「連続テレビ小説 舞いあがれ!」「鎌倉殿の13人」など近年の話題作に続々出演している濱正悟さん。躍進中の濱さんは、現在放送中のドラマ「民宿のかくし味」に主演、「何曜日に生まれたの」にメインキャストとして出演している。2作品について、演じる役どころや撮影現場の裏話を教えてもらった。
対極なキャラクターを演じる作品がオンエア中
毎週木曜深夜1時放送中の「民宿のかくし味」は心温まるヒューマン&グルメドラマ。大自然に囲まれた奥飛騨でのんびりと民宿を営む主人公・緑川春陽のもとに悩みを抱えたお客さんが訪れる。春陽はその悩みにただ寄り添い、得意の料理をふるまう。そんなあたたかさが観る人の心をほぐすドラマ、その主役を務めるのは濱正悟さん。
一方、毎週日曜夜10時放送中の「何曜日に生まれたの」はサスペンスあり、ラブストーリーありのジェットコースタードラマ。サッカー部のマネジャーをしていた高校時代に、部のエースとバイク事故を起こしたことがある黒目すい(飯豊まりえ)は、10年間引きこもり生活を送っているが、高校の同窓会の招待状が届いたことをきっかけに人生が動き出し…。濱さんはキーマンとなる主人公の同級生を演じる。
テイストの異なるドラマの主軸を担う濱さんにインタビュー。同時期に放送されている2作品について、何を感じ、どう向き合っているのだろうか。
積み重ねてきたものがつながった「民宿のかくし味」
濱さん演じる民宿のオーナー 緑川春陽は、宿にやってくるお客さんの悩みに耳を傾け、気持ちに寄り添うという役どころ。濱さん曰く、主人公には不思議な魅力があるそうで。
「春陽は、不器用なのにまっすぐなんですよ。人のために一生懸命になれる人というか。お客さんは自分が抱える悩みを、気づいたら春陽に話してしまうんです。この人になら話してもいいかなって思えるような、包み込んでくれるあたたかさのある人なのかな。決してアドバイスしたり諭すわけじゃないけど、一緒に考えて悩んでくれる――そんな寄り添う力が高いがゆえに人を惹きつけるんでしょうね」
彼の宿にやってくる人々が抱える悩みは、私たちも経験したことがあるような、あるいはこの先に経験するかもしれないようなものだったり。一歩間違えると相手を傷つけてしまうかもしれない“聞き役”、そんな主人公を演じるにあたって濱さんは――。
「お客さんが抱えているのはそれぞれ、恋愛、友情、セクシュアリティ、家族に関するモヤモヤ。簡単に解決できない悩みだからこそ、作品に深みを持たせるために心情を解きほぐしていく過程に力を入れました。
本作は『マクラコトバ』というCBCさんのドラマに出演したことがきっかけで、オファーをいただいて。主演という大役にやりがいを感じると同時に、今まで以上に気が引き締りましたし、過去の作品が次に繋がったことが感慨深いなと。演じるにあたっては、主演ならではの責任感がほどよいプレッシャーになり、僕を奮い立たせてくれたし、また今後に繋がる経験になったのかなと思います」
ドラマでは偶数話に調理シーンが登場し、その手際の良さも見どころのひとつ。過去に料理人の役を経験したこともあり、手元のみのシーンもすべて濱さんが演じたそう! しかし、一筋縄ではいかないこともあったようで。
「最近はもっぱら自炊派、というほど料理は結構やります! 『屋台メシ部、はじめました(BS日テレ)』という番組でも1年くらい料理を作っていたので、今回料理をする役をいただけて嬉しかったですね。ただ、大変だったのは、料理の工程と調味料の場所を覚えること。調理シーンは一瞬かもしれないんですが、実は食材の皮を剥くところから完成までを通してすべて僕がやっているんです。とにかく“自分の家”感を出すために、調理器具や調味料をノールックで取れるように場所を覚えることに苦労しましたね」
ドラマは全編奥飛騨でのオールロケーション。美しい自然に囲まれて2週間の撮影を終えた。
「奥飛騨には平湯温泉っていう温泉街があって。あちこちで温泉たまごが茹でられていたり、道のわきから温泉が湧き出していたり。僕は温泉が大好きなのでとにかく癒やされましたね! 朝から夜まで撮影の日もあったんですが、温泉のおかげでリフレッシュできました」
ドラマのキャッチコピーは「あなたの心とお腹を“充電”します」。これにちなんで、濱さんを充電する必要不可欠なものは?
