンズライクなデザインも気になっています。1年前までは赤リップが定番だったメイクも、最近はヌーディなトーンが気分。ジュエリーの存在感が増した分、リップを効かせる必要がなくなったのかもしれないですね」
学生時代から変わらぬ黒への愛に「波はない」と言い切る楫さん。一途な“黒愛”は、トレンドに左右されることなく続いていく。
※掲載アイテムはすべて本人私物のため、ブランドへの問い合わせはご遠慮ください。
楫真梨子（かじまりこ）
L'AUBE BLANC ディレクター。20代を中心にファッションアイコンとして圧倒的な支持を集める。2023年春より「L'AUBE BLANC」をスタート。同年、ワードローブの大半を占める“黒”をフィーチャーしたスタイルブック『黒の装い 「普通」に見えない黒コーデ帖』を出版。
Instagram @kajimari1226