「カレーです! 僕、無類のカレー好きで(笑)。いろんな方におすすめを聞いて、実際にお店に足を運びます。元気を出したいときはこれに限りますね。夜遅くなって、どうしても食べたいときは自分で作って、ストレス発散してます」
民宿のかくし味
出演/濱正悟 ほか
CBCテレビにて毎週木曜深夜1時〜放送中
https://hicbc.com/tv/minsyuku/
X @minkaku_drama
Instagram @minshuku_no_kakushiaji
「何曜日に生まれたの」では“縁”を感じた
「高校教師」「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」など、日本を代表する名作を数々生み出してきた脚本家の野島伸司氏。地上波連続ドラマに5年ぶりにオリジナル作品を書き下ろしたのが「何曜日に生まれたの」。濱さんにとって「憧れ」という野島作品、参加する心の内をこう語った。
「名作を生み出し続ける野島さんの作品にどうしても参加したい! 絶対取ってやる!との思いでオーディションを受けました。当日は、会場に数名の俳優さんが参加していて、めちゃくちゃ気合いが入ったのを覚えています。前日にオーディション用の台本をいただき、丸一日かけて読み込んだんですが、本番ではその3分の1しか披露する機会がなく、あれ?って拍子抜けしました(笑)。
結果、参加することが決まってとても嬉しかったし、やりがいのある役だろうなと確信しました。台本を初めて読んだときはワクワクが止まりませんでしたね。予想のできない展開、今まで触れたことのないような言葉選びにもグッときました」
濱さん演じる城崎健人は、飯豊まりえさん演じる主人公・すいの高校時代の同級生。撮影現場では、高校時代のサッカー部仲間を演じている俳優たちと一緒に過ごす時間が多いという。
「撮影現場は、平和ですね! 仲良し元サッカー部の6人は、おしゃべりな俳優が多くて、楽しくやってます(笑)。さらに、カメラマンや助監督も楽しい方たちなので和気あいあいとしつつも、シリアスなシーンのときはぎゅっと集中する。切り替えの早い現場に背筋が伸びる思いです」
健人を演じるにあたり、濱さんは人生で初めて髪の毛をブリーチ。また、サッカーにも初挑戦だそうで、初めて尽くし。健人について思うことは?
「健人は『民宿のかくし味』の春陽とは対極にいる陽キャラですね(笑)。イメージカラーは、濃いめのオレンジという感じ! サッカー部のキャプテンということもあり、みんなのことが大好きで、みんなも健人のことが好きで。健人にはなんでも相談できて、人が集まってくる点においては、春陽と似てる部分もあるのかもしれません。
そしてサッカーをするのは初めてなので…。現場で練習する場所と時間を設けてもらってがんばっているんですが、なかなか上達は難しいですね…。サッカーの奥深さを身に沁みて感じているところです」
主演の飯豊まりえさんとは同じ事務所だけど、今までお話しする機会がなかったとか。
「飯豊さんとは以前に、とある作品でご一緒はしていたんですけど、同じシーンがなくて現場は別々だったんですよ。いろんなところですれ違ったときにご挨拶はしていたんですけど、ここまでガッツリご一緒するのは今回が初めて。最初に飯豊さんと2人のシーンを撮ったときは、何だか不思議な距離感を感じたんですが、この際ちゃんとお話ししてみよう!と。僕の役がムードメーカー的な存在なのでいろいろと質問などして話しかけてみたら、やさしく応えてくださって。作品のこととか事務所内の話で盛り上がったのはすごく楽しかったです」
タイトルにちなんで、好きな曜日は?と聞くと「得した気分なので…」とニヤリと笑って。
「月曜日です。生まれた曜日も月曜なんですよ。仕事柄、お休みが不定期なんですけど、月曜日にお休みをいただいて遊びに行くと、どこも人が少なく空いてて。あと、よく髪を切ったりヘッドスパに行くんですけど、美容室って月曜日がお休みのところが多いじゃないですか。でも美容師の友達が特別に店を開けて切ってくれるんですよね。だから月曜日に縁を感じています」
最後に「次に挑戦したい役は、事件を解決する探偵」と教えてくれた濱さん。「やっぱり探偵ものって憧れるんですよね。夜遅めに放送されるような作品の、ちょっとダークな探偵ものがやりたいです!」と目を輝かせた。
個性的な役柄を全力で演じ、そこにやりがいと楽しさを見出している濱さん。今後も多様な役に臨み、自分らしく進化を遂げていく彼に注目したい。
何曜日に生まれたの
出演/飯豊まりえ 溝端淳平 / 井上祐貴 YU 若月佑美 片山友希 濱正悟 /早見あかり ・ シシド・カフカ 陣内孝則
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットにて毎週日曜夜10時〜放送中
https://www.asahi.co.jp/nanuma/
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Instagram @nan_uma_abc
TikTok @nan_uma_abc
濱正悟(はましょうご)
1994年8月22日生まれ、東京都出身。スーパー戦隊シリーズ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」出演後、ドラマ「恋せぬふたり」カズくん役や「何かおかしい」では民放連ドラ初主演を務める。昨年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」での平維盛役や連続テレビ小説「舞いあがれ!」で主人公が通う航空学校の同期・中澤真一役で出演し話題となるなど、活躍の場を広げている。
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